自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第55回

Windows 10の画面をFire TV Stickにミラーリングしてみる

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。前半の解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続できている。これからセットアップする人は、そちらから読みはじめてもらいたい。

今回はFire TV StickにWindows PCの画面をミラーリングする方法を実践してみる

「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧

 前回から、Fire TV Stickにある「Miracast(ミラキャスト)」の機能を使って、スマホやPCの画面をミラーリングして映す実践をしている。前回は最も簡単なAndroidスマホでの方法を紹介したが、今回はWindows 10 PCだ。Miracastに対応していれば、簡単にミラーリングできる。

Windows 10 PCの画面を「Miracast」でミラーリング

 最初にFire TV Stickの「ホーム」ボタンを長押ししてメニューを表示し、「ミラーリング」を選択して待ち受け画面にするまでは前回と同じだ。

Fire TV Stickの「ホーム」ボタンを長押ししてメニューを表示し、[ミラーリング]を選ぶ

 Windows PCからFire TV Stickへの接続は[アクションセンター]から行う。もちろん、Windows PCとFire TV Stickは同じLANのWi-Fiに接続させておこう。

タスクバー右端のアイコンをクリックして[アクションセンター]を表示し、[接続]を選ぶ
待ち受け状態にしたFire TV Stickが表示されるので、クリックする
Fire TV StickにWindows PCの画面が表示される。判別しにくいが、上部中央に黒いバーがあるのがFire TV Stickの画面。左右に黒い帯が表示されている
解像度をテレビに合わせるなら、設定の[ディスプレイ]で16対9の解像度へ変更するといい。ここでは1280×800から1280×720[*1]へと変更。ミラーリング中は通知が一時停止される

[*1]……1024×576、1408×792、1920×1080、2048×1152あたりが16対9の比率。このうち、現在より低い解像度を選ぼう

アクションセンターの[表示]で画面の表示モードを設定可能。[複製]から[拡張]へ変更すれば、反応が遅く微妙ながらセカンドディスプレイとしても利用できる
画面上部中央の黒いバーにある[切断]をクリックするとミラーリングを解除できる。このツールバーは、ピンのアイコンをクリックすれば隠せる

PCがMiracastに対応しているかを調べるには?

 このように、PCがMiracastに対応していれば簡単な操作で画面をミラーリングできるので、プレゼンなどに活用してみて欲しい。ただ、対応するかどうかがちょっとクセ物で、判断が付きにくいので補足説明もしておこう。すでに接続できているなら、もちろんこの後の設定は不要だ。

 Miracastに対応していないPCでは、アクションセンターで[接続]を選んでも、Fire TV Stickが表示されない。ただし、設定の[デバイス]にある[Bluetoothとその他のデバイス]にはFire TV Stickが表示されてしまうので、ちょっと腑に落ちない。ここからの接続をトライしてしまいそうになる。

Miracastに対応していないPCでは、Fire TV Stickが表示されない
[Bluetoothとその他のデバイス]には表示されてしまうので、ややこしい

 Miracastへの対応を正確に調べるには、以下2つの方法を試せばいい。そして可能であればハードウェアを新しい物に交換するか、Wi-Fiとグラフィックスのドライバーを最新版にアップデートすることで対応可能になる。

 その1つ目は、左下のWindowsボタンを右クリックしてPowerShellを管理者権限で起動し、以下のコマンドをコピー&ペーストするなどして実行すると、Wi-FiのNDISのバージョンが表示される。「6.40」であれば対応している。

Get-NetAdapter | Select Name, NdisVersion
管理者権限で起動したPowerShellでWi-FiのNdisVersionを確認。対応するのは「6.40」以上だが、このWi-Fiアダプターは非対応
次はグラフィックスの対応をチェック。タスクバーの検索ボックスに「dxdiag」と入力して「dxdiag.exe」を実行しよう

 もう1つは、「DirectX診断ツール」を使ってグラフィックスドライバーがMiracastに対応しているかを確認する。タスクバーの検索フォームに「dxdiag」と入力すると表示される「dxdiag.exe」を実行する。

「DirectX診断ツール」の画面で「情報をすべて保存」をクリック。書き出した「DxDiag.txt」の「System Information」項目で、「Miracast: Available, with HDCP」と書かれているかをチェックする。

「情報をすべて保存」をクリックし、テキストファイルとして書き出す
「Miracast」に書かれている内容を確認。上が対応するもの、下が非対応

 つまり、Wi-Fiまたはグラフィックスのどちらかが少し古い環境では、Miracastが利用できないのだ。この2つの方法でどちらかが非対応の場合には潔く諦めるか、Wi-Fiが原因ならUSB接続のアダプターを試してもいい。グラフィックスカードの交換は、デスクトップPCなら簡単なのだが、ノートPCではほぼ不可能だ。

 次回はApple製品の画面をFire TV Stickへミラーリングしてみよう。Apple TVなら簡単なのだが、Fire TV Stickにはアプリをインストールする必要がある。

今回の教訓(ポイント)

Windows 10でもFire TV StickにMiracastでミラーリングが簡単にできる
ただし、ハードウェアが対応している必要がある

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。