自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第18回
メッシュWi-Fiを活用しよう(1)
【メッシュWi-Fiって何? 中継機との違いと選び方】
2019年10月7日 06:00
使いこなし編は、まずWi-Fiの電波状況を良くすることにフォーカスしている。前回までは、Wi-Fi中継機を使って電波の届くエリアの拡張を試してみたが、今回からは流行の“メッシュWi-Fi”を使って、広めの自宅全てを電波圏内に入れ、Wi-Fiの快適度をアップさせてみよう。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第1回:これから、Wi-Fi使いこなし編が始まります!
- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
ここまでの連載で使っていたWi-Fi中継機(エクステンダー)もメッシュWi-Fiも、メインのWi-Fiルーターを使っているエリアで、ちょっと電波が弱くなる箇所を補完してくれるものだ。この2つの大きな違いは、中継機がWi-Fiルーターのメーカーを問わずに使えるのに対し、メッシュWi-Fiが使えるのは同一メーカーの対応機種のみになることだ。
メッシュWi-Fiはルーターの買い替えが前提設定の簡単さや増設の柔軟さにメリット
そのため、メッシュWi-Fiを使うには、Wi-Fiルーターもろとも全て買い換えるしかない[*1]。なので、買い替えのタイミングで一気に導入するといいだろう。このようにセットでの使用が前提となることもあり、メッシュWi-Fi製品は、Wi-Fiルーターとサテライト(ノードとも)と呼ばれる子機が、スターターキットとしてセットで販売されているケースが多い。サテライトは、もちろん必要に応じて後から追加もできる。
[*1]……ちょっと変わっているのが、ASUSのルーターだ。同社独自のメッシュWi-Fi機能「AiMesh」対応のルーター(最近発売されたASUS製ルーターはほぼ対応している)であれば、後からでも接続してメッシュWi-Fiを構築できる。エリア拡張まで必要なのか判断に困る場合、徐々に増やしていくというワザが使える。この機能はこちらでも詳しく解説している
メッシュWi-Fiのもう1つの特徴は、エリアを広げるサテライト増設での柔軟性だ。中継機は多くの台数を接続しても相互に補完するようには動作しない。一方のメッシュWi-Fiでは、ルーターとサテライトなど複数の機器が互いを網目のように接続して[*2]、最適な通信経路を自動的に設定してくれる。さらに、スマホが通信を行う際には、接続先として最適なサテライトが自動的に選ばれる。
[*2]……このメッシュWi-Fiのルーターやサテライトの間の通信経路は“バックホール”と呼ばれる
いずれにせよ、複数の機器を使うメッシュWi-Fiでも、SSIDは1つだけを設定する。5GHz帯と2.4GHz帯の選択も含め、メッシュWi-Fi機器側が自動で最適な状態になるよう、機器側が判断してくれるわけだ。
中継機では、SSIDを統一するかどうかや使用バンドなどの設定が、自動で最適化されることはなく、使う側で設定を選び、条件のいい状態にする必要がある。
メッシュWi-Fiは2台セットがオススメ高速だが高価なトライバンド、スマホ数台ならデュアルバンドで十分
さて、メッシュWi-Fi製品を選ぶときには、まず「2台がセットになった製品を選ぶ」ようにしよう。3~4台のセットは、3階建てを含め通常の1戸建てでは無用だ。そもそも予算も余計に掛かるし、無線の帯域も余計に消費するので混雑してしまう。2台がセットであれば、サテライトとWi-Fiルーターの通信は1チャンネルのみで済む。実際に使いはじめてみて、どうしても2台でカバーできない場合のみ、サテライトを追加で購入すればいいだろう。
そして、セットで購入すれば、通常は相互接続が設定済みであるケースが多いので、サテライトとWi-Fiルーター間の接続設定をしなくて済む。
もう1つ、メッシュWi-Fi製品には、デュアルバンド(2.4GHz帯+5GHz帯)機とトライバンド(2.4GHz帯+5GHz帯+5GHz帯)機がある。トライバンドでは、5GHz帯の1つのチャンネルをルーターとサテライト間の通信専用に確保し、その間を高速通信できるようにしている。
デュアルバンド機は、2.4GHz帯と5GHz帯の両方にWi-Fi子機をつなぐと、ルーターとサテライト間の通信はどちらかの帯域を共有することになる。この“共有する”というのは、断続的に複数デバイスを切り替えながら通信するというコトだ。本来連続するものを細切れに通信する状態となるので、結果的に速度が遅くなる。
ただし、スマホを数台繋げて、ウェブブラウジングや、YouTubeでHD再生をする程度までなら、速度低下はおそらく体感できないだろう。そうした環境では、デュアルバンドのメッシュWi-Fiでも十分だ。
一方のトライバンドは、安定して高速通信ができるのがメリットだが、それだけ高価でもある。PCなど多くのWi-Fi子機をつなぐ環境で、もし予算があるのならトライバンドを視野に入れるのもアリだ。
デュアルバンドのエレコム「WMC-DLGST2-W」でメッシュWi-Fiの導入を試してみよう
今回のメッシュWi-Fiの実践に選んだのは、エレコムの「WMC-DLGST2-W」。Wi-Fiルーターとサテライト各1台ずつ2台セットのパッケージとなる。
IEEE 802.11ac、2×2 MU-MIMO、ビームフォーミングに対応しており、独自の「e-Mesh」と呼ぶメッシュWi-Fiを使って効率よくエリアを広げられる。最大通信速度は867Mbps(5GHz帯接続時)または400Mbps(2.4GHz接続時)。
通信状況を見て、空き周波数帯のどちらかを使ってメッシュWi-Fiを構築してくれる。セットのルーターとサテライト同士は、あらかじめ接続設定がされているので、メッシュWi-Fiだからといっても特別難しく感じることはないハズだ。
インターネット回線への接続では、国内メーカー製品らしくIPoE IPv6への対応も万全だ。アンテナは外付けではないが、DXアンテナとの共同開発で2.4GHz帯と5GHz帯用がそれぞれ独立したアンテナが本体に内蔵されていて、縦横どちらに本体を設置しても、効率よく電波を送受信してくれる設計になっている。
デュアルバンド機としては、1万7740円(税別)と比較的リーズナブルなのも、スマホ向けのメッシュWi-Fiとしてチョイスしたポイントだ。トレンドマイクロの技術を採用したセキュリティソリューション「Trend Micro Smart Home Network」が利用できるのも、セキュリティーがおろそかになりやすいスマホ活用にありがたい機能。次回から、こちらでメッシュWi-Fiを実際に試してみよう。
今回の教訓(ポイント)
メッシュWi-Fiを使えば、広いエリアをWi-Fiでカバーするのもすごく簡単
スマホ活用ならリーズナブルなデュアルバンドのメッシュWi-Fiでも十分だ
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)