自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

第11回

Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?

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 Wi-Fiルーターを購入したら、「設定画面にアクセスするためのIPアドレスとパスワード」と「初期状態のSSIDと暗号化キー」を開封時に確認しておくことは守ってくれただろうか。次は、Wi-Fiルーターを回線に接続していく作業のポイントを見ていく。

Wi-Fiルーターをネット回線に接続する作業にも、いくつかポイントがある

 これまでにも解説しているが、1)インターネット回線側の装置にすでにルーターがあり、Wi-Fiルーター内部のルーター機能をオフにしてWi-Fiアクセスポイント(AP)として使うか[*1]、あるいは、2)回線側装置にルーターが無い状態で、Wi-Fiルーターのルーター機能を生かして回線に接続するか――を見極める必要がある。この2つのモードは、本体スイッチで切り替えられるようになっていることが多いが、製品によっては設定画面から切り替える必要がある。確実とは言えないが、回線側装置にLANポートが4つほど付いていればルーター機能が搭載されていて、1つだけであればルーター機能はないと予測できる。

 このモード切替は回線接続前に行ってから接続するのが基本なのだが、もしも、自宅がどちらの状態で使えばよいのか分からなくても、深く考えずに「ルーターをオン」にしてWi-Fiルーターを繋いでしまっても大丈夫だ。前段(回線側装置)にルーターが無ければ、初回アクセスの画面で回線接続をうながされ[*2]、もしルーターがあっても2重でルーターが動作し、「DHCPサーバー」によってIPアドレスが割り振られてインターネットには繋がってしまう[*3]

 2重ルーターで繋がった場合、後ほどWi-Fiに接続させてから状態を確認して、アクセスポイント(AP)モードに切り替えればよい。この具体的な方法は次回以降進めていく。

[*1]……「ブリッジモード」と呼ぶ場合もある。

[*2]……フレッツ回線で「PPPoE」方式で接続する場合、プロバイダーから提供された接続情報が必要になるので、入力して接続する。そのほかの「DHCP」での接続なら、特に何も設定せずに繋がる。

[*3]……「DHCPサーバー」とは、ルーターの機能の1つで、LANポートやWi-Fiに接続された機器のIPアドレス(主にIPv4。IPv6ではIPアドレスは自動で設定されるが、現状はIPv4が使えないと不便)を割り当てる。同時に、URLのドメイン名をIPアドレスに変換する「DNSサーバー」の情報も参照する。IPアドレスとは、数値で表された住所のような、データの宛先だ。これが割り振られないと通信ができない。APモードではDHCPはオフになる。

ルーターを生かす「ルーターモード」か、ルーターを切った「アクセスポイント(AP)モード」かを切り替えるスイッチが用意されている製品も多い。これは、バッファロー製のWi-Fiルーター製品「WXR-1750HP2」。ちなみに「WB」は「Wi-Fi中継器」として使うモード

 接続作業の順番は、「回線側装置の電源オンと起動完了を確認」→「LANケーブル接続」→「Wi-Fiルーターの電源オン」となる。停電時なども含め、必ず回線側装置から電源を入れていくのを基本動作として覚えよう。これは、接続のための情報をこの順番で割り振っているからだ。回線側装置の起動完了と接続を待たずにWi-Fiルーターの電源を入れると、ネットの接続がうまくいかないこともある。

 Wi-Fiルーターで「WAN」や「Internet」などと書かれて色分けされたポートを、回線側装置のLANポートに接続する。ただし、アクセスポイントモードに切り替えたときには、WANではなくLANポートのみを使うモデルもあるので確認しておこう。アクセスポイントモード時にWANとLANを並列に使える製品も多い。この場合、WANもLANも同じ役割のポートとなるので、全く気にせずどのポートに接続してもよい。

 接続するLANケーブルに関しては、本連載第5回にも書いたが、必ず「CAT5e(カテゴリ5e/エンハンスドカテゴリ5)」以上かどうかを確認する。「CAT5」ではダメだ。この2つは見間違いやすいので、どうせ購入するなら「CAT6」としておくとよい。現在、「CAT5」のケーブルが販売されていることはまずないが、うかつに部屋に置いてあるケーブルを流用すると「CAT5」だったりする。これではせっかくの高速回線も魅力半減だ。回線速度が思うように出ない相談で、よくあるトラブルのあるあるパターンなので、流用ケーブルは必ずチェックしよう。

 買ってきたWi-Fiルーターに付属のケーブルを使えばまず問題ないが、たいてい機器間はすぐ横に接続するだけなので、短いケーブルを用意するとスマートだろう。

Wi-Fiルーターとネット回線側の装置は、「CAT5e」以上のLANケーブルで接続。Wi-Fiルーターの電源は最後に入れる

 電源を入れたら起動完了まで数分待つ。次回からは、念願のスマホのWi-Fiからアクセスを試みる。

今回の教訓(ポイント)

「ネット回線との接続は『CAT6』で短めのケーブルを買ってこよう」
回線側装置への接続は、2重ルーター状態でもとりあえずはネットに繋がる。LANケーブルは「CAT5e」以上で、電源は最後に入れる。

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。