自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第186回
Synologyの自宅クラウド「BeeStation」をセットアップ。難しい点はないがアカウントの管理が最重要!
2024年3月7日 06:00
本連載では、前回から、Synologyの「BeeStation」(ビーステーション)の活用を実践してみている。大きな製品カテゴリーとしてはNASだが、「パーソナルクラウド」をうたっており、自宅のLAN内だけでなく、インターネット経由(つまり自宅外から)でも利用できることが特徴だ。
このことから、クラウドストレージの代替のような役割を持たせることができる。初期投資(3万6000円前後)は必要だが、4TBで月額無料の「自宅クラウド」を利用できる。どのような機能を持っているか、詳細は前回の記事を参照してほしい。
今回は、セットアップ作業を進めていこう。まずは、ACアダプターの接続と、ネットワークへの接続だ。ネットワークは、LANケーブルでWi-Fiルーターの有線LANポートと接続する。
Synologyのウェブサイトでセットアップを行う
続いて、ウェブブラウザーからBeeStation用のセットアップポータルにアクセスし、「Synologyアカウント」の作成や、アカウントと製品の紐づけ、初期設定を行う。この作業はPC/スマホのどちらでもできるが、本体底面に貼られているシールのQRコードを読み取ると、後で登録する必要があるシリアルナンバーが付いた状態でセットアップ用のウェブサイトにアクセスできるので、この方法がおすすめだ。
▼BeeStationのセットアップポータル
BeeStation
以下の解説は、スマホ(Android)での手順に基づいている。iPhoneでも権限許可の画面にAndroid/iOSの違いがある以外は、まったく同じだ。
多要素認証を設定したGoogleアカウントかApple IDの利用がおすすめ
セットアップの冒頭でSynologyアカウントの作成を求められるが、GoogleアカウントもしくはApple IDで作成する方法がおすすめだ。この2つであれば、強力な多要素認証(2要素認証、2ファクタ認証、または略してMFAとも言われる)が利用できる。多くの人は、スマホのためにどちらかのアカウントは持っていて、多要素認証も設定済みのはずだ。
もしも、多要素認証を設定していない場合には、先に必ず設定してからBeeStationを使い始めてほしい。今後詳しく紹介していく予定だが、第三者にSynologyアカウントを乗っ取られると、BeeStationのデータに、どこからでも簡単にアクセスされてしまう。手軽に使えるだけに、このログイン認証がセキュリティの要と言ってもいい。
また、Synologyアカウントには、いつも利用しているメールアドレスを設定してほしい。BeeStationの重要な設定変更や異常など(例えば、悪意を持った誰かによるログイン試行失敗なども)があったときには、通知のメールが送られるので、それをリアルタイムで確認できるようにするためだ。
いつも利用していて、多要素認証も設定済みのはず、ということから、GoogleアカウントまたはApple IDの利用をおすすめする。なお、Synologyアカウントは、ほかのメールアドレスで設定したうえで、多要素認証を設定することも可能だ。
以下に、GoogleアカウントとApple IDの2段階認証/2ファクタ認証の解説ページを紹介しておく。GoogleアカウントとApple IDは、パスキーによる認証(パスワードに代わり、顔認証や別のデバイスのロックなどを使った認証)にも対応している。今回、パスキーについて詳しい説明は省くが、興味があったら調べてみてほしい。
▼Googleアカウントの2段階認証
2段階認証プロセスに関するGoogleヘルプ
▼Apple IDの2ファクタ認証
Apple IDの2ファクタ認証
▼Googleアカウントのパスキー認証
パスワードの代わりにパスキーでログインする
▼Apple IDのパスキー認証
パスキーの概要
指示に従ってBeeStation本体の電源を入れる
セットアップポータルでSynologyアカウントにサインインすると、機器(BeeStation)のセットアップが開始される。基本は、画面の指示に従って進めておけばいい。先述したシリアル入りQRコードからアクセスしていない場合は、途中でシリアルナンバーを入力する必要がある。
途中で、BeeStationの電源を入れるように指示されるが、それまでは電源を入れないでおこう。指示に従って電源を入れると、本体のLEDが白の点滅(システム起動中)になり、起動が終わるとオレンジ点灯(セットアップ準備完了)になる。この間は数分程度かかるので、焦らずにゆっくり待ってほしい。
ここまでの工程が完了すると、「ようこそ」画面が表示される。今後BeeStationを利用するために必要になる「BeePhotos」と「BeeDrive」アプリが案内されるので、まだインストールしていなければ、ここでインストールしてもいいだろう。
「ようこそ」画面を閉じると、BeeStationのコントール画面になる。以降はポータルにログインすると、この画面が表示され、すべての設定はここから行うことになる。
ポータルのBeeStationコントール画面で[オンライン]になっていれば、セットアップは正常に完了している。これで、自宅内Wi-Fiルーター経由でインターネットにBeeStationがつながり、使えるようになった。すぐに「BeePhotos」「BeeFiles」アプリを使い始めることもできるが、その前に、次回はもう少しこのコントール画面の使い方をチェックしてみようと思う。
今回の教訓(ポイント)
BeeStationのセットアップは、Synologyのポータルサイトから行う
Synologyアカウントのセキュリティには十分な注意が必要