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【使いこなし編】第217回

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の重要なアップデートを手動で行う

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 その特徴により、インターネット経由で攻撃を受けるリスクもあるため、メーカーから提供されるソフトウェアアップデートは、迅速に必ずインストールするようにしよう。多くは、脆弱性を対策する内容だからだ。

 初期セットアップ時に自動更新をオンにしているが、自動更新をオンにしていても、確認が必要なアップデートは手動で更新が求められるケースもあるようだ。2024年10月17日付けのバージョン「1.1-65373」は、PCのブラウザーにおける画像/動画のファイル形式「HEIC」と「HEVC」の扱いが大きく変更されたため、ユーザーが変更内容を確認したうえで、手動で更新をしなくてはならない。今回は、この手動アップデートを実際に行ってみる。

今回はBeeStationの重要なシステム更新を手動でアップデートしてみよう

メールの案内を確認し、手動でアップデートを実施

 このアップデートでは、PCのウェブブラウザーもしくはSMB経由で新しいHEIC写真またはHEVCビデオをアップロードする際に、プレビューの生成がBeeStation側でPCやスマホ側でJPEGとMP4プレビューを作成するようになる。

 アップデート後には、PCのWindowsとmacOSでは、システムに「Synology Image Assistant」がインストールされている必要があり、プレビュー生成処理がPC側で行われるようになる。また、AndroidとiOSのアプリではアプリ内で生成されるようになる。詳しくはこちらの「1.1-65373」(英文)で確認できる。簡単に言えば、写真とビデオのアップロード時にBeeStationに負荷をかけないようにする変更となる。

 PCのウェブブラウザーを使っていなかったり、HEICではなくJPEGのみにしていればアップデートをしなくてもいいのではないか、と思うかもしれないが、セキュリティの脆弱性対策も含まれているうえ、今後のアップデートのことも考えると、適用しないという選択肢はない。必ず手動で更新してほしい。ただし、WindowsとmacOSへのSynology Image Assistantのインストールは、HEICをアップロードしないなら必須ではない。

 この「1.1-65373」のアップデートが適用可能になると、自動更新の設定がされていても更新はキャンセルされ、アカウントにメールが送られてくる。アップデートはとくに難しいことはなく、[システムの設定]にアクセスし[更新]にて手動でアップデートする。

BeeStationでバージョン「1.1-65373」のアップデート自動更新は失敗する。BeeStationから手動更新を促すメールが送られてくる
BeeStationの設定にアクセスする。[システムの設定]の[更新]を開くと、「1.1-65373をダウンロードできます」と表示されているので[ダウンロード]をクリックする
ダウンロード中。しばし待とう
[今すぐアップデート]をクリックする
アップデート後、PCにSynology Image Assistantをインストールしないと表示不具合がでるので、そのことの同意を求められる。チェックを入れて進める
アップデート確認画面が表示される。ここからは後戻りはできない。
アップデート中

 アップデート中はBeeStation正面のLEDがオレンジで点灯しているが、再起動中は白点滅に切り替わる。しばらくして起動が完了すると「ピー」という音が鳴るので、再度BeeStationにサインインしてみると、Node.jsをv18へ自動更新する画面が表示される。

 Node.jsとは、JavaScriptをサーバーで実行する環境で、イベント駆動型アーキテクチャのウェブアプリ開発に使われているものだ。BeeStationのシステムでも使われていて、合わせて更新されている。セキュリティの観点からも更新しておくことが望ましい。

その後、自動的に再起動される。起動を待ってBeeStationにサインインする
Node.jsを自動更新する画面が表示される
[更新]を表示しておく。もし[自動更新]がオンになっていない場合には、ここでオンにしておこう

 あわせて、スマホの「BeePhotos」と「BeeFiles」のアプリを最新版にアップデートしておこう。PCのWindowsとmacOSでは、Synology Image Assistantをインストールし、ウェブブラウザーでは「Synology Image Assistant拡張機能」をインストールし有効にしておく。

 Synology Image Assistantはインストールすると、バックグラウンドで動作する(常駐する)ようになる。この作業は、PCからHEICの写真、HEVCのビデオをアップデートしないなら必須ではない。

 Google Chromeの場合、Chromeウェブストアからこちらの機能拡張をインストールして有効にしておく。EdgeやSafariなどほかのウェブブラウザーの手順は、こちらを参照してほしい。

 WindowsとmacOS向けの「Synology Image Assistant」は、ダウンロードセンターから検索することで、ダウンロードすることができる。これをインストールしておけば、これまで同様にブラウザーで写真や動画を扱うことができる。

 HEIFとHEVCは、macOSでは10.13 High Sierra以降、Windows 11では22H2以降であれば、何もしなくてもサポートされている。Windows 1122H2以前では、HEVCビデオ拡張機能をインストールしておく必要があるので注意しておこう。

Google Chromeに「Synology Image Assistant拡張機能」を[Chromeに追加]からインストールする
WindowsとmacOS向けの「Synology Image Assistant」は、ダウンロードセンターから検索してダウンロードする
OSを選択してダウンロードする
インストーラーを起動し、画面に従ってインストールを完了させる
インストールを完了すると自動で起動し、確認画面が表示される
Synology Image Assistantはバックグラウンドで自動実行される。macOSの場合はシステム設定[一般]-[ログイン項目]にて確認できる。使わないときはメモリを空けたいならオフにしておいてもいい
macOSからウェブブラウザー版BeePhotosでHEIC写真を問題なくアップロード。プレビュー生成も問題ない
HEICフォーマットであることを確認
BeePhotosの右上ユーザーアイコンから[設定]を選ぶと、Synology Image Assistantを利用するかどうか許可を与える設定がある。同じ設定はBeeFilesの設定にもある。これをオフにするとSynology Image Assistantは使われなくなる

 今後もBeeStationの大規模なシステム更新で、手動の更新が必要になるケースもあるかもしれないが、セキュリティを確保するためにも面倒がらずに必ず適用するようにしてほしい。

今回の教訓(ポイント)

システムアップデートのうち確認が必要なバージョンは手動更新が求められる
システムアップデートは基本的に自動更新にして最新を保っておこう

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。