自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第119回

Chromeリモートデスクトップでバッファロー版「nasne」の共有フォルダーへアクセスする準備

 本連載では【使いこなし編】の第48回から第53回まで、Amazonの「Fire TV Stick」と、アイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせて、録画したテレビ番組をWi-Fi経由で視聴する環境を紹介した。

 これと似ているが、バッファロー版の「nasne(ナスネ)」と、「PS5」やAmazon「Fire TV Stick」、または、スマホや「Chromecast with Google TV」向けの「torne mobile」アプリを組み合わせて、自宅内のWi-Fiだけでなく、外出先のモバイル回線やホテルで提供されているWi-Fiにつなぎテレビで視聴する方法や便利な使い方などを紹介している。

今回はちょっと趣向を変え、nasneの共有フォルダーへ外出先のモバイル回線からアクセスするためにリモートデスクトップを使ってみる

Chromeリモートデスクトップでnasneの共有フォルダーへ外出先からアクセス

 ここまでで活用している「nasne」の共有フォルダーは、自宅LANのWi-Fiにつながっているときのみに利用でき、外出先のモバイル回線からは利用できない[*1]

 nasneの使いこなしからは微妙に外れるが、今回はChromeリモートデスクトップの機能を使って、外出先からnasneの共有フォルダーにアクセスしてみよう。この使い方を覚えておくと、nasneを活用できるだけでなく、自宅にあるPCを外出先からいつでも操作できるので、重宝するはずだ。

[*1]……ソニー・コンピュータエンタテインメント製のnasneではAndroidアプリの「nasne ACCESS」があり、写真と動画の転送は外部から可能だった

 なお、この機能では、ネットワーク越しの接続がかなり手軽に実現できるので、テレワークで自宅から職場に置いてあるPCを操作することもできてしまうが、会社内で使う場合はセキュリティー上の理由で禁止されていないかをあらかじめ確認しておこう。

 この機能を使うとき、自宅PCはWindowsでもMacでも構わないが、電源がオンでLANに接続されている必要がある。回線は特に問わないが、自宅LANがインターネットに接続されていることも条件だ。

 今回は、フレッツ光でIPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)接続サービスを用いた回線を使っている。ちなみにポート開放などは不要だ。念のため記しておけば、接続時のセッションは暗号化されているので、ネットワーク上でのぞき見されることはない。

 この方法を試してみて気に入ったら、2~3万円程度で販売されていて消費電力の低い格安ミニPCを常時起動しておくといい。Amazon.co.jpで「MINISFORUM」や「CHUWI」、「Bmax」といったメーカー名を検索すれば見つけられるはずだ。機会があれば、こういった小型PCの活用方法も紹介してみたい。

外出先からモバイル回線でChromeリモートデスクトップを使えるように設定

 外出先からは、モバイル回線をテザリングで接続したPCや、直接スマホで接続する。接続中は映像を常時転送していて、動画を視聴しているのと同じような状態になる。大容量プランの回線ならあまり気にする必要ないが、それなりの通信量を消費するので注意して欲しい。もちろん、自宅LAN内で別の部屋からPCを操作するという使い方もできる。

 最初に、自宅に設置するPC側の設定をしよう。まず、PCの電源をスリープしないようにしておく。また、Googleのアカウントも必須だし、Google Chromeのインストールもしておこう。

まずは、PCがスリープしないように設定しておく。Windows 11は[設定]の[システム]―[電源]で[電源接続時に、次の時間が経過した後デバイスをスリープ状態にする]を[なし]に
macOSの場合は、[システム環境設定]で[バッテリー]を選び、[電源アダプタ]の[ディスプレイがオフのときにMacを自動でスリープさせない]にチェックを入れておく
GoogleアカウントでChromeへログインしておく

 そして、Chromeのアドレスバーへ「remotedesktop.google.com/access」と入力してアクセスし、ダウンロードボタンを押して拡張機能を追加しておく。

Chromeのアドレスバーに「remotedesktop.google.com/access」と入力して「リモートアクセスの設定」にアクセスし、ダウンロードボタンを押す
別ウィンドウで[Chrome Remote Desktop]の拡張機能の画面が表示されるので、[Chromeに追加]をクリック。さらに[拡張機能を追加]もクリックして追加する

 Chromeリモートデスクトップの設定を続ける。と言っても、PCの名前を入力し、PINを設定するだけだ。

アクセスしたときに分かりやすいよう、PCに名前を付ける
PINを設定する。このPINはアクセス時に必要になるので覚えておこう
Chromeでは、このような画面が表示される。「オンライン」と表示されていることを確認し、このまま放置しておく

リモート操作するPCの画面解像度を下げると、スマホで操作しやすく通信量も節約できる

 このほか、PCの設定からディスプレイの解像度を少し下げておくと、スマホやノートPCなどの小さめの画面でも操作がしやすくなるし、データ通信量も節約できる。スマホでの操作なら、なるべく横長画面の方がいい。ただ、大画面でもピンチイン/アウトで表示倍率を変更できるし、画面のスクロールもできるので、設定は必須ではない。

今回は[設定]の[システム]―[ディスプレイの解像度]で[1280×720]にしてみた
アクセスされる側の自宅PCの解像度はなるべく下げておこう
macOSの場合、[システム環境設定]の[ディスプレイ]で[サイズ調整]を選ぶと、解像度が変更できる

 次回は、設定した自宅PCへ、外出先でモバイル回線からアクセスしてみる。

今回の教訓(ポイント)

Chromeリモートデスクトップ機能を使うと、外出先モバイル回線から自宅PCにアクセスできる
受信側のPCには、設定時にPINを設定しておく

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。