自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第12回

とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧

 前回までで、Wi-Fiルーターをネット回線に繋げて電源を入れるというところまで行った。回線側となるWi-Fiルーター前段にルーターが無ければ、初回アクセスの画面で回線接続を促され、ルーターがある状態では2重でルーターが動作するか、前段ルーターを自動感知しアクセスポイントモードに切り替わってインターネットに繋がることになるはずだ。この状態で、Wi-Fiルーターはとりあえず回線に繋がっていることになる。今回はこの状態から、スマホを使ってWi-Fi経由で試験的に繋げてみる。ボタンプッシュによる簡単接続は次回以降に解説するので、そちらを試したい場合にはしばし待って欲しい。

スマホを使いWi-Fi経由にてWi-Fiルーターに繋げて設定を試みる。TP-Link製のWi-Fiルーターは「Tether」というスマホアプリを使って設定と管理ができる

 初回の試験的なWi-Fi接続には、箱を開けた際に確保しておいた工場出荷状態でそのまま使える初期SSIDと暗号化キー(パスフレーズやWi-Fiパスワードなどと書かれていることもある)を使う。これは、初回にとりあえず接続して、初期設定などを行うための使うものだ。

 初期SSIDと暗号化キーのセットでWi-Fi接続はできるのだが、このままの状態で使い続けてはいけない。これは絶対にだ! この点は約束として覚えておいて欲しい。

 工場出荷状態の初期SSIDと暗号化キーがどういうルールで決められるかはメーカーによって異なるが、SSIDがすべて同一だったり(最近はほとんど無くなったが)、一部にMacアドレスが使われていたり、暗号化キーもルールが解読される可能性があるなど、セキュリティ面で考えると危険な状態にあることが多い[*1]。これらは設定時のみ使って、あとはオリジナルの文字列に変更してから利用するようにする。特に暗号化キーは必ず変更しておく。絶対にこのまま長時間使い続けてはいけない。もし設定を途中で中断するなら、念のため初期SSIDと暗号化キー状態のWi-Fiルーターは電源を切っておくようにしたい。これら変更方法は、またあとの回で解説しよう。

[*1]……初期SSIDのパターンからメーカーや機種が判明しやすく、機種がわかると初期暗号化キーの割り振りパターンもわかってしまう。初期暗号化キーも出荷時に機械的に割り振っているので、解析に弱いパターンのフレーズの場合、その規則性から類推される可能性はゼロではない。

初期SSIDと暗号化キーはセットアップカードなどに記載されている
スマホのWi-Fi設定から初期SSIDを見つけて接続する

 Wi-Fi経由で接続できたら、Wi-Fiルーターの設定画面にアクセスする。ウェブブラウザー(Google ChromeやSafariなど)を使ってアクセスするのが一般的なパターンだ。ウェブブラウザーに設定画面を表示させるには、アドレス欄に「192.168.XXX.1」のようなドットで区切った4つの数字の塊で表現されるIPアドレスの数値[*2]を入力し、Enterキーを押せばアクセスできるという仕組みになっている。その機種固有のアクセス用IPアドレスは、必ずマニュアルに書かれている。

 メーカーによっては、設定と管理ができる専用スマホアプリが用意されていることもある。これだとIPアドレスの入力が不要になるので、より手軽でわかりやすい。

[*2]……この数値はIPv4のIPアドレスそのもので、LAN内で使えるプライベートIPアドレスのうち特定IPアドレスをルーターに割り振りアクセスできるようにしている。設定画面を表示するおまじないだと思って正確に入力しよう。ちなみにインターネット上でも同じ仕組みのグローバルアドレスでアクセスできる。例えば、Googleなら「172.217.31.163」だ。試しに入力してみて欲しい。

バッファロー製品の場合、ウェブブラウザーに「192.168.11.1」を半角英数字で入力してアクセスする
設定画面にログインする。このパスワードはWi-Fiの暗号化キーとは異なるので間違えないように。初期パスワードは後ほど変更しておく

 設定画面へのログインでは、IDとパスワードの入力を促される。設定画面への初回アクセス時に設定画面ログイン用パスワードの設定を強制される場合もある。この初期管理用パスワードはたいていメーカー内で同一のもので簡単なパスワードになっているので、必ず変更しておきたい。Wi-FiルーターのLANポートにPCを接続し、管理用パスワードを初期値から変えてないと管理画面にアクセスを許してしまうことになる。注意しよう。

TP-Linkのスマホアプリ「Tether」を使った初回設定時には、ログインパスワードの新規設定を促される。セキュリティを考えると親切な作りと言える
バッファロー製品の設定画面。ウェブブラウザーでアクセスしている

 設定画面へアクセスすると、インターネット接続を設定する画面が自動で表示されるケースもある。この場合は画面に従って入力していき、接続を完了させてしまおう。次回はインターネット接続の設定方法について、簡単に解説してみたい。

今回の教訓(ポイント)

初期設定用のSSIDと暗号化キーのままでは使い続けないようにする
初期SSIDと暗号化キーは、あくまで一時設定のためのもの。日常使用に使うのはセキュリティ面で危険度が高い。再設定は必須。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。