自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第14回

ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる

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 前回までで、Wi-Fiルーターを回線に接続し、工場出荷時の初期SSIDと暗号化キーを使ってWi-Fi経由での接続を試みた。この初期SSIDと暗号化キーは簡単に繋がるが、初期設定用のために用意されている仮のものなので、セキュリティの問題があるためそのまま使い続けてはいけない。これらを簡単に変更して使う機能として、本体のボタンプッシュを使った接続方法が用意されている。今回は、こちらを実践してみよう。

 このボタンプッシュは手順を簡略化するもので、ベーシックに手動で設定する方法も後ほど紹介する。万能なのは手動設定なので、ヘビーな使い方を想定しているなら、このボタンプッシュ接続は読み飛ばして欲しい。

バッファロー「Air Station」の目立つ場所に付く、ボタンプッシュ接続用の「AOSS」ボタン。WPSとしても動作する

 本体のボタンプッシュを使った接続方法は、以下の異なる方式がある。Wi-Fiルーターに搭載されている方式とスマホなどの子機側で同じ方式で合わせる必要がある。「AOSS」と「らくらく無線スタート」は、どちらも子機側からWPSにて接続するとWPSとしても動作する。

本体ボタンプッシュを使った接続方法

規格元方式iOSAndroidWindows 7以降macOS
Wi-FiアライアンスWPS(Wi-Fi Protected Setup)××
バッファロー(AirStation)AOSS/AOSS2
NECプラットフォームズ(Aterm)らくらく無線スタート/らくらくQRスタート

 この双方で方式を合わせるというのが、ちょっとクセ者で、全子機が対応していないと面倒なことになる。WPSはApple製品は未対応。iOSとmacOSでは使えない。また、ニンテンドーのSwitchは、すべてのプッシュボタン接続に未対応(WiiやWii U、3DSは対応している)なことを、あらかじめ知っておきたい。

 手順を簡単に解説すると、最初の接続でWi-Fiルーターのボタンを押し、続けて対応子機からアプリや設定などから接続ボタンをタップすると、自動的にSSIDと暗号化方式、暗号化キーが設定されて接続される。Wi-Fiルーターのボタン→子機のボタンの順に押して自動接続させていくイメージだ。もちろん初期SSIDと暗号化キーは書き換えられる。以後、子機を追加する際も同様の手順を踏む。

 最後に、設定画面でWPSやAOSSの物理キーの動作をオフにしておけば、来客や子どもにイタズラで接続されることを防ぐことができる。

WPSでの接続例

1)Wi-Fiルーターの「WPS」ボタンを長押しする。「AOSS」や「らくらく無線スタート」のWi-Fiルーターでもボタンを押すとWPSとしても機能する

2)インジケータが点滅に変わる。この回る矢印アイコンがWPSの目印

3)点滅している間に、子機側からWPSでアクセスする

・Android

Android(画面は5.1.1の例)では、Wi-Fiの設定画面から[≡]を選択し、[詳細設定]→[WPSプッシュボタン]へと進む
WPSのスキャンが始まる
WPSで接続成功

・Windows 10

Windows 10の場合、通常のWi-Fi接続同様に表示されるSSIDを選択する
セキュリティーキ(暗号化キー)は入力せずに進めると接続する

 「AOSS」と「らくらく無線スタート」の場合も、子機側からの接続に専用アプリを使うという以外、基本的な手順は同じだ。Wi-Fiルーター側のボタンを長押ししたあと、子機側の専用アプリからアクセスして画面に従っていく。パソコンを接続させる場合には、専用ツールを利用する。「AOSS」でのWindowsでは「クライアントマネージャV 」を、macOSでは「AOSSアシスタント」を使い、「らくらく無線スタート」では、WindowsとmacOSどちらも「らくらく無線スタートEX」を使う。こういった専用アプリやツールが面倒で、AndroidとWindowsなら、WPSを選択すればよいと思う。

AOSSの接続例

Wi-Fiルーター側の「AOSS」ボタンを長押しし、インジケータが点滅するのはWPSと同じ。スマホ側は「AOSS」アプリを使って設定する
Wi-Fiルーターを自動感知して、設定が進んでいく
最終的に接続成功画面が表示されれば接続完了

 面倒なのは、未対応機器を追加接続したいケースだ。この場合、ボタンは使えないので、Wi-Fiルーターの設定画面でボタンプッシュで自動設定されたSSIDと暗号化キーを確認し、これらを子機側に入力すれば接続できる。この自動生成されたSSIDや暗号化キーの文字列が長いので面倒なことがある。また、この連載で使用している2機種は、どちらもボタンプッシュ接続後も初期SSIDと暗号化キーのまま接続された。セキュリティを考えるとよろしくない状態だ。それであれば、最初から自分で理解しやすいSSIDと暗号化キーを設定してしまったほうが、安全だし、あとの接続でもわかりやすい。

 設置後に追加で接続すると思われる、プリンターやゲーム機、Wi-Fi中継器、BDレコーダー、テレビ、スマートスピーカーなど、すべてを同一形式のボタンプッシュ方式に合わせるのは至難を極める。ヘビーに使うならボタンプッシュにこだわらず、最初から自分で記入する設定を考えたほうが、実際には手間がかからなかったりする。対応するスマホやPCを数台繋げるだけなら、ボタンプッシュは手軽なので、ぜひ活用して欲しい。ボタンプッシュから手動設定へは、設定次第で切り替え可能だが、これまでボタンプッシュで接続していた機器は再度接続し直す必要が出てくるので二度手間だ。

 ちなみにWPSには、ボタンプッシュの代わりに数字を記入して接続させるWPS PINという方式もあるのだが、こちらは脆弱性が報告されているので利用しないようにしよう。

今回の教訓(ポイント)

少ない台数で対応機器のみの接続予定なら、Wi-Fiボタンプッシュ設定は便利
さまざまな子機を接続させ、ヘビーに活用するなら手動設定がオススメ。特にApple製機器とニンテンドーSwitchのユーザーは注意。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。