自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第15回

Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(1)

【Wi-Fi中継機を用意しよう編】

 使いこなし編は、まずWi-Fiの電波状況を良くすることにフォーカスしている。前回まででは、スマホを使ってヒートマップを作成して、自宅内におけるWi-Fiの電波状況を把握してみた。これでWi-Fi電波のウィークポイントが分かるようになったが、今回からの数回では、Wi-Fi中継機(エクステンダー)を使って電波のエリアを補完していこう。

今回からはWi-Fi中継機を使って、エリアを拡張してみよう

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 Wi-Fi中継機は、Wi-Fiを利用したい場所の一部で電波が弱いときに設置して、ネットワークを拡張できる機器だ。Wi-Fiルーターからの電波が届くエリアの一部に重なるように設置すれば、Wi-Fiが繋がるエリアを広げてくれる。

 要はWi-Fiエリアの死角を埋めてくれる機器だと考えるといい。3階建ての建物で、1階にWi-Fiルーターがあり3階に電波が届きにくいというケースで、2階にWi-Fi中継機を設置する、というような活用ができる。

 設置にはちょっとコツが必要だ。Wi-Fiルーターの電波が不安定にならない程度の場所に、エリアが重なるように設置する。使うには電源が必要になので、コンセント周りに設置することになる。

 通常は、Wi-FiルーターのSSIDと、中継機によって拡張されたエリアのSSIDは、同一のSSIDに設定して利用できるので、設定時は別としても、いったん使い始めてしまえば接続先がどちらかを意識する必要はない。意図的に別のSSIDに設定し、使う場所に応じて手動でSSIDを切り替える、という使い方もできる。

 上位のモデルには、5GHz帯と2.4GHz帯を最適化しながら使用できるデュアルバンド対応の製品もあり、Wi-FiルーターとWi-Fi中継機の間を5GHz帯、Wi-Fi中継機からスマホまでは2.4GHz帯で通信できる。シングルバンドで接続する場合、同一チャンネルを使うので速度低下が起こるが、こうした製品なら、速度低下は起こりにくい。これもWi-Fi中継機を選択する際のポイントの1つだ。

Wi-Fi中継機は、Wi-Fiルーターのエリアを拡張してくれる

 今回実際に使ったのは、手元にあったTP-LinkのWi-Fi中継機「RE350」。ただこの製品は、同じ速度である後継モデル「RE305/A」に切り替わっているようだ。また、スマホの利用がメインなら、より安価な「RE200」でも問題ないだろう。また、上位モデルの「RE450」や、さらに上位でMU-MIMOに対応する「RE650」もラインアップされている。

 これらTP-LinkのWi-Fi中継機は、親機となるWi-Fiルーターのメーカーやモデルを問わずに接続できる。ただし、Wi-Fiのリンク速度はWi-Fiルーター側の性能以上では接続しないので、宝の持ち腐れにならないよう、上限に合わせて導入するのがポイント。親機より低速のリンク速度のモデルでの拡張は問題ない。

 TP-LinkのWi-Fi中継機は、いずれもWi-Fiルーターでも使ったスマホアプリ「Tether」での設定が可能だ。Amazon.co.jpや大手家電量販店などで購入できるが、通販だとサイズ感が分かりにくいかもしれない。どのモデルも想像しているよりもやや大きめなので、届いてから驚かないで欲しい。

TP-LinkのWi-Fi中継機「RE350」。ただこのモデルはすでに廃盤
コンセントに直接挿し込んで利用する。けっこう大きめのサイズであることが分かるだろう
本体の底面には、ギガビット対応の有線LANポートがある。アンテナは可動式

 ちなみにWi-Fi中継機の多くは、アクセスポイントとしても利用できるようになっている。一方、Wi-FiルーターにもWi-Fi中継機として動作する製品がある。次回は、実際にWi-Fi中継機を設定してみよう。

今回の教訓(ポイント)

自宅Wi-Fiのエリアは、Wi-Fi中継機を使うことで手軽に拡張できる
一般的にWi-Fi中継機は、親機のWi-Fiルーターのメーカーやモデルを問わずに利用できる

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。