自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第2回

「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?

 前回から始まった、迷えるスマホユーザー向けに自宅Wi-Fi活用をお教えしていくコーナー。今回からは、「Wi-Fiルーター」について少し掘り下げていこうと思う。

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧

 さて、スマホでWi-Fiを使うと考えると、2パターンが思いつく。外出先で使う公衆Wi-Fiと、自宅に引いた回線に繋ぐ自宅Wi-Fiだ。この2つは似ているが違うモノと考えよう。公衆Wi-Fiを利用したことがあると、「Wi-Fiは遅い!」というイメージがあるかもしれないが、これは使われている機器が互換性優先とか、昔設置したまま放置されてるとか、多人数で繋ぎ過ぎてるとか、アクセスポイントが遠いとか、Wi-Fiの先の回線がモバイル回線だとか、もろもろの要因で悪い条件が重なった末の結果だ。自宅の光回線に自前で最新のWi-Fiルーターを用意すれば、全く別世界が広がると考えてもらってよい。

 現在のWi-Fiは登場から進化をしていて、接続速度がグンと速くなっている。2000年前後に普及し出したタイプ(IEEE 802.11a/b/g)は理論値で11Mbps~54Mbpsと、100Mbpsにも遠く及ばない速度。その後、2010年ごろに普及しているタイプ(IEEE 802.11n)でも、150Mbps程度あたりが最も普及しているはず。それに対し最新機種(IEEE 802.11ac+MIMO)なら、最低でも433Mbps、速いものは1Gbps~3Gbps超えすら実現していて、下手をすると有線LANより高速だったりする。

Wi-Fi規格の一覧。現在、選びたいのは11acのMIMOを組み合わせたモデル

 さてこのWi-Fi(知ってるとは思うが「ワイファイ」と読む)というヘンな用語、そもそもは無線LANの機器同士の接続を保証する認定ロゴに使われる名前だ。いつしか本来の無線LANという用語より一般的になってしまった。無線LANは、ケーブル接続でパソコン同士を繋ぐLANを無線にしたもの。無線でデジタル機器を繋いでネットワーク化して活用する。

 「Wi-Fi」で親機と子機の間を無線で繋ぐ。そして「ルーター」は光回線などの外部ネットワークとの接続作業をしてくれる。この2つの機能を合体させて「Wi-Fiルーター」だ。ちなみに、ルーターの機能をオフにしてWi-Fi部分だけを活用することも可能。この使い方を「Wi-Fiアクセスポイント」と呼び、この接続方法を「ブリッジ接続」などとも呼んでいる。このあたりは実践時に詳しく触れよう。光回線事業者がWi-Fiルーターをレンタル提供する場合もあるが、Wi-Fi機能が古いことが多いので利用せず、自前で用意するのが鉄則だ。Wi-Fiオプションのような契約はしないようにしたい。

 総括すると、Wi-Fiルーターは無線と有線のLANをまとめて外部のインターネットに接続してくれる機器ということ。最近では、パソコン、スマホ、タブレットだけでなく、テレビやビデオ、ゲーム機器、デジカメなど、多くの機器を繋ぐハブの役割を果たすようになり、いきおい重要度を増している。ここが遅いと家庭内のすべての機器に影響が出る。

最近ではAV機器やゲーム機など、Wi-Fiに繋がることが多くなった。Wi-Fiルーターの役割が重要になっているのだ

 現状でのWi-Fi規格選択はあまり深く考えず、「11ac+MIMO」対応ルーターを選んでおけば間違いがない。ちなみに規格名のアタマに付く「IEEE 802.11」は、無線LANを表している国際標準規格だ。本連載では分かりやすく省略して「11ac」などと記述していこう。パッケージや設定画面なども省略されているケースが多い。

Wi-Fiルーターのパッケージ例。「11ac」と「3×3」のMIMOに

 なお、MIMOについては次回解説しよう。簡単に言うと、複数アンテナで効率よく通信する仕組み。ほかにも、全く違う周波数の60GHz帯を使う「11ad」規格のモデルが数種販売されているが、こちらは各社まだ様子見なので時期尚早。2018年あたりには11acをより効率良くして1.5倍ほど速度が上がる「11ax」が標準化されるはずなのだが、とりあえずは11acで十分。現行スマホの多くが11ac対応機種で、MIMOは上位モデルであれば対応機種が多い。このセットで光回線の最大1Gbpsに近づける(もしくはLAN内では超える)というのが、快適通信のポイント。ネットの回線速度からして、しばらくは十分な性能だからだ。もちろんタイミングによっては11axを待ってもよいが、製品が普及するのは東京オリンピック開催のころのはず。そのころまた必要に応じて更新を検討してよいと思う。

今回の教訓(ポイント)

「2017年、Wi-Fiルーターを買うなら『11ac』で『MIMO』対応を」
11acでMIMO対応のWi-Fiルーターであれば、光回線でストレス無くインターネットが楽しめる。ギガ回線でもしばらくは安泰だ。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。