自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第45回

家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)

 ここまで約1年ちょっと、全44回にわたり、家庭でWi-Fiルーターを導入するひと通りの指南をしてきた。当初はここまで続くと思っていなかったので、これもひとえに読んでくれた皆さんのおかげだ。改めて深くお礼を言っておこう。

 ちょうどキリの良いタイミングなので、今回から数回に分けて簡単に概要をまとめておきたい。ちょうど新年からと相応しいタイミングになったが、あくまでも偶然だ。

昨年はアクセス頂きありがとうございます。2019年もヨロシク!

 今後、新たにWi-Fiルーターを導入したいという人が、44回分を最初から全て読むのは結構ツライ。今までも、たまに読んでも全部に目を通してくれている読者はマレだろう。今回からのまとめを読んで貰えれば、ザックリと概要が分かるという仕組みだ。より知識を深めたければ、それぞれ連載の該当回にリンクしておくので、過去記事を参照して頂ければありがたい。記事一覧は、掲載年ごとのページになっているので、適宜切り替えて欲しい。

 さぁ、それではまとめていこう。まずは、自宅にネット回線とWi-Fiルーターを準備する部分からだ。

 Wi-Fiルーターを自宅に用意すれば、スマホでの快適な通信が心置きなくできるようになる。もちろん自宅にはネット回線が引かれている必要がある。モバイル回線のみで大容量の通信をするには、それなりのコストが掛かるので、家族全員がコンスタントにスマホを使うなら、自宅にいる時はWi-Fiにつないで使うようにしておきたい。もちろんネット回線を契約すれば別に料金はかかるが、格段にスマホの快適度がアップする。特に自室で動画を視聴するような使い方をするなら、間違いなく元が取れるだろう。

自宅に高速なWi-Fiがあると、スマホがとっても快適。意外と自宅で操作する時間は長い

 また、自宅Wi-Fiを完備したら、以下の連載を参考に、モバイル回線の通信量を無駄遣いしないスマホの設定を見直しておいて欲しい。

 Wi-Fiルーターは、無線通信のハブとなるWi-Fi部と、複数の接続機器の通信をコントロールしたり回線への接続を行ったりするルーター部が合体した、言わば「Wi-Fiアクセスポイント+ルーター」という製品であることを覚えておこう。このうち特にルーター部分は、インターネット回線契約とともにレンタルされる機器に機能が含まれていることも多い。

 単純に回線とWi-Fiルーターを繋げば、このルーターの機能がダブって動作してしまうケースもある。この状態でもネットの閲覧で困ることはないが、これを調べて解消する方法も解説してきた。使い方に慣れてからでもいいので、自宅のネット環境に合わせて一方のルーター機能をオフに設定することも考慮しよう。

 Wi-Fiルーターの無線通信規格や売れ筋については、時が経てば進化してしまう。今後も新しい記事にて随時フォローしていくつもりなので、過去記事はあくまでも参考程度にとどめて欲しい。2019年は、一部ハイエンドのWi-Fiルーターで、「Wi-Fi 6」とも呼ばれる新規格「IEEE 802.11ax」の搭載がはじまり、すでに海外メーカーから対応モデルも登場している。

 これに伴って、これまでの「11ac」は、「Wi-Fi 5[*1]」、「11n」は「Wi-Fi 4」という呼び名になっていくはずだ。このように、テクノロジーの進歩などでセオリーが変われば、今後も随時フォローしていきたいと考えている。

スマホのWi-Fiアイコンも、接続したWi-Fiの規格に応じて、将来的には数字で表示されるようになるようだ

[*1]……2019年1月現在、「Wi-Fi 5」をネットで検索すると、「Wi-Fi-5」というアイドルユニットが上位に表示されるようだ。いずれこの用語が浸透すれば、この発表時のニュース記事や、ルーターの用語解説が上位に表示されるようになるハズ……。

 Wi-Fiルーターを選ぶ際には、この「11ax」登場はあるものの、まだしばらくは「11ac」対応で「3×3(3ストリーム)」のMIMOを搭載したモデルが使いやすいと思われる。なぜなら、スマホ側の対応機器が出てくるのが、もう少し後になるからだ。ルーターと子機間の通信を考えたとき、親機側だけのWi-Fi規格をよいモノにしてもダメで、子機側も合わせることで、はじめて本領を発揮する。

 対応するWi-Fi子機は、ノートPC→タブレット→スマホの順で普及してくるのが、よくある流れ。スマホ派は、まだあわてるような時期じゃない。

 もちろん、新規格に対応するWi-Fiルーターへ先行投資のも悪くないが、現状で必要十分な性能のモデルにしておき、新規格のモデルが普及しはじめ安くなってから、スマホの買い替えと同時に入れ替えるのが、個人的にはスマートな選択だと思う。

 ちなみに、たまに間違える人がいるが、iPhoneやiPadなどのApple製品でも、Apple製のWi-FiルーターじゃないとWi-Fiに繋がらないなんてことはなく、どの製品でも接続できる。連載ではApple製のWi-Fiルーターも紹介しているが、残念ながら、Appleは国内外でWi-Fiルーター市場から撤退したため、今後は新たな製品が登場しない。

アンテナが内蔵され、動作ランプも最小限でスタイリッシュなデザインのApple製Wi-Fiルーター

 次回は、Wi-Fiルーターの設定方法についてまとめていこう。

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。