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【使いこなし編】第188回

パーソナルクラウド「BeeStation」に、スマホの写真をバックアップできる「BeePhotos」

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。今回は、写真を管理するスマホアプリ「BeePhotos」を使ってみる。

Synology「BeeStation」で設定をチェックしておこう

 BeeStationは、大きな製品カテゴリーとしては「NAS」だが、自宅のLAN内だけでなく、インターネット経由(つまり自宅外から)でも利用できることが特徴だ。これにより、自分や家族専用のクラウドストレージのような役割を持たせることができる。初期投資(3万6000円前後)は必要だが、4TBで月額無料の「自宅クラウド」を利用できる。どのような機能を持っているかの詳細は、第185回を参照してほしい。

4TBの「自宅クラウド」になるSynology「BeeStation」

通知メールは必ず確認しよう

 本題の前に、通知についての基本的な注意を。前回、システムの自動更新をオンにし、メールによる通知もオンにする設定を行ったが、こうしておくと、最新システムへの自動更新時などに通知メールが来る。メールが届いたら、内容をざっと確認しておこう。なお、広告やDMの類が届くことはないので、安心してほしい。

 多くの場合、メールをざっと確認するだけでいいが、不正アクセス検知や内蔵ディスクの異状など、早急な対応が必要な通知が来ることもある。手間だと感じるかもしれないが、自動で開封済みにしたりせず、都度確認しよう。

メールで通知を受け取る設定をしておくと、このように重要なシステム通知がメールが自動送信されるので確認しておこう

BeePhotosをセットアップする

 今回使うBeePhotosは、Android/iOS対応の写真管理アプリで、動画も扱える。BeeStationのスマホ向けアプリは、このアプリと、次回以降に紹介するファイル操作アプリ「BeeFiles」の2種類が提供されている。

 どちらのアプリも、BeeStationのポータル(セットアップポータル)にあるリンクからダウンロードできるので、そちらからダウンロードしておこう。もちろん、Google PlayやApp Storeで検索してダウンロードしても構わない。「BeeFiles」も次回使うのでついでにインストールしておくといいだろう[※1]

[※1]……アプリインストール時のページ内に、Synology製アプリとして「Synology Photos」や「DS Photo」など、ほかにもたくさん表示され気になるかと思うが、これらは同社製のほかのNAS向けで、BeeStationでは利用できない

 BeePhotosを立ち上げたら、BeeStationと同じSynologyアカウントでログインする。この段階では、自宅のWi-Fiにつないで操作している。権限の許可確認は適宜行ってほしい。iOSでは、ローカルネットワークでの検索を許可するシーンがあるが、これは必ず許可する必要がある。また、AndroidとiOSの両方で、写真と動画へのアクセス許可を与えておく必要がある。ほかの通知などは好みに応じた許可で構わない。

BeePhotosとBeeFilesは、BeeStationポータルサイト経由でダウンロードできる。インストールすると、ここのリンクでアプリが起動するようになる
アプリを起動したらプライバシー重視を承認して進め、Synologyアカウントでサインインする
iOSでは初回のログイン時に、ローカルネットワークでの検索を許可しておく必要がある。これは許可しておかないとアクセスできないので注意
BeeStationへの接続は自動的に行われる。この間は見ているだけ、何もしなくてOK
接続すると初回はスプラッシュ画面が表示される。AIを使った自動分類機能がある
アプリに写真と動画へのアクセスを許可しておく。これはiOSでも同様だ

BeePhotosから写真をアップロードする

 BeePhotosが使えるようになったら、テストでBeeStationへアップロードしてみよう。うまくいったら、スマホの写真と動画を全てアップロードしてしまってもいい。

BeePhotosが使えるようになった。「写真を追加」でアップロードできる
いくつか写真を選択して「アップロード」してみる
無事にアップロードできればOK
以後、手動でアップロードしたいときは、右上の「≡」から「アップロード」を選ぶと同様の操作ができる

モバイル回線からの接続も確認してみよう

 ここまでの操作はWi-Fiに接続して行ったので、一時的にWi-Fi接続をオフにして、モバイル回線から(インターネット経由で)も閲覧やアップロードができるかを確認してみよう。右上の[≡]から[アップロード]を選んでアップロードしてみる。このとき、写真を重複してアップロードしないように注意しよう。

スマホのWi-Fiをオフにして、モバイル回線がつながったことを確認する
BeePhotosで写真や動画をアップロードしてみると、問題なくアップロードできることを確認する

