自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第7回
Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(2)
チャンネル設定編
2019年6月24日 13:35
使いこなし編では、Wi-Fiの電波状況をよくすることにフォーカスして解説を進めている。使い始めると分かるが、Wi-Fiの電波は思っているほど飛ばないもの。Wi-Fi通信状況がイマイチな自宅で、どうやったら少しでも快適になるかを模索しているところだ。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第1回:これから、Wi-Fi使いこなし編が始まります!
- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
Wi-Fiで使う周波数帯域には2.4GHz帯と5GHz帯がある。前回は、Wi-Fiで使うチャンネルを有効に使うため、利用する2.4GHz帯とチャンネルの状態を確認してみた。
5GHz帯の方、使われていないことが比較的多く、利用できる帯域も広い。複数のチャンネルを束ねることで、通信に広い帯域を使って高速化できる11nや11acに対応するスマホやPCなどでは、5GHz帯で接続するといい。
2.4GHz帯はあくまでもサブとして、2.4GHz帯しか使えない少し古い機器や、通信速度より接続距離を優先したい機器の接続に使うなど、サブとして活用しよう。
こうして周波数帯ごとに使うには、SSIDで区別できるようにすると分かりやすい。2.4GHz帯と5GHz帯を同一SSIDとするバンドステアリング機能は、空きチャンネルを検索できるなど便利な面もあるが、当然ながらオフに設定しておいた方が都合がいい。
2.4GHz帯と5GHz帯のそれぞれで利用するチャンネルは、Wi-Fiルーター側が設定できる。接続が切れやすいなどの問題が出なければ、オートなどに設定しておけば最適化されるので問題ない。
前回紹介した方法で空きチャンネルを確認できたら、手動でそのチャンネルに固定してしまえば、比較的接続を安定させられるだろう。
もう1つ、チャンネル選びのコツをお教えしよう。5GHz帯は、細かく分類すると「W52(5150~5250MHz、36~48ch)」「W53(5250~5350MHz、52~64ch)」「W56(5470~5725MHz、100~140ch))」の3グループに分かれている[*1]。
[*1]……実は「J52」という日本独自の帯域もあり、以前はこれを使えた11a対応ルーターもあったが、現在の製品では利用できない
このうち、W53とW56では、気象観測、船舶、航空レーダーと同じチャンネルを使っていて、これらの電波を検知すると強制的にほかのチャンネルへ移動するか出力を調整する「DFS(Dynamic Frequency Selection)」という仕組みが備えられているほか、W53については屋外で使用できないことになっている。
DFSの存在を考えれば、W53とW56を避け、W52のみを指定した方が安定しやすいと思うかもしれない。これはこれで正解なのだが、実際には5GHz帯の中でもW52は混雑していることが多い。
同じように考える人が大多数なのか、単純に周波数スキャンを開始する順番なのかは知る由もないが、実際のチャンネル信号グラフ表示を見ても、W52に集中していることが多いのが実情だ。
さらに、海外製品には、日本だけが独特の仕様となっているこのW53とW56が省略されていて、使えない場合もあったりする。近隣の使用状況を確認してみて、もし空いているようなら、まず第1にW52を利用するのがおすすめだ。
ただし、W52が混んでいる場合には、あえてW53またはW56の利用を考えてみて欲しい。Wi-Fiルーターを屋内に設置していると、窓際でもない限りレーダーの電波を受信することは頻繁にはないはず。気象レーダーは主にW53の周波数を使っているので、特にW56を積極的に使ってみるのがおすすめだ。
ただし、Wi-Fi子機側でも、W53とW56が省略された機器があるので注意も必要だ。メジャーな製品としては、例えばAmazonのスマートスピーカーやタブレットなどは、W52のみしか対応していない。こういった製品では、Wi-Fiルーターで5GHz帯がW53かW56に設定されていると、Wi-Fiの接続設定時にSSIDが見えないはずだ。
W52のみの機器を5GHz帯で繋げたければ、Wi-Fiルーター側で配慮してW52に設定するしかない。こうしたケースでは、W52のみしか対応していない機器では高速通信は諦めて2.4GHz帯を使い、5GHz帯はW53とW56の利用を継続するのものおすすめだ。もちろん、空いていればW52を使ってもいいが、この場合にはオートにせず、W52のチャンネルを明示的に設定する方がいい。
今回の教訓(ポイント)
使うチャンネルはWi-Fiルーター側で設定を! W53とW56の使いこなしがポイント
Wi-Fiルーターも、Wi-Fi子機側も、W52だけしか使えない機器があることも覚えておこう
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
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- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
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- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
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- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)
【お詫びと訂正 2月19日 17:15】
W53の屋外利用に関する記述に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
誤:W53とW56では、気象観測、船舶、航空レーダーと同じチャンネルを使っていて、これらの電波を検知すると強制的にほかのチャンネルへ移動するか出力を調整する「DFS(Dynamic Frequency Selection)」という仕組みが備えられているほか、屋外では使用できないことになっている。
正:W53とW56では、気象観測、船舶、航空レーダーと同じチャンネルを使っていて、これらの電波を検知すると強制的にほかのチャンネルへ移動するか出力を調整する「DFS(Dynamic Frequency Selection)」という仕組みが備えられているほか、W53については屋外で使用できないことになっている。