自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第31回
モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(失敗編)
2020年6月11日 06:00
使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で急きょ自宅でインターネット回線を用意しなくてはならない人に向け、特別編としてモバイル回線を使ってインターネット接続環境を構築する方法を解説している。回線工事を待つことなく、とにかく急いで導入したいときに、モバイル回線がとても重宝する。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第23回:テレワーク用のネット回線、速攻で用意するならモバイル回線!その方法は?
- 第24回:スマホの回線をPCのネット接続に使う「Wi-Fiテザリング」
- 第25回:テレワークのネット回線、急いで用意する方法は?
- 第26回:テレワーク用回線にモバイル回線向けWi-Fiルーターを設定しよう
- 第27回:WiMAX 2+回線は「ハイスピード」モードで使うのが基本
- 第28回:モバイルWi-Fiルーターをウェブブラウザーで設定
- 第29回:「Nintendo Switch」をWi-Fiへ接続しよう
- 第30回:モバイルWi-Fiではデータ通信量をモニターしておこう
- 第31回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(失敗編)
- 第32回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W接続編)
- 第33回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W回線確認編)
- 第34回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W回線補足編)
- 第35回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W追加接続設定編)
前回までで、据え置きタイプのWi-Fiルーターの使いこなしを紹介した。今回からは、持ち運びに便利なコンパクトタイプのWi-Fiルーターの使いこなしを見ていきたい。
据え置きタイプとコンパクトタイプでどちらを選択すべきかは、第25回の「テレワークのネット回線、急いで用意する方法は?」で触れているので、参考にして欲しい。
ただ、大きな違いを簡単に言えば、ここぞというときに安定して接続できる有線LANが使えるかどうか、コンパクトタイプでは屋外での使用が前提とされるために5GHz帯の活用で制限がかかることの2つだ。
つまり、自宅において家族など複数人で安定した通信をしたいなら据え置きタイプ、一人暮らしでほかに使う人がいなければ、持ち歩いて常に使えるコンパクトタイプを選ぶといい。
コンパクトタイプのモバイルWi-Fiルーターなら回線契約と一緒に購入してもいいし、別々に用意してもいい。Wi-Fiルーターは、たいていSIMロックフリーでSIMロックがかかっていないため、好みのデータ回線を選び、使っていて足りなくなったら別のSIM契約を追加するという、ある意味で荒っぽい使い方もできる。
そこで今回は、楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」回線を用意し、接続をテストしてみた。ご存じの方も多いかと思うが、首都圏や大阪、名古屋、京都など、楽天モバイル回線のエリア内であれば、実質無制限にデータ通信が使える(通信が極端に多いと制限されることもある)。エリア外ではau回線のローミングで月間5GBまで利用できる。しかも、契約から1年間は通信量が無料(先着300万人限定、1人1回線のみ)となる。
そこで、手持ちのNECプラットフォームズ製のモバイルWi-Fiルーター「MP01LN」にRakuten UN-LIMITのSIMを挿して使ってみた。だが、結果から言うと、これは失敗だった。
楽天モバイルでは、MP01LNをモデルチェンジした「MP02LN」を販売しているので、問題ないだろうと考えて気軽に繋げてみたのだが、MP01LNはLTEのバンド3(1.7GHz帯)に対応しておらず、接続自体はできるものの、auのローミング回線へつながってしまった。
Rakuten UN-LIMITでモバイルWi-Fiルーターを活用するには、バンド3とauローミング回線のバンド18が使える機種を選ぶことが重要だ。新しくモバイルWi-Fiルーターを購入するなら、素直に楽天モバイルで販売されているMP02LNを選ぶのが無難だろう。
バンド3が使えずにバンド18のみ使えるモバイルWi-Fiルーターは珍しいと思われるが、製品の選択には注意して欲しい。楽天モバイルの回線はauローミング回線(バンド18)に接続しているのは分かりにくいので、今回の失敗例を参考に、キチンと接続先をチェックしつつ使うといいだろう。
モバイルWi-Fiルーターを使い始める時には、契約したSIMを装着し、「APN」という接続先を設定する作業が必要だ。この設定例をMP01LNで見てみよう。NECプラットフォームズのモバイルWi-Fiルーターなら設定方法は同じようなものだ。ほかの格安SIMではAPNの設定値が異なるものの、設定の手順自体は変わらない。
[情報]で表示される[接続状態]の「440 53」という番号は、「PLMN」と呼ばれる事業者別のコードで、「440」の部分は「MCC(Mobile Country Code/国番号)」、「53」の部分は「MNC(Mobile Network Code/ネットワーク番号)」という番号で呼ばれることもある。
この「440 53」は、au(KDDI)に割り当てられている番号となる。つまり、auのローミング回線に接続していることを意味している。もし「440 11」と表示されていれば、楽天モバイル回線への接続を表していて、その際の通信は容量無制限の対象になるので、この番号を確認しながら使うといいだろう。なお、モバイルWi-Fiルーターによっては、「バンド3」や「B3」などと表示されることもある。
もし、自宅が楽天モバイル回線のエリア内だと分かっていて、外出先でなく自宅のみ(つまりはエリア内のみ)で使うなら、とにかくバンド3にさえ対応していればいい。持ち出してauローミング回線を使う可能性があるなら、併せてバンド18にも対応していることを確認して導入しよう。ちなみに、NTTドコモ回線のMVNOでは、「LTE(DOCOMO)」と表示される。
MP01LNは、LTEのバンド3に対応していないので、楽天モバイル回線エリア内でも、残念ながら楽天モバイル回線の「440 11」には接続できない。auのローミング回線では使えているものの、微妙に失敗と言える結果なので、次回はもう少しリベンジをしてみたい。
今回の教訓(ポイント)
楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT」は、エリア内であればほぼ無制限でデータ通信できる
Wi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」使うには「バンド3」に対応していることがポイント
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第1回:これから、Wi-Fi使いこなし編が始まります!
- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
- 第1回:「ギガ」を減らしたくなきゃ、自宅Wi-Fiルーターを使え!
- 第2回:「Wi-Fiルーター」ってそもそもナニ?
- 第3回:Wi-Fi速度アップのキモ、複数アンテナを駆使する「MIMO」とは?
- 第4回:スマホのWi-Fi性能をチェックするには?
- 第5回:スマホ通信の高速化のためには自宅の回線も「ギガ」に
- 第6回:Wi-Fiとルーターは別のもの?
- 第7回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(1) 国内メーカーと海外メーカー
- 第8回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(2) iPhoneユーザーにはApple製品がオススメなの?
- 第9回:失敗しないWi-Fiルーターの製品選び(3) 高性能Wi-Fiルーターの選択もアリなのか考える
- 第10回:Wi-Fiルーター開梱の儀
- 第11回:Wi-Fiルーターをネット回線に接続するときの注意点は?
- 第12回:とりあえずの初期状態でWi-Fiに繋がってみよう。そのまま使い続けは厳禁
- 第13回:Wi-Fiルーターでインターネット接続設定をするコツ
- 第14回:ボタンプッシュを使ったWi-Fi接続設定を使ってみる
- 第15回:Wi-Fiの「SSID」について少し知っておきたい心がけ
- 第16回:Wi-Fiの暗号化方式・暗号化キーについて少し勉強しておきたいこと
- 第17回:Wi-Fiルーターの「IPアドレス」を忘れたら?
- 第18回:Wi-Fiの「SSID」ネーミングの注意点、周囲に発信しているものだということを意識しよう
- 第19回:長くランダムなWi-Fi暗号化キーを設定するコツ
- 第20回:Wi-Fiルーターが壊れたときに役立つ「設定ファイル」の保存方法
- 第21回:“ギガ”を無駄に減らさない自宅Wi-Fiを活用する設定とは
- 第22回:新たに設定したWi-Fiルーターにうまく繋がらないときの対処法
- 第23回:家族のスマホWi-Fi接続を簡単に済ませるとっておきテク
- 第24回:新しめのiPhoneやiPad、Mac同士なら「Wi-Fiパスワード共有」が簡単
- 第25回:タッチだけでWi-Fi接続させるNFCタグをAndroidスマホで作ってみた
- 第26回:2018年夏の良コスパWi-Fi
- 第27回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格1万円前後、2018年夏の“良コスパ”お勧め製品
- 第28回:Wi-Fiルーター迷ったらコレを選べ! 実売価格7000円以下のお勧め製品
- 第29回:Wi-Fiルーター接続後に必ずやっておきたいこと
- 第30回:ファームウェアのアップデートをZIPファイルから行うには
- 第31回:Wi-Fiルーターの時刻を自動で合わせる
- 第32回:スマホの時刻を自動で合わせるには
- 第33回:パソコンの時刻を自動で合わせるには
- 第34回:もしかして、Wi-Fiが二重ルーター状態になってない?
- 第35回:Wi-Fiが二重ルーター状態になっているかを確認するツールは?
- 第36回:Wi-Fiが二重ルーターになっているか、実際の確認方法は?
- 第37回:二重になったWi-Fiルーターをオフにするには?
- 第38回:自宅のLANでIPアドレスを固定すると便利な機器は?
- 第39回:自宅のLANでIPアドレスを固定するマイルールを決めてみる
- 第40回:ルーターでIPアドレス配布するルールを設定する
- 第41回:Wi-FiアクセスポイントでIPアドレスを固定して使うには?
- 第42回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(1):軽微なトラブルは再起動
- 第43回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(2):回線接続トラブルならサポートを
- 第44回:ネット回線が繋がらない! その時の対処法(3) 光回線の接続は確実に
- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)