自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第6回
Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(1)
チャンネル状況確認編
2019年6月17日 12:00
使いこなし編では、Wi-Fiの電波状況をよくすることにフォーカスして解説を進めている。使い始めると分かるが、Wi-Fiの電波は思っているほど飛ばないものだ。Wi-Fi通信状況がイマイチな自宅で、どうやったら少しでも快適になるかを模索している。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第1回:これから、Wi-Fi使いこなし編が始まります!
- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
前回から少し間が空いてしまったが、ここまででお教えしたコツは3つある。電波を遮断する性質の壁(コンクリートや石膏ボードなど)に阻まれないよう注意すること、アンテナの向きで電波の飛ぶ方向が変化すること、電波は反射をうまく活用するといいことだ。
また、少し分かりにくいかも知れないが、何でもかんでも強い電波で飛ばせばいいかというと、そうではない。使う場所以外に電波が届かないくらいに電波出力を絞るのがベストで、不便にならない程度に出力を低くし、電波を極力外に漏らさずにセキュリティリスクを少なくすることもポイントだ。
今回からはもう1点、Wi-Fiで使うチャンネルを有効に使う方法を見てみよう。Wi-Fiで使う周波数は2.4GHz帯と5GHz帯の2つがあることは、使いこなし編の第2回で少し触れている。大雑把に言うと、Wi-Fi以外に電子レンジなどの電波が飛び交っていて、常に混雑している2.4GHz帯と、比較的空いてはいるが遠くまでは飛ばない5GHz帯、といったようにイメージしておこう。つまり、少しでも空いている5GHz帯をいかに活用するかがポイントになるわけだ。
この2つの周波数帯は、それぞれがチャンネルという幅に分割されていて、状況に応じて複数のチャンネルから空いているものを自動的に選んで通信に用いる仕組みになっている。
2.4GHz帯は基本的に13チャンネル[*1]、5GHz帯は19チャンネルあるのだが、2.4GHz帯は最も狭い20MHz幅で使っても、実質的にはほぼ3つのチャンネルとしてしか使えない。このため、5GHz帯の方が圧倒的に広く使えることになる。
[*1]……現在は、実質的なチャンネルの数は13だが、以前は日本独自でIEEE 802.11bのチャンネルとして14チャンネル目を利用できるWi-Fiルーターが存在していた。ただ、この幻の14チャンネルを使える現行モデルは、基本的に存在しない
最近は、Wi-Fiの通信を高速化するため、複数のチャンネルを束ねて活用する仕組みが採られており、IEEE 802.11acで5GHz帯を使う場合は、4つのチャンネルを束ねて80MHz幅として使われる。この場合、確保できるチャンネルの数は4つになってしまう。2.4GHz帯でIEEE 802.11nを使うと、確保できるのは2つが精一杯で、下手をすると1つになることもある。
チャンネルに空きのない2.4GHz帯電波の飛びは悪いが5GHz帯をメインに
では、実際のチャンネルがどのようになっているのか、状態を確認してみよう。以前の連載では、AndroidとWindowsで利用できる「WiFi Analyzer」というツールを紹介しているが、ここでは、「WiFi Explorer Lite」というツールをmacOSで使ってみよう。
- WiFi Analyzer(Google Play)
- WiFi Analyzer(Microsoft Store)
- WiFi Explorer Lite(Mac App Store)
以下の画像は、2.4GHz帯と5GHz帯の状態を、リアルタイムで表示したもの。濃い色の帯で表示されているのが使用中で、横軸がチャンネル、縦軸が電波の強さを表している。11nや11acでは、複数チャンネルを確保[*2]して帯域を広く取っている。
[*2]……複数のチャンネルを束ねる技術はチャンネル・ボンディングと呼ばれるもの。上の図では、11acが80MHz幅までとなっているが、160MHz幅を利用できるルーターもある
2.4GHz帯には空いているチャンネルがあまりないが、ある程度の人口が密集した地域では、どこも似たような状況なハズだ。11nで40MHz幅を使うと、ほぼそれでチャンネルが埋まってしまう。2.4GHz帯では11nではなく11gで使った方が、速度は出ないがチャンネルは確保しやすいので、比較的接続が安定することが多い。
5GHz帯では、11nの40MHz幅はもとより、11acで80MHz幅を使っても比較的余裕がある。一見して2.4GHz帯の方が広い帯域を使っているかのように見えるが、5GHz帯の半分しか使っておらず、5GHz帯の帯域は倍ということになる。
こうした状況から、5GHz帯の方をメインに使うのがいいだろう。チャンネルに空きがあれば、例えば中継器を使うこともできる。2.4GHz帯はあくまでもサブとして、5GHzに対応しない家電やネットワークカメラなどの機器を細々と接続する設定にするのが、通信環境でイライラしないコツだ。
そして、チャンネルの設定については、基本的にWi-Fiルーターの判断に任せて、オート(自動)にしておくのが無難ではある。
ただ、混みすぎていて劣悪なチャンネル状態の環境で、少しでも通信状態を改善したいケースで考えられる改善策はある。
今回はとりあえず状況の把握までで、実際にどのような設定をすればいいのか、その実践方法については、次回に解説しよう。
今回の教訓(ポイント)
5GHz帯は電波の飛びは悪いが圧倒的にチャンネルが広いのでメインに使おう
2.4GHz帯は帯域は狭い11gにすると接続は安定する。サブ扱いにしておこう
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
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- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
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- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
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- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
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- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
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- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
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- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)