自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第38回

自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?

 前回までで数回にわたって、家庭内で二重になったルーターを1つにする手法をお教えした。これで家庭内LANをスッキリ見渡せるようになったことになる。ここからは基本的に二重ルーターは解消しているものとしてテクニックを解説していく。もし二重のままであれば、紹介するテクニックは接続中のWi-Fiルーターでのみ使えることになる。

Wi-Fiアクセスポイントをはじめ、いろいろなネットワーク機器を繋げていくと、管理が煩雑になる。少しでも整理するための第一歩

 今回からは数回に分けて、家庭内LANの機器をスッキリ管理する手法をお教えするつもりだ。それは、LAN内のIPアドレスを分類して、頻繁に利用する機器のIPアドレスを固定化してしまおうというテクニックになる。なんでこんなコトをするのかと言うと、今後LAN内に接続する機器にアクセスして活用する際に、すごく便利だからだ。

 もし、LAN内で相互にアクセスすることのない、スマホやタブレットのみを接続するだけなら、この設定は不要なのでやらなくてヨシ。読み飛ばして欲しい。Wi-FiアクセスポイントやNASの増設をしないとか、してもほとんど設定作業をしないなら、初期状態のままでも利用自体は問題なくできる。まぁ整理しておくと、後のトラブルや再設定時などに便利だということだ。

 IPアドレスを固定してまず便利になる典型は、前回、二重ルーター解消のためにルーター機能をオフにして“Wi-Fiアクセスポイントと化したWi-Fiルーター”の設定だ(なんともややこしい表現だ)。

 前回も少し紹介したが、このWi-Fiアクセスポイントの設定をしようとすると、IPアドレスが自動で割り振られてしまうために「Fing」のようなIPアドレスを探索するアプリを使って確認する必要がある。この割り振りはルーターの設定によって、24時間とか一定の間隔で再割り当てされるので、次回しばらく経ってアクセスするとIPアドレスは変更されている。前回のIPアドレスでは設定画面が表示されないのだ。

 これでは面倒くさいので、頻繁にアクセスする機器はIPアドレスを固定して使おうじゃないかというワケだ。固定してしまえば、設定画面へのアクセスにブラウザーのブックマークも利用できるようになる(当然だがブックマーク利用はLAN内のみ)。

 IPアドレスを固定化すると便利な機器には、以下のようなものがある。主に設定時などに、ブラウザーでIPアドレスを指定してアクセスする機器と考えておくとわかりやすい。

IPアドレスを固定すると便利な機器

Wi-Fiアクセスポイント(ルーター)、Wi-Fi中継器、NAS、プリントサーバー、ネットワークカメラ、ホームネットワーク機器、ネット対応ビデオ、ミュージックサーバー、ファイルサーバーとして使うパソコンなど

IPアドレスを固定しなくてもいい機器

パソコン、スマートフォン、タブレット、スマートスピーカー、ゲーム機、読書用端末など

 なんとなくわかるかもしれないが、“利用する側”は固定不要で、“利用される側”は固定した方が便利ということだ。

 これら2種をちょっと分類して登録することで、IPアドレスを固定してもバッティングしないで済むようになる。例えば、筆者宅の家庭内LANを「Fing」でスキャンしてみると、以下のような表示になるのだが、この画面のリスト上位4つはIPアドレスが常に固定されている機器となっている。下は、接続すると勝手に割り振られるスマホなどの機器だ。

赤枠がIPアドレスを固定している機器。それ以外は、ルーターによって自動で割り振られている

 ナニを言っているのかイマイチわからない人もいるかもしれないが、次回はLAN内でIPアドレスを操作する原理をもう少し丁寧に解説していこう。一度設定してしまえば、今後ずっと便利になる。

今回の教訓(ポイント)

Wi-FiルーターをWi-Fiアクセスポイントにして使い始めたら、IPアドレス固定して使うことを考えよう
将来増設するNASやWi-Fi中継器などの設定も、格段にやりやすくなる。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。