自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第61回

Fire TV Stickの音質をEcho Studioでグレードアップ

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。前半の解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続できている。これからセットアップする人は、そちらから読みはじめてもらいたい。

今回からは「Echo Studio」を使ってFire TV Stickの音質をアップグレードしてみる

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「Echo Studio」で音質をアップグレードしてみよう

 前回までに、ウェイクワードを投げ掛けて、Amazon Echoデバイスと連携したFire TV Stickをコントロールができるようにセッティングした上で、Fire TV Stickの音声がEcho Dotでも同時出力できるように設定した。

 今回からは、Echo Dot(第3世代)をEchoデバイスのうちサイズが最大の「Echo Studio」にアップグレードしてみよう。Echoデバイスとしてできることは変わらないので、サウンド面でのアップグレードのみとなる。

 Fire TV Stickからの再生音は、サイズのワリにはEcho Dotでも聞ける音なのだが、Echo Studioで再生すれば、音楽ライブや映画のサウンドトラックをシッカリ堪能できるようになる。特に低音の再現力はさすがだ。逆に言えば、Echo Dotでも音質面に不満がなければ買い換える必要はないかもしれない。

Echoデバイスで最大の「Echo Studio」(左)を右のEcho Dot(第3世代)と比べてみた。高さ20.6cm、重量は3.5kgとズッシリで、その分迫力の音量と音質が楽しめる

 もう1つのアップグレード方法として、Echo Dotをもう1台追加して2台でステレオ化し、サブウーファーの「Echo Sub」を組み合わせ、2.1チャンネルのシアターシステムを構築するという方法もある。

 PCと組み合わせて、机の上でコンパクトに楽しみたいなら、こちらもオススメだ。一方のEcho Studioは、広めの部屋に音を響かせて楽しむのに適している。こちらも2台でステレオとして鳴らすこともできる。それなりの出費にはなるが、AVアンプとスピーカーまでをそろえるより安価だ。Echoデバイスはセールで定期的にディスカウント販売されるので、うまく狙ってみるのもいいだろう。

上部には音量、ミュートのボタン。アクションボタンとライトインジケーターはEcho共通だ
背面には電源とMicroUSB(有線LANアダプター接続用)、3.5mm径の光デジタル兼ステレオアナログのサウンド入力が。スリットから下向きに付いたウーファーが見える
電源はアダプターではなくメガネケーブル。これをつなぐだけでスピーカーとして使える

3.5mm径の光デジタル兼ステレオアナログのサウンド入力が可能

 Echo Studioだけは、光デジタル兼用の3.5mm径サウンド入力端子を備えている[*1]。テレビの光デジタル出力をつなげば、音声を安定して出力できる。前回行ったシアターのセッティングなら、Fire TV Stickの音声をWi-Fi経由で出力できるが、それ以外の音声は出力できない。

[*1]……Echo(第4世代)だけは入出力兼用の3.5mm径プラグを装備するが、ほかのEchoシリーズは出力のみ。なお、Echo Studioには音声出力がない

テレビやレコーダーなどには、角形の光デジタル出力が用意されていることが多い

 テレビなどには、たいてい角形の光デジタル出力が用意されている。これを3.5mm径の丸型光デジタルへと変換するケーブルを用意してつなげばいい。入力の切り替え設定などは特になく、自動で認識するはずだ。

光デジタル出力には2種類あり、左が3.5mm径、右が角形の光デジタルのプラグだ
Echo Studioに光デジタルのケーブルをつないで入力すれば、音声を安定して再生ができる

 ただし、光デジタル出力された音量は、Fire TV Stickのリモコンではコントロールできない。Alexaアプリや音声、本体のボリュームボタンのいずれかで操作する必要がある。ただし、光デジタル接続であっても前回紹介したシアターを設定すれば、Fire TV Stickのリモコンで音量がコントロールができるようになる。

Echo Studioは、壁にピッタリと付けずに少し離して置くようにする。自動で音のバランスが最適化される

AIがサウンドのバランスを最適化アレクサの応答も美声に

 Echo Studioは、低域用のウーハー1つが下向きに、中域用のスコーカー3つと、高域用のツイーター1つが周囲へ向けられていて、音が広がって再生されるので、リスニングポイントが限定されない。

 サウンドのバランスは、マイクで反響を測定し、AIにより自動的に空間の音響特性を感知し最適化される。そのため最初だけは大きな音が響くので、深夜にはセッティングしないよう注意しよう。なお、使っていくと音のバランスが良くなっていくので、はじめのうちはボリュームを少し大きめにしておくのがいいではないだろうか。

 セットアップはEchoデバイスでほぼ共通しているので詳細は省く。すでにAlexaアプリを使っていれば、Amazon.co.jpで購入すると自動的にデバイスへ追加され、アプリに表示されているはずだ。

電源コードを繋いでセットアップが促されたら、画面の指示に従っていけばいい
デバイスを追加する操作をすると、アクションボタンの長押しを求められる。Wi-Fiへの接続がうまくいかないときも、この操作で再接続できる
アクションボタンは「・」マークのボタン。オレンジが回転するまで長押しする

 さらに、Wi-Fiの接続設定をAmazon.co.jpのアカウントに保存する設定にしていれば、電源を入れるだけで何もせずに使い始められるはずだ。手動でセットアップをする場合は、Alexaアプリでデバイスを追加する手順を踏めばいい。

セットアップ中に音が出て音質の最適化が行われる。以後しばらくは、再生音から最適化されるので、徐々に聞きやすくなってくるはず
最終的にAlexaアプリで「オンライン」になればOK

 音質は、ほかのEchoデバイスよりサイズが大きいこともあってかなり良くなる。Alexaの応答も迫力の美声だ。密閉型で下向きに付いたウーファーの口径は約13cmとスピーカーとしては小さめだが、十分過ぎるほどパワフルな低音を響かせてくれる。

 このサイズで、ラウドロックでのチューニング低めのバスドラム連打なども迫力ある音も聞かせてくれるし、Dolby Atmosにも対応していて、ハリウッド映画でお馴染みの震える低域の効果音もシッカリ聞こえるのは驚きだ。中~高音域では、セリフも聞きやすく、ボーカルの伸びやかな声もちゃんと表現できている。

 ピュアオーディオ向けの音ではなく、メリハリがあり楽しんで聴けるタイプのサウンドで、音の傾向としてはBOSEのサウンドに似ていると感じた。スピーカーから直接音がビシビシ飛んでくるのではなく、フワッと包みこまれる音で、なかなかのコストパフォーマンスだと思う。

 次回は、続けてセッティングを見ていこう。

今回の教訓(ポイント)

Echo StudioならFire TV Stickの音質を大幅アップグレードできる
光デジタル入力を装備し、Fire TV Stickだけでなくテレビの音も再生できる

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。