自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
第34回
もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
2018年8月27日 06:05
前回まででWi-Fiルーターの基本的な設定ができたことになる。今回から数回で、二重ルーター状態のチェックと、解消方法について解説していこうと思う。ワリと気が付かないまま使い続けているケースも多いはずだ。
ちなみにルーターは、1つの機器に複数の利用端末を接続して、すべて均等にネット接続を利用できるようにする機能で、設定によりオン/オフできる[*1]。具体的にはIPアドレスやDNSといったネット接続に必要な情報を割り振って管理している。ルーターから見て外側のネットと、内側の自宅Wi-Fiをスムーズに変換する橋渡し役だと想像してもらえるといい。
二重ルーターの状態とは、回線接続用の端末と、あとから接続したWi-Fiルーターで両方のルーター機能が動作している状態のことだ。この状態でも、Wi-FiルーターのWi-Fiに接続して、特に問題なくネットの閲覧はできる。そのため、これまでは「特に気にする必要は無い」としてきたのだ。
[*1]……間違えてルーター機能をすべてオフにしてしまうと、インターネットが閲覧できなくなるので注意。LAN内のIPアドレスの割り振りも行われない状態になるため、設定画面も表示できなくなる。この事態に陥ったら、Wi-Fiルーターを初期化するしかない。
ではなぜ解消しようとしているのかというと、以下の問題が起きるときがあるためだ。
1)ルーターを2つ通過するので、その分、無駄に速度が遅くなる
これは当然。経路の変換を1つ余分に使っているので当然その分遅くなる。とはいえ、極端に低下するワケでもないので、スマホ利用なら気にするほどではない。
2)Wi-Fiルーターに接続した端末で回線接続用端末の設定ができない
通常Wi-Fiルーターに接続していると思われるが、その状態で前段となる回線接続用端末は別のLANとなってしまうため、接続はできない。設定時は有線LANで回線接続用端末のLANポートに直接接続するしかない。回線トラブル時に少しあわてるかもしれない。また、回線接続用端末にPCやプリンターを有線LAN接続にて使うケースでは、Wi-Fiルーターに接続している端末との通信や共有ができない。
3)インターネット側から自宅内へのアクセスが難しい
インターネット側から見ると回線接続用端末のルーターがあるので、通常、Wi-Fiルーターへはアクセスできない。ルーターが均等に割り振っているので、決め打ちする設定をしないとならないからだ。ゲームやウェブカメラ、NASサーバー運用、ビデオデッキ録画のネット試聴など、外出してインターネット側からアクセスするサービスが利用できなくなる。これは逆に考えると、インターネット側からの不正アクセスはほぼ心配なくなるといメリットにもなる。
そもそもネット側からのアクセスは、それなりの設定をしない限りできないのだが、二重ルーターでやろうとすると、さらに複雑化する。この外出時の自宅LANにアクセスするという利用法を考えているなら、二重ルーターは解消するか、外部から接続する機器を1段目の回線接続用端末のルーターに接続するようにする。
上記が気にならないなら、一応状況のチェックだけしておいて、二重ルーターのまま使い続けるというのも間違いではない。特にスマホのWi-Fi接続のみの運用なら、速度低下もあまり気にならないだろう。LAN内でファイル共有をしないのであれば、ほとんどトラブルも出ない。2)で解説しているような回線トラブル時に設定画面が出せないので、ちょっと困ったことになる程度だ。
とはいっても、本来の速度でネットを楽しむためにも、なるべく二重ルーターは解消してしまったほうが良いだろう。トラブル解決やLANの拡張もシンプルなのでやりやすい。
よくありがちなのは、将来、Wi-Fiルーターを複数台設置するなどLANを拡張しようとした際に、回線接続用端末ルーターにWi-Fiルーターを追加して、既存のWi-Fiルーターに接続している機器と通信できないとあわててしまうことだ。この場合、別のLANになるので、例えばChromecastを異なるWi-Fiルーターに接続した状態だと、キャストしようとしてもできなくてあわてることになってしまう。Wi-Fiルーターを追加するとしても、同一LAN内でアクセスポイントとして追加していけば、大きな1つのLANとして管理することができる。
将来の拡張時のためやトラブル対策を簡単にするためにも、二重ルーター状態は解消しておくことをお勧めしたい。次回以降、解消の具体的な方法を実践していこう。
今回の教訓(ポイント)
自宅のWi-Fiルーターが二重ルーターになっていると後々の活用で不便になる
スマホでのWi-Fi接続だけなら、二重ルーター状態は気にしなくてOK。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)