自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第34回

もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?

二重ルーターでは、自宅回線のネット接続までの間に2つのルーターが動作している。気がつかないだけで、ワリとありがちなパターン

 前回まででWi-Fiルーターの基本的な設定ができたことになる。今回から数回で、二重ルーター状態のチェックと、解消方法について解説していこうと思う。ワリと気が付かないまま使い続けているケースも多いはずだ。

 ちなみにルーターは、1つの機器に複数の利用端末を接続して、すべて均等にネット接続を利用できるようにする機能で、設定によりオン/オフできる[*1]。具体的にはIPアドレスやDNSといったネット接続に必要な情報を割り振って管理している。ルーターから見て外側のネットと、内側の自宅Wi-Fiをスムーズに変換する橋渡し役だと想像してもらえるといい。

 二重ルーターの状態とは、回線接続用の端末と、あとから接続したWi-Fiルーターで両方のルーター機能が動作している状態のことだ。この状態でも、Wi-FiルーターのWi-Fiに接続して、特に問題なくネットの閲覧はできる。そのため、これまでは「特に気にする必要は無い」としてきたのだ。

[*1]……間違えてルーター機能をすべてオフにしてしまうと、インターネットが閲覧できなくなるので注意。LAN内のIPアドレスの割り振りも行われない状態になるため、設定画面も表示できなくなる。この事態に陥ったら、Wi-Fiルーターを初期化するしかない。

二重ルーター状態の自宅Wi-Fiの模式図

 ではなぜ解消しようとしているのかというと、以下の問題が起きるときがあるためだ。

1)ルーターを2つ通過するので、その分、無駄に速度が遅くなる
 これは当然。経路の変換を1つ余分に使っているので当然その分遅くなる。とはいえ、極端に低下するワケでもないので、スマホ利用なら気にするほどではない。

2)Wi-Fiルーターに接続した端末で回線接続用端末の設定ができない
 通常Wi-Fiルーターに接続していると思われるが、その状態で前段となる回線接続用端末は別のLANとなってしまうため、接続はできない。設定時は有線LANで回線接続用端末のLANポートに直接接続するしかない。回線トラブル時に少しあわてるかもしれない。また、回線接続用端末にPCやプリンターを有線LAN接続にて使うケースでは、Wi-Fiルーターに接続している端末との通信や共有ができない。

3)インターネット側から自宅内へのアクセスが難しい
 インターネット側から見ると回線接続用端末のルーターがあるので、通常、Wi-Fiルーターへはアクセスできない。ルーターが均等に割り振っているので、決め打ちする設定をしないとならないからだ。ゲームやウェブカメラ、NASサーバー運用、ビデオデッキ録画のネット試聴など、外出してインターネット側からアクセスするサービスが利用できなくなる。これは逆に考えると、インターネット側からの不正アクセスはほぼ心配なくなるといメリットにもなる。

 そもそもネット側からのアクセスは、それなりの設定をしない限りできないのだが、二重ルーターでやろうとすると、さらに複雑化する。この外出時の自宅LANにアクセスするという利用法を考えているなら、二重ルーターは解消するか、外部から接続する機器を1段目の回線接続用端末のルーターに接続するようにする。

 上記が気にならないなら、一応状況のチェックだけしておいて、二重ルーターのまま使い続けるというのも間違いではない。特にスマホのWi-Fi接続のみの運用なら、速度低下もあまり気にならないだろう。LAN内でファイル共有をしないのであれば、ほとんどトラブルも出ない。2)で解説しているような回線トラブル時に設定画面が出せないので、ちょっと困ったことになる程度だ。

二重ルーターを解消した自宅Wi-Fiの模式図

 とはいっても、本来の速度でネットを楽しむためにも、なるべく二重ルーターは解消してしまったほうが良いだろう。トラブル解決やLANの拡張もシンプルなのでやりやすい。

 よくありがちなのは、将来、Wi-Fiルーターを複数台設置するなどLANを拡張しようとした際に、回線接続用端末ルーターにWi-Fiルーターを追加して、既存のWi-Fiルーターに接続している機器と通信できないとあわててしまうことだ。この場合、別のLANになるので、例えばChromecastを異なるWi-Fiルーターに接続した状態だと、キャストしようとしてもできなくてあわてることになってしまう。Wi-Fiルーターを追加するとしても、同一LAN内でアクセスポイントとして追加していけば、大きな1つのLANとして管理することができる。

 将来の拡張時のためやトラブル対策を簡単にするためにも、二重ルーター状態は解消しておくことをお勧めしたい。次回以降、解消の具体的な方法を実践していこう。

今回の教訓(ポイント)

自宅のWi-Fiルーターが二重ルーターになっていると後々の活用で不便になる
スマホでのWi-Fi接続だけなら、二重ルーター状態は気にしなくてOK。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。