自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第41回

Amazon「Fire TV Stick」で動画データの通信を優先させる

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。ここまでの解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続して動画を視聴できているはずだ。

「Fire TV Stick」の使いこなしを解説中。動画再生のトラブルシューティングに活用できるテクニックを紹介する

 Fire TV StickでフルHD程度のコンテンツを再生するなら、5GHz帯のWi-Fi経由であれば、たいていは遅延して引っかかるようなことはなく、スムーズに再生されるはずだ。

 ただ最近は、インターネットでの動画再生が人気を集めており、夜間を中心に回線が混み合うことが多い。家庭内でも、家族がそれぞれ思い思いにスマホなどで動画を見ているような、言わば帯域での足の引っ張り合いも起きている。

 今回からは、どうもイマイチ再生が安定しない場合にトラブルシューティングとして活用できるテクニックとして、通信を交通整理し、Fire TV Stickで快適に動画を再生できるようにする方法を紹介していこう。

Fire TV Stickの通信速度をスピードテストで確認

 設定を行う前に、まず回線の速度をチェックしてみよう。スピードテストにはアプリを導入する方法もあるが、前回セットアップした「Silk Browser」で、Netflixが提供する「Fast.com」にアクセスするのが手軽なので、実際にやってみよう。

ホーム画面から「Silk Browser」を起動。ホーム画面の[アプリ]>[ブラウザ]からインストールできる

 ウェブページにアクセスする[*1]とともに回線速度の計測が開始され、マルチセッションでのダウンロード速度が表示されるので、シンプルで使いやすい。

[*1]……Fireタブレットを持っているなら、先にそちらのSilk Browserでアクセスし、[デバイスに送信]からリンクを飛ばすこともできる

Silk Browserが起動したら、リモコンの「≡」ボタンを押すと上部メニューにフォーカスが移動するので、そのまま選択して文字を入力
「≡」ボタンで文字種を英数に切り替え、「fast.com」と入力し、再生ボタンで進める

 動画視聴には、応答の速度を表すPing値などが無関係なので、表示されない(計測後に表示される「詳細」をクリックすれば表示できる)ことが、かえって好都合だ。

 フルHDの動画を楽しむには、だいたい10Mbps前後、最低でも3Mbpsの速度が出ていれば問題ない。4K動画を観るには、最低でも20Mbps、できれば25~30Mbps程度がコンスタントに必要だ。

 時間をずらしつつ、何度か計測して平均を見るのがベストだが、モバイル回線を使っていると容量を消費してしまうので、何度も計測を繰り返すのは控えた方がいい。

光回線で何度か計測すると、このような値。動画視聴には十分なダウンロード速度だ。同時にスマホで計測すると200Mbpsあたりだった

 これで今の環境でFire TV Stickを使ったときの通信速度が分かる。これが極端に低ければ、Wi-Fi接続での電波干渉や、インターネット回線自体が混んでいるなどの原因を見極める必要がある。

Wi-Fiルーターの設定で、Fire TV Stickの通信を優先させよう

 回線自体が混んでいたり、接続先の動画サイトにアクセスが集中しているようなケースでは、こちら側では対処のしようがない。ただし、問題が自宅側にあり、Wi-Fiルーターに「QoS(Quality of Service)」と呼ばれる機能があれば、対策も可能だ。

 これを活用すれば、自宅Wi-Fi内で動画視聴を行うWi-Fi子機の帯域を優先できる。さらに、帯域を使い過ぎている子機の通信量を制限することもできたりする。ルーターの機能によっては、子機だけでなく特定のアプリなどを指定し、帯域を優先させたり逆に帯域を絞ったりもできることもある。

 今回は、バッファローのWi-Fiルーターの機能として用意されている「アドバンスドQoS」を使ってみよう。一般的なQoSでは、帯域を数値で指定することもあるが、こちらは利用目的別に順位を付けるだけで、手軽に設定ができる。

バッファロー製ルーターの設定画面にアクセスして[アドバンスドQoS]をクリック
[使用する]にチェックマークを付け、[主な用途]で[ビデオの視聴]を選ぶ。[設定]をクリックすると反映される

 この設定をするだけで、動画系のデータが優先して転送されるようになる。Fire TV Stickで動画の再生中に、[アドバンスドQoS]画面の右側にある[ビデオ]で下向き矢印のメーターが振れるはずだ。これはFire TV Stickの通信が[ビデオの視聴]のデータとして認識されていることを示している。再生を止めるとメーターが振れなくなるので、確認してみて欲しい。

確認のためFire TV Stickで動画を再生してみる
再生中に[アドバンスドQoS]の設定画面を見ると、画面右側にある[ビデオ]の下向き矢印のメーターが振れるのが分かる[*2]

[*2]……一番上にある「Z」アイコンのメーターは、アドバンスドQoSでの優先度を示すもの

Fire TV Stickで再生を止めると、メーターの振れが下がることが確認できるはずだ

 [ビデオの試聴][ボイスチャット][ゲーム]以外の通信を優先したい場合には、詳細設定から順番を変更できる。例えばブラウジングやデータのダウンロードを優先させたいといったケースが考えられるだろう。

 iPhoneでYouTubeを再生してみると、[ブラウジング]のメーターが振れるので、どうもウェブブラウザーの通信として認識されているようだ。こちらを優先させる設定をしてみよう。

[アドバンスドQoS]の設定画面右上の詳細設定ボタンをクリック
[アドバンスドQoS]は先ほどオンにしたのでそのまま。[主な用途]で[手動設定]を選ぶ
[手動設定]にある各項目にそれぞれの優先度を設定していく

 この方法だと、Wi-Fiルーター側でデータの種類に応じて、優先順位を決めて通信をさせることができる。次回は、デバイスを決め打ちして通信速度を制御する「デバイスコントロール」を設定してみよう。

今回の教訓(ポイント)

Wi-Fiルーターで「QoS」の設定をすると、動画など目的別に優先順を決めることができる
スピードテストで実際のデータ転送速度を数値化するとわかりやすい

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。