 もし、うまくいかなかったら、いったんBeePhotosアプリを終了させて再度アプリを起動してみれば、接続できるはずだ。筆者の環境では、「フレッツ 光ネクスト」IPoE接続回線の自宅にBeeStationを設置し、外出先からドコモやau、楽天モバイル回線を使ったスマホで接続して、問題なく利用できている。

 少々専門的な話になるが、日本の多くインターネット接続サービスで使われている「IPv6 IPoE」(IPv4 over IPv6)という接続方式では、特殊なアプリを使うときに、必要なポートを利用できず、トラブルになってしまうことがあるのが、気になっていた。

 BeePhotosアプリは「TCP 6601番」というポートを使用していて、一応ポート開放が推奨されてはいるのだが[※2]、接続テスト中はIPv6 IPoEの一種であるMAP-E方式の利用可能ポートに6601番ポートは含まれていない状態になっていたため、ルーターではなにもポート開放設定は行っていない。それでも、ここまで行ったセッティング状態にて[※3]、QuickConnectの転送機能で安定して接続できている。別のIPv6 IPoEの一種であるDS-Lite接続では未チェックだが、ほとんどのIPv6 IPoE方式の回線でも問題なく利用できるようだ。

外部からの接続テスト時、自宅のNTT東日本のHGW(光でんわ対応ルーター)「PR-400MI」でのMAP-Eの利用可能ポート表示。6601番ポートは含まれていない状態

[※2]……本連載ではポート解放をして使用することは推奨しないが、BeeFilesとBeePhotosがTCP 6601番を、デスクトップ向けBeeStation(BeeStation for Desktop)がTCP 6690番のポートを使っている。これらをルーターのポート転送に設定すると、QuickConnectでの切り替えや転送も高速になるだろう。ただし、アタックを受ける可能性も格段に高くなるので注意。逆にポート解放をせずにQuickConnectサーバー経由で使っているぶんには、アカウントをハックされてしまうこと以外で、外部から直接攻撃されることはないはずだ。利用ポートの詳細は、以下のナレッジベースで公開されている

[※3]……IPoE回線で外からうまく繋がらない場合、前回の連載でIPv6を利用するセッティングも行っている点に注意してほしい。この設定でIPv6を利用する設定にするとIPv6のIPアドレスが割り振られ表示されるようになる

接続時に若干のタイムラグがある

 BeeStationでは、Synologyアカウントにログインして使用することに特化しているので、常時Synologyが提供するQuickConnectサーバーを介した接続になっている[※4]。アプリ使用時に意識して見ていないとわからないが、LAN内(自宅Wi-Fi)か外(モバイル回線)かをチェックし、切り替えつつ接続を維持している。

 そのため、接続時にワンクッション入るタイムラグを感じるはずだ。速度より確実に接続できることを強制的に選んでいることになる。そのためQuickConnectという用語はセッティング時にも一切出てこないし、特に知らなくても問題はない。LAN内外の通信が変わってうまく転送できないときは、このスイッチがうまくいっていない状態なので、アプリを再起動させ現在のネットワーク状態をチェックさせればいい。

[※4]……Synologyの一般NASモデルでは、NASがQuickConnectを使うか使わないかは、OSの設定で明示的に切り替えることが可能になっていて、ユーザーに委ねられている。つまり、DDNSと利用ポート開放で、 Synologyが提供するアプリ以外もさまざまなサービスで活用できるようになる

 これで外出時でもBeePhotosが使える状態になった。4TBもの広大なストレージなので、思う存分動画を撮りまくっても大丈夫だ。BeeStationでBeePhotosが使えることが確認できたら、スマホ内の写真は全てアップロードしてしまい、スマホ本体からは削除してしまっても構わない。古くてあまり重要でない(見返す機会が少ない)写真や動画は、スマホから削除してもいいだろう。必要になったらBeePhotosから掘り出せばいい。

 ちなみに、iPhoneで撮影できる「Live Photos」(シャッターを切った前後1.5秒ずつの映像を記録するショート動画のような機能)もBeeStationにアップロードできる。このLive Photosのバックアップ方法は意外に選択肢が少ないのだが、BeeStationではある程度満足できる方法で実現できている。次回はこのLive Photosの挙動を含め、もう少しBeePhotosの使いこなしを見ていこう。写真や動画を撮影したら自動でアップロードする設定も可能だ。

今回の教訓(ポイント)

BeeStationにてスマホの写真を扱うにはBeePhotosアプリを使う
BeePhotosで外出先のスマホからも利用できる

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。