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【使いこなし編】第189回
パーソナルクラウド「BeeStation」に保存したiPhoneのLive Photosを鑑賞する
2024年3月28日 06:00
本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。今回も前回に続き、写真を管理するスマホアプリ「BeePhotos」を使ってみる。
BeeStationは、大きな製品カテゴリーとしては「NAS」だが、自宅のLAN内だけでなく、インターネット経由(つまり自宅外から)でも利用できることが特徴だ。これにより、自分や家族専用のクラウドストレージのような役割を持たせることができる。初期投資(3万6000円前後)は必要だが、4TBで月額無料の「自宅クラウド」を利用できる。どのような機能を持っているかの詳細は、第185回を参照してほしい。
「LivePhotos」のような特殊なデータも、問題なく閲覧できる?
前回は、スマホ(Android/iOS)の写真管理アプリ「BeePhotos」で、BeeStationに写真や動画を保存する方法を実践した。これで、外出先からも写真や動画を自宅のBeeStationに保存できるようになった。
今回は、保存した写真を閲覧してみよう。ここで特に気になるのが、iPhoneで撮影できる、動きのある写真「Live Photos」だ。シャッターボタンを押した前後1.5秒ずつの映像を、超ショート動画のようにして保存できるもので、この3秒の中から、ベストショットの静止画を選び直すこともできる。
記念写真撮影時などでベストショットのチャンスを逃さず撮れるよう、Live Photosを静止画撮影のメインに使っている人も多いだろう。基本的には写真というよりも動画で、Live Photosのデータは一般的な写真のデータと異なる形式なので、iPhone/iPad以外の環境では見られないこともある。
今回は、このLive Photosが、BeeStationおよびBeePhotos上で問題なく見られるか、確認してみよう。
BeePhotosからLive Photosの閲覧はできるが、加工には制限が
Live Photosは、撮影したiPhoneやiPad以外にそのまま保存することが意外と難しい。Live Photosの中にあるデータは、一覧用のサムネイルとなる静止画とショート動画なのだが[※]、このどちらかしか保存されないケースが多い。「写真」から共有機能を使ってSNSなどでシェアすると、互換性を考慮して、送付先にはキー写真(動画になっている中の最重要のコマの画像)の静止画のみが転送される仕組みになっている。
[※]……Live Photosのデータの実態は、HEIF(.heic)もしくはJPEG(.jpg)形式の画像とH.264圧縮された動画(.mov)の2ファイルで構成されている。2ファイル内のメタデータに保存されているID(UUID)が合致していると、1つのLive Photosとして認識される。BeePhotosにアップロードした直後にジックリ観察していると、2つのファイルが保存され、ちょっと間があってから1ファイルとして見えるようになるのが確認できるはずだ。たくさんのLive Photosを一気に保存した時には、この認識処理のためにしばらく待ってから、閲覧するようにしよう
BeeStationでは、iPhoneのBeePhotos、またはPCのウェブブラウザー版BeePhotosでは、Live Photosとして問題なく閲覧できる。Androidでは、モーションフォトという、似たような動画として閲覧できるようになる。
Live Photosでは「ループ」や「バウンス」など、再生方法を変更することもできるのだが、こちらを設定していると、写真と動画に分かれて保存されるようになる。Live Photosとして後で編集したければ、変更せずにそのままの状態にしておこう。このメニューからは、Live Photosの動きを止めて静止画にすることも可能なので、ここでキー写真を静止画としておけば、普通の写真になって容量を節約することができる。この操作をして普通の写真データにしてしまった方が、今後の扱いは簡単になる。
ただし、BeePhotosではLive Photosでキー写真を選びなおしたり、「ループ」や「バウンス」に変更したり、Live Photosをやめて写真にしたりする編集作業はできない。あくまでもLive Photosであることがわかり、ショート動画として再生することができるだけだ。
iPhone、iPadまたはMacに戻せばLive Photosとして扱える
BeePhotosから、iPhoneやiPad、またはMacに戻し、「写真」アプリで読み込めば、再度Live Photosとして利用できるようになる。Live Photosとして全機能が使えるのは、あくまでも「写真」アプリ上でのみということになる。
また、「写真」アプリの共有アイコンからBeePhotosに転送すると、オリジナルの状態にならないことがあるので注意が必要だ。例えば「ループ」や「バウンス」を設定したLive PhotosはGIFアニメーションに変換される。共有アイコンからはSNSなどへのアップロードに使う機能と考え、ファイルのバックアップはBeePhotosのアップロード機能を使うようにしよう。
macOSのウェブブラウザー上でBeePhotosを使い、BeeStation上のLive Photosを「オリジナル」としてダウンロードすると、写真と動画がZIPファイルとして圧縮された状態になる。この2つのファイルをmacOSの「写真」アプリに読み込めば、ちゃんとLive Photosとして扱うことができる。BeeStationをLive Photosのバックアップ先として、問題なく利用できることがわかる。ウェブブラウザー上でBeePhotosを使う方法は、また後ほど詳しく解説する。
現在のiPhoneで撮影した写真は、これまで一般的だったJPEGではなくHEIF(拡張子は.heic)というフォーマットで保存される。HEIFフォーマットは、JPEGよりも圧縮率が高くてファイルサイズを小さくできるにもかかわらず高画質という特徴がある。最近のAndroidスマホでも利用でき、Windows 11ではバージョン22H2以降で標準で開けるようになっているので、それほど気にする必要はないのだが、家庭内で古いモデルを併用している場合には、HEIFではなくJPEGを使うようにすれば互換性が高くなる。
iOSの設定から[カメラ]アプリの[フォーマット]を[高効率]にしていれば(初期設定)HEICで、[互換性優先]にするとJPEGで保存されるようになる。HEICの方がファイルサイズは小さくなり、より多くの写真が保存できるので、問題がなければそのままにしておこう。また、BeePhotosのブラウザ版でダウンロードする際に「圧縮したJPEG」を選ぶとJPEGに変換してダウンロードすることもできる。
BeePhotos上でLive Photosの編集はできないまでも、閲覧は問題なくでき、ほぼ完璧な形でバックアップが可能だ。編集が必要になったカットのみをiPhoneやMacの「写真」アプリに戻して使えばいいだろう。安心してLive Photosを含めiPhoneで撮影した写真のバックアップ先として活用してもらいたい。
今回はiPhoneユーザー向けの操作に終始してしまったが、次回からはまた続けてBeePhotosをもっと使いこなしていこう。
今回の教訓(ポイント)
「BeePhotos」ではLive Photosも問題なく保存/閲覧可能
Live Photosの全ての機能を制限なく使うには、iPhone/iPad/Macの「写真」アプリで読み込む