自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第10回
Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(5)
【モバイルWi-Fiルーターでの注意点】
2019年7月22日 06:00
使いこなし編は、まずWi-Fiの電波状況を良くすることにフォーカスして、Wi-Fi通信状況を改善するため、チャンネルの設定を見直している。
今回はちょっと脇道にそれるが、家庭向けのWi-Fiルーターではなく、モバイルWi-Fiルーターを使う時の注意点に触れておこう。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第1回:これから、Wi-Fi使いこなし編が始まります!
- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
モバイルWi-Fiルーターを屋外で使うときに、5GHz帯を使いたい場合は注意が必要だ。
なぜなら、屋外で使用できる5GHz帯は「W56」のみなのだ。2018年からは、条件付きで「W52」が使えるようになったが、その条件について「無線LANの屋外利用について」という総務省のウェブページには「アクセスポイント及び中継器については、事前に総合通信局に『登録局』の手続が必要。」とある。モバイルWi-Fiルーターを登録局として申請して使っているケースはまずないので、基本的に「W56」のみしか使えない、と考えておけばいいだろう。
“モバイル”と言っても、車内やカフェなどの屋内で使うときには、気にせず「W52」と「W53」を利用できる。ただ、チャンネルを頻繁に切り替えて使うのは面倒だし、あまり現実的ではないかもしれない。
ちなみにモバイルWi-Fiルーターには、家庭内で使うWi-Fiルーターと異なり、2.4GHz帯と5GHz帯を同時に使えるものはまずなくて、どちらかに切り替えて使うものがほとんどだ。5GHz帯は2.4GHz帯の補助的な扱いで、「W52」のみ[*1]だったり「W56」のみ[*2]だったりと、製品によって限定的に搭載される位置付けだったりする。
[*1]……海外メーカーの安いモデルには、このパターンが多い。DFSで接続が切れることはないが、屋外では利用できない
[*2]……NECプラットフォームズの「Aterm MP01LN」はIEEE 802.11ac対応だが、5GHz帯は「W56」のみに限定されている。コンパクトなので外で使うことを重視しているのだろう。この場合、W52のみのAmazon製品などでは5GHz帯を使えない
また、前回も書いたが、「W53」と「W56」には「DFS」という機能の搭載が必須だ。レーダーなどの電波を感知すると別のチャンネルへと移動するもので、その間は急に1分ほど接続できなくなる。しかも、モバイルWi-Fiルーターの電源は頻繁にオンオフするだろうが、電源オン時には必ずDFSのサーチ待ちが入る。短時間とはいえ接続が寸断するのは、さすがにちょっとばかりイラっとする。ちなみに「W52」ならば、DFSによる`電波の途切れはない[*3]。
[*3]……W52を屋外で使っていて検挙された例を聞いたことはないが、こちらのウェブページによれば、総務省では電波を監視して場所を特定する「DEURAS」というシステムを運用して、宇宙(衛星)の電波も監視している。W52は主に衛星通信のGlobalstarとの共用になっている
では、NECプラットフォームズのモバイルWi-Fiルーター「Aterm MP01LN」で5GHz帯を使えるようにする手順を見ていこう。
このようにモバイルWi-FiルーターでW56(またはW53)を使うには、かなり煩雑な手順が必要な上、電源をオンにするたびにサーチで待たされてしまう。こういった悪条件を考えると、モバイルWi-Fiルーターに関しては、2.4GHz帯を使うことをオススメしたい。
さらに言えば、PCやタブレットで至近距離からの利用が主体なので、バンドが混んでいたとしても影響を受けないことも多い。
ただ、大きなホテルなどのイベント会場や宴会場では、2.4GHz帯が全く使い物にならないことがある。2.4GHz帯が激混みでどうしても通信できない場合にのみ、5GHz帯に切り替えて逃げる、という使い方をするといいだろう。ただ、こうした場合、たいてい5GHz帯も混んでいるはずだ[*4]。
[*4]……混み過ぎでどうしてもWi-Fiが繋がらない場合、PCであればUSBポートに接続してモデムとして使えるモバイルWi-Fiルーターが多い
一方、家庭用Wi-Fiルーターを屋外で使うことは少ないかも知れないが、例えば離れと母屋をWi-Fiで繋ぎたいとか、オープンテラスや庭でもWi-Fiを使いたいというケースで、5GHz帯を活用したいときは、必ずチャンネルを「W56」に限定するように設定して欲しい。
今回の教訓(ポイント)
モバイルルーターでは無理して5GHz帯を使わなくてもよい
屋外で利用できる5GHz帯は現状ではW56のみ
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)