自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第41回
Amazon「Fire TV Stick」で動画データの通信を優先させる
2020年8月27日 06:00
使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。
そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。ここまでの解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続して動画を視聴できているはずだ。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第36回:Amazon「Fire TV Stick」でおウチ時間を楽しく(紹介編)
- 第37回:Amazon「Fire TV Stick」をテレビに接続編
- 第38回:Amazon「Fire TV Stick」をつなぐWi-Fiルーターを設定しよう
- 第39回:Amazon「Fire TV Stick」をつなぐWi-Fiルーターをさらに設定
- 第40回:Amazon「Fire TV Stick」の便利なリモコンアプリ設定
- 第41回:Amazon「Fire TV Stick」で動画データの通信を優先させる
- 第42回:Amazon「Fire TV Stick」など、指定デバイスの通信を優先させる
- 第43回:Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しもう
- 第44回:Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しめる設定編
- 第45回:Amazon「Fire TV Stick」の「ライブ」タブで生配信番組を楽しもう
- 第46回:Amazon「Fire TV Stick」をモバイルWi-Fiルーターで使ってみる
- 第47回:Amazon「Fire TV Stick」を低速モバイル回線で活用してみる
- 第48回:Amazon「Fire TV Stick」で録画したテレビ番組を視聴する
- 第49回:「Fire TV Stick」へ無料で録画番組をスマホからをキャストしよう
- 第50回:Amazon「Fire TV Stick」でレコーダーの録画番組を視聴しよう
- 第51回:Amazon「Fire TV Stick」で録画番組の再生画質をWi-Fiの状況に応じて調整
- 第52回:REC-ONからPCの「PC TV Plus」へ録画番組データを転送する準備をしよう
- 第53回:REC-ONからPCの「PC TV Plus」へ録画番組データを転送してみよう
- 第54回:Androidスマホの画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第55回:Windows 10の画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第56回:iPhoneやMacの画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第57回:Fire TV StickでもYouTubeのキャストを楽しもう
- 第58回:Fire TV StickとEchoデバイスをリンクさせる準備
- 第59回:Fire TV StickとEchoデバイスをリンクし、発話で動画を再生しよう
- 第60回:Fire TV Stickの音をテレビとEchoデバイスから同時に出力
- 第61回:Fire TV Stickの音質をEcho Studioでグレードアップ
- 第62回:Echo Studioでホームシアターを再設定する
- 第63回:Echo Studioのホームシアターをステレオ化する
- 第64回:Echo StudioとFire TV Stickとスマホで音楽を楽しもう
- 第65回:Fire TV Stickをつないだテレビをスマートリモコンで音声コントロール
- 第66回:Fire TV Stickをつないだテレビのリモコンをスマートリモコンへ登録
- 第67回:Fire TV Stickを音声で操作! 「Nature Remo」アプリとAlexaを連携
- 第68回:Fire TV Stickをつないだテレビの外部入力を音声で切り替え
- 第69回:Fire TV Stickをつないだテレビをスマートリモコンで帰宅時に自動起動
- 第70回:Fire TV Stickでスクリーンセーバーに表示する写真をAmazon Photosへ保存
- 第71回:GoogleフォトからAmazon Photosに写真を一気に移動する
- 第72回:Fire TV StickのスクリーンセーバーにAmazon Photosの写真を表示
- 第73回:Fire TV Stickでアプリが起動しやすく! メニューとリモコンがリニューアル!
