自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第8回

失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2)

iPhoneユーザーにはApple製Wi-Fiルーターがオススメなのかどうか考察

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 前回は、Wi-Fiルーターの製品選びでは国内と海外のメーカー選びから始めると決めやすいことなどを解説した。今回も引き続きWi-Fiルーターの製品選びについて考えていくが、今回は比較的ユーザーの多いiPhoneで使うのに、Apple製Wi-Fiルーターの選択はどうなのかを少し考えてみたい。

Apple製のWi-Fiルーター。アンテナは外部になく、動作ランプも最小限でスタイリッシュなのが特徴。縦長の製品が「AirMac Time Capsule」というモデルで最新モデル

 基本的に、Apple製品のiPhoneだからといって、Apple製のWi-Fiルーターを選択しないとWi-Fiが繋がらないということはないし、設定もできないということはない。好みで選択してもらって構わない。ただ、そこはさすがApple製品というべきか、ソフト面の作り込みが秀逸で、iOSにて設定用の「AirMac」アプリをインストールすると、設定の「Wi-Fi」部分とも統合して、ルーターの回線接続や管理がアプリにより格段に楽になる仕組になっている。画面は、iOSのルールに従っていて全く違和感がない。なお、Mac OSでは「AirMacユーティリティ」が入っているので、そちらを使って同様の設定をする。

iPadでの「AirMac」アプリ画面。iPhoneでもサイズ以外は基本的に同じ画面。接続模式図の各機器をタップすると設定ができる。設定画面もiOSに慣れていると分かりやすい
各機器の設定ができるほか、接続トラブルやファームウェアアップデートなども通知される。このあたりもiOSでの使い勝手を踏襲。グリーンランプ点灯は接続良好
iOSの「設定」→「Wi-Fi」の接続済みSSIDには「このネットワークを管理」という項目がある。ここからAirMacアプリに遷移する。初回接続設定もこのWi-Fiから手順を踏んで行える

 このアプリを使って統合された管理を便利そうだと思うなら、Apple製のWi-Fiルーターを選択する価値があるだろう。単にアプリを使ったWi-Fiルーターの設定ということであれば、他社の製品でもある。この設定専用アプリがないモデルでは、ブラウザーを使って設定することになる。どこまでiOSと使い勝手を統合させたいかや、トラブル時にApple純正品であるため原因解決が早いことに期待するといった観点で決めればよい。ほか、スタイリッシュなデザインに惹かれたという、単純な理由でも良いだろう。

 ちょっと残念なことに、AirMacベースステーションはここ最近、新モデルが登場していない。とはいえ、一番新しい「AirMac Extreme」は11acで3×3 MIMOに対応しているので十分な性能ではある。ルーターが不要で11nで良ければ「AirMac Express」で済ませるということもできる。なお、「AirMac Time Capsule」というモデルがあるが、これはAirMac ExtremeにMac OSでの標準バックアップツールである「Time Capsule」の機能を追加したものだ。HDDが内蔵されている。AirMac Extremeに外付けHDDを接続しても、同じことができる。このTime Capsule機能はMacのみで、スマホのパックアップには対応していないことと、NASとしての利用は推奨されていない(頻繁にスリープするのでディスクの接続が切れる)ので注意して欲しい。iPhoneで外出先からNAS機能が使える新モデルでも出るとキラーモデルになりそうなのだが、iCloudとバッティングするため望みは薄いだろう。

 ちなみに、このAirMacのExtremeとTime CapsuleにはACアダプターが無く、ACケーブルを直接差し込んで使う。設置場所をスッキリさせることができる。

現行のAirMacシリーズは、「Time Capsule」「Extreme」「Express」の3種。Expressはルーターではなく、Wi-Fiも11nまでの対応(Appleのウェブサイトより)

 いくつか注意点だが、AppleではWi-Fiルーターを「AirMacベースステーション」と呼んでいる。「ベースステーション=アクセスポイント」となるので、用語を置き換えて考えて欲しい。また、初期値で割り振られるプライベートIPアドレスの空間が、一般的なクラスCの「192.168.0.0~」ではなく、クラスAの「10.0.0.0~」になっている(具体的には10.0.1.1からでクラスは変更可)。使用上、特に問題はないが、見慣れないので最初ちょっと驚くかもしれない。

 ほか、重要な点は、一般的なウェブブラウザーを使った設定ができないということだ。AppleのiOS系、Mac OS以外から設定をしようとした場合には、Windows版の設定アプリはあるが、それ以外は無い。WindowsのPCかApple製品が必要になる。

 結論で言えば、Apple製品で固めていれば、スタイリッシュでけっこう便利だということだ。なお、iPhoneやiPadで使うのみであれば、11ac 2×2 MIMO対応であれば十分で、ハイエンドルーターを選ぶ必要はない。

今回の教訓(ポイント)

「iPhoneを使っているなら、スタイリッシュなApple製AirMacシリーズもオススメ」
iPhoneから「AirMac」アプリを使ってWi-Fiの設定や接続確認が簡単にできる。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。