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【使いこなし編】第218回

Acronis「True Image」の「モバイルバックアップ」機能で、iPhone/Androidスマホの大事なデータを保存する

Synology「BeeStation」だけでなく、PCへの保存も可能

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 前回はBeeStationに緊急の大型アップデートが入ったので実践してみたが、今回は前々回の続きで、再度バックアップの手法を続けていこう。

 前々回まではAcronisの「True Image」を使って、Windows 11をBeeStationにバックアップ&復元する実践をしてきた。今回からは、True Imageの「モバイルバックアップ」機能を使って、スマートフォン(iOSおよびAndroid)のデータをBeeStationにバックアップしてみよう。

今回はTrue Imageを活用して、BeeStationにスマートフォンのデータをバックアップしてみよう

Acronis「True Image」を使ってスマホからの写真などをバックアップ

 スマートフォンのバックアップをするには、True ImageをインストールしたWindows 11 PCとBeeStation、そしてスマートフォンを、同じ自宅LAN(Wi-Fi)に接続しておく。今回はiPhoneで実践するが、Anadroidでも、アプリの操作はまったく同じだ。

 なお、バックアップ先は、BeeStationでなくPCのストレージを選ぶことも可能だ。BeeStationを持っていない読者も、スマートフォンをバックアップする一例として参考にしてみてほしい。また、True ImageはmacOS版もあるので、Macユーザーも同様に利用できる。

 このバックアップは、これまでMacやWindowsで実践したような、スマートフォンのシステムやドライブ全体をバックアップする操作ではない。あくまでも、アプリを使って写真などのユーザーデータ(連絡先、予定、写真および動画など)をバックアップするものになる。写真や動画のバックアップについては「BeeePhotos」の使い方も紹介(第188以降)しているが、BeePhotosを使っている場合は、それ以外のデータのバックアップ用に使うといいだろう。

 なお、バックアップするデータは同じスマートフォンに復元するだけでなく、機種変更したスマートフォンなど、別のスマートフォンを対象として復元することもできる(対象となるデータについて詳しくは後述するが、バックアップした写真と動画、連絡先、カレンダーのデータは、iOSとAndroid間でOSの違うスマートフォンへも復元可能)。

PCでタスクを作成しておき、スマホアプリから実行する

 バックアップを行うため、まずはPC上のTrue Imageでバックアップタスクを作成しておく。ここでの操作とTrue Imageの概要などは連載第214回に詳しく解説しているので、こちらを参照してほしい。特に「バックアップ先を選択」の設定方法は、今回は省略するので、まだローカルアカウントの認証を設定していない場合には参照して欲しい。

 バックアップの設定では[バックアップ先を選択]で保存先をBeeStationにしておく。これをPCのローカルディスクに設定すれば、BeeStationを持っていなくても利用できる。

 次に左側の[バックアップ対象を変更]で[モバイルデバイス]を選択する。QRコードが表示されるので、この画面のまま置いておこう。続いて、スマートフォンの「Acronis Mobile」アプリで操作を行う。

True Imageで[+バックアップを追加]で新規にバックアップを作成。名前は適当でOK。後ほどスマートフォンの名前に自動変更される。先に右側の[バックアップ先の変更]から設定する
ここの手順詳細は連載第214回と同じなので参照してもらいたい。[バックアップ先を選択]ー[NAS]でローカルアカウントで認証し「nas://(BeeStation名またはIPアドレス)/home/backup」を選択
次に左側の[バックアップ対象を変更]を設定する
[モバイルデバイス]を選択する。ここが今回のポイントとなる
QRコードが表示されるので、この画面のまま置いておく

 スマートフォンでは、「Acronis Mobile」アプリをインストールしておこう。これを立ち上げ、自宅のWi-Fiに接続した状態で、PCで表示したQRコードを読み込むことで、スマートフォンとバックアップを行うPCとのペアリングの設定が行われる。

 バックアップの対象は、写真と動画、連絡先、カレンダー、リマインダー(Androidではメッセージ)で、個別のオン/オフが可能だ。バックアップ設定時には写真などのバックアップ対象のファイルへ、全てアクセスを許可をする必要がある。

▼Acronis Mobileのインストール
iOS版(App Store)
Android版(Google Play)

[バックアップ]タブで[セットアップ]をタップして始める[※]
[ローカルの保存先]の[コンピュータ]を選択する

[※]……Androidでは、初回バックアップ設定時に、Androidの設定の[アプリ]ー[XX個のアプリを全て表示]で[Acronis Mobile]を選び、以下の2つの設定をしておくことを求められる。なお設定項目名はAndroid 15のものなので、ほかのバージョンでは変わっている場合もある。適宜読み替えてもらいたい

  • [アプリのバッテリー使用量]で[バックグラウンドでの使用を許可]をオンにする。
  • [権限]で「使用していないアプリを一時停止する」をオフにする。
[アプリのバッテリー使用量]で[バックグラウンドでの使用を許可]をオンにする
[権限]で「使用していないアプリを一時停止する」をオフにする
自宅Wi-Fiに接続していることを確認し、[QRコードをスキャン]をタップ
PCで表示したQRコードをスキャンすると、ペアリングが行われる。この後ローカルネットワークのアクセス許可をする画面が出るので許可しておく
バックアップの対象を選ぶ。iOSの「リマインダー」はAndroidでは「メッセージ」になる
選んだバックアップ対象ごとに全て、アクセスを許可する必要がある
バックアップが開始される
バックアップが無事完了した
バックアップ中のPC側での画面。バックアップが開始されるとバックアップはスマートフォンの名前になり、進捗が表示されるようになる

 QRコードを読み取ってペアリングの設定が一度済んでしまえば、すべての手順を再度行う必要はない。以後のバックアップ時には、BeeStationの電源が入っていることを確認して、PCではTrue Imageを起動しておき(PCでは基本的に常駐するので起動は意識しなくていい)、スマートフォンを自宅Wi-Fiに接続してバックアップを開始する、という流れになる。このモバイルバックアップ機能に関しては、True Imageのライセンスさえあれば、台数の制限なくバックアップができる。

 ときどきバックアップしておけば、だいぶ安心感があるだろう。次回はバックアップからの復元方法を見てみよう。写真や動画を個別に復元することも可能だ。

今回の教訓(ポイント)

Acronis True Imageを使ってBeeStationにスマホのバックアップができる
対象は写真、動画、連絡先、カレンダーのほか、iOSではリマインダー、Androidではメッセージ

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。