自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
第16回
Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
2018年4月2日 12:30
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)
前回は、Wi-Fiルーターを区別する名前の役割をするSSIDを設定する際の注意点について解説した。今回は、同時に設定することになる暗号化の方式やキーについて解説してみたい。前回に引き続き、少しの時間お勉強しよう。設定の実践は次回からだ。
暗号化キーの呼び名はモデルによって、「Wi-Fiパスワード」や「パスフレーズ」、「セキュリティキー」、「事前共有キー」、単に「パスワード」と書かれているなどまちまち。用途としてはみな同じでSSIDに対するパスワードを設定するような使い方になるのは、ご存じのとおりだ。子機側からは、特定のSSIDに対してこの暗号化キーを入力すればWi-Fiへの接続が完了する。
実際の設定では、Wi-Fiルーターに暗号を解読するための鍵(パスフレーズ)を設定している仕組みになっている[*1]。そのため、使い方を見るとパスワードのようなのだが、キーという名前で呼ばれているのだ。さらに選択する暗号化方式は、暗号化に使われる技術(アルゴリズム)と接続時に使われる認証する方式で呼び名が異なることが、設定時に混乱をまねく元になっている。下表の赤い部分を設定すると覚えてしまえば簡単だ。
この暗号化方式を設定した上で、キーの文字列を設定して使うワケだ。
[*1]……後述するWPA2-PSKでは、設定した事前共有キーをそのまま使わずに、16進数で64桁のハッシュ関数を使った暗号化キーを生成し、これを元に暗号化をする。さらにこのキーは設定した間隔で変更される。なんだかややこしいが、事前共有キーは便宜上設定して決めておくキーで、実際に使われるキーは異なり、かつ定期的に変更されることで、一定時間データを読み出してのハッキングに対して強くしているのだ。
暗号化の技術は「AES」[*2]が標準で、これより古い形式として「TKIP」と「WEP」が存在する。さらに、この暗号化の技術を使った認証方式として「WPA2」[*3]があり、古い「WPA」、「WEP」も存在するといった具合に、互換性のため古い技術の選択肢は多いのだが、現状で選択するのは「AES」を使った「WPA2」とだけ覚えておけばOKだ。現在のスマホやPCは、すべてこれに対応している。
[*2]……無線LANとしてはCCMPというAESが元になったプロトコルが使われているのだが、一般的にAESの名前が使われていて、設定画面にはAESと出てくることが多い。もしCCMPと表示されたらそれを選ぼう。「CCMP(AES)」などと書かれることもある。
[*3]……このWPA2とWPAは、「WPA2-PSK」と「WPA-PSK」と書かれていることもあるが、家庭向け製品では同じことだ。実はWPA2(WPA)には、家庭用(パーソナル)とオフィス用(エンタープライズ)があり、PSK(Pre-Shared Key)とは家庭用に作られた方式を厳密に表記している。事前共有キーとはこの方式でのキーを意味している。macOSやiOS、Windowsでは「WPA2パーソナル」と表記されている。
注意点だが、この暗号化方式の中でWEPだけは 【絶対に】 使用しないように注意したい。クラックツールを使い、ものの数分で簡単にキーが破られてしまうからだ。WPA2(WPA)でTKIPを使うのもWEPがベースになっているので同様に避ける。
数年前までは、このWEP暗号化がニンテンドーDSとDS Liteにて利用するために、サブ用に使うセカンダリSSIDなどで、あらかじめ設定されたりしていた。ゲーム機側がWEPでの接続しかサポートしていなかったので致し方なかったのだが、現在こういった古い機器向けにWEPを常用するのはとてもキケンだ[*4]。現在では初期状態でセカンダリSSIDがオンになっていて、WEPが設定されているケースは少ないと思うが、念のため注意しておきたい。
また、Wi-Fiルーター製品によっては、WPA2とWPA、AESとTKIPの組み合わせを、子機側の対応状況に合わせて自動で決めるオートモードを持っている(ボタンプッシュ接続で自動選択されることが多い)。便利そうではあるが、意図せずにTKIP接続を許してしまうことのないように、オートではなくWPA2とAESの組み合わせで使うように強制的に手動設定するのがベストだ。
[*4]……ニンテンドーDS向けのインターネット通信サービスは2014年に終了している。ちなみに、ニンテンドー3DSではWPA2に対応している。また、Nintendo Switchは、WPA2(AES)に対応していて、TKIPを使ったWPA/WPA2とSSIDがステルスの設定、「AOSS」や「らくらく無線スタート」には対応していない点には注意。
暗号化に関しては、PCの性能向上もあって、残念ながらハッキングとイタチごっことなっている。WPA2もすでに脆弱性が報告(子機側がこの脆弱性の対策をしていれば問題ない)され、2018年後半からは「WPA3」が使われ始める予定になっている。WPA3では、CNSA(Commercial National Security Algorithm)という暗号化が採用されることになっていて、WPA2と相互運用ができる仕組みになる。このあたりの技術進歩には、時流に合わせてアップグレードする心がけが必要となる。
さて、SSIDと暗号化については基本を勉強したので、次回は実際に設定してみよう。設定の項目が、なんの目的なのかがよくわかるはずだ。
今回の教訓(ポイント)
暗号化方式の選択は、必ず現状最強の「WPA2(AES)」を選ぶ
WEPの暗号化方式は使わないようにする。WEPのセカンダリSSIDが動作していないかに注意。
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