- 第74回:Fire TV StickにPrimeビデオの子ども用プロフィールを紐付け
- 第75回:Fire TV Stickでゲームを楽しむ! リモコンだけでプレー可能なゲームも
- 第76回:Fire TV Stickのリモコンでも遊べるオススメゲーム
- 第77回:続 Fire TV Stickのリモコンでも遊べるオススメゲーム
Fire TV StickでフルHD程度のコンテンツを再生するなら、5GHz帯のWi-Fi経由であれば、たいていは遅延して引っかかるようなことはなく、スムーズに再生されるはずだ。
ただ最近は、インターネットでの動画再生が人気を集めており、夜間を中心に回線が混み合うことが多い。家庭内でも、家族がそれぞれ思い思いにスマホなどで動画を見ているような、言わば帯域での足の引っ張り合いも起きている。
今回からは、どうもイマイチ再生が安定しない場合にトラブルシューティングとして活用できるテクニックとして、通信を交通整理し、Fire TV Stickで快適に動画を再生できるようにする方法を紹介していこう。
Fire TV Stickの通信速度をスピードテストで確認
設定を行う前に、まず回線の速度をチェックしてみよう。スピードテストにはアプリを導入する方法もあるが、前回セットアップした「Silk Browser」で、Netflixが提供する「Fast.com」にアクセスするのが手軽なので、実際にやってみよう。
ウェブページにアクセスする[*1]とともに回線速度の計測が開始され、マルチセッションでのダウンロード速度が表示されるので、シンプルで使いやすい。
[*1]……Fireタブレットを持っているなら、先にそちらのSilk Browserでアクセスし、[デバイスに送信]からリンクを飛ばすこともできる
動画視聴には、応答の速度を表すPing値などが無関係なので、表示されない(計測後に表示される「詳細」をクリックすれば表示できる)ことが、かえって好都合だ。
フルHDの動画を楽しむには、だいたい10Mbps前後、最低でも3Mbpsの速度が出ていれば問題ない。4K動画を観るには、最低でも20Mbps、できれば25~30Mbps程度がコンスタントに必要だ。
時間をずらしつつ、何度か計測して平均を見るのがベストだが、モバイル回線を使っていると容量を消費してしまうので、何度も計測を繰り返すのは控えた方がいい。
これで今の環境でFire TV Stickを使ったときの通信速度が分かる。これが極端に低ければ、Wi-Fi接続での電波干渉や、インターネット回線自体が混んでいるなどの原因を見極める必要がある。
Wi-Fiルーターの設定で、Fire TV Stickの通信を優先させよう
回線自体が混んでいたり、接続先の動画サイトにアクセスが集中しているようなケースでは、こちら側では対処のしようがない。ただし、問題が自宅側にあり、Wi-Fiルーターに「QoS(Quality of Service)」と呼ばれる機能があれば、対策も可能だ。
これを活用すれば、自宅Wi-Fi内で動画視聴を行うWi-Fi子機の帯域を優先できる。さらに、帯域を使い過ぎている子機の通信量を制限することもできたりする。ルーターの機能によっては、子機だけでなく特定のアプリなどを指定し、帯域を優先させたり逆に帯域を絞ったりもできることもある。
今回は、バッファローのWi-Fiルーターの機能として用意されている「アドバンスドQoS」を使ってみよう。一般的なQoSでは、帯域を数値で指定することもあるが、こちらは利用目的別に順位を付けるだけで、手軽に設定ができる。
この設定をするだけで、動画系のデータが優先して転送されるようになる。Fire TV Stickで動画の再生中に、[アドバンスドQoS]画面の右側にある[ビデオ]で下向き矢印のメーターが振れるはずだ。これはFire TV Stickの通信が[ビデオの視聴]のデータとして認識されていることを示している。再生を止めるとメーターが振れなくなるので、確認してみて欲しい。
[*2]……一番上にある「Z」アイコンのメーターは、アドバンスドQoSでの優先度を示すもの
[ビデオの試聴][ボイスチャット][ゲーム]以外の通信を優先したい場合には、詳細設定から順番を変更できる。例えばブラウジングやデータのダウンロードを優先させたいといったケースが考えられるだろう。
iPhoneでYouTubeを再生してみると、[ブラウジング]のメーターが振れるので、どうもウェブブラウザーの通信として認識されているようだ。こちらを優先させる設定をしてみよう。
この方法だと、Wi-Fiルーター側でデータの種類に応じて、優先順位を決めて通信をさせることができる。次回は、デバイスを決め打ちして通信速度を制御する「デバイスコントロール」を設定してみよう。
今回の教訓(ポイント)
Wi-Fiルーターで「QoS」の設定をすると、動画など目的別に優先順を決めることができる
スピードテストで実際のデータ転送速度を数値化するとわかりやすい
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
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- 第34回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W回線補足編)
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「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
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- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
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