自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!
【使いこなし編】第44回
Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しめる設定編
2020年9月17日 06:00
使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。
そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。ここまでの解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続して動画を視聴できているはずだ。そして、Fire TV Stickでの動画再生のトラブルシューティングに活用できるテクニックに続き、前回は、Fire TV Stick 4Kで4Kコンテンツを再生してみた。今回は引き続いて4K関連の設定を見ていこう。
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第36回:Amazon「Fire TV Stick」でおウチ時間を楽しく(紹介編)
- 第37回:Amazon「Fire TV Stick」をテレビに接続編
- 第38回:Amazon「Fire TV Stick」をつなぐWi-Fiルーターを設定しよう
- 第39回:Amazon「Fire TV Stick」をつなぐWi-Fiルーターをさらに設定
- 第40回:Amazon「Fire TV Stick」の便利なリモコンアプリ設定
- 第41回:Amazon「Fire TV Stick」で動画データの通信を優先させる
- 第42回:Amazon「Fire TV Stick」など、指定デバイスの通信を優先させる
- 第43回:Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しもう
- 第44回:Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しめる設定編
- 第45回:Amazon「Fire TV Stick」の「ライブ」タブで生配信番組を楽しもう
- 第46回:Amazon「Fire TV Stick」をモバイルWi-Fiルーターで使ってみる
- 第47回:Amazon「Fire TV Stick」を低速モバイル回線で活用してみる
- 第48回:Amazon「Fire TV Stick」で録画したテレビ番組を視聴する
- 第49回:「Fire TV Stick」へ無料で録画番組をスマホからをキャストしよう
- 第50回:Amazon「Fire TV Stick」でレコーダーの録画番組を視聴しよう
- 第51回:Amazon「Fire TV Stick」で録画番組の再生画質をWi-Fiの状況に応じて調整
- 第52回:REC-ONからPCの「PC TV Plus」へ録画番組データを転送する準備をしよう
- 第53回:REC-ONからPCの「PC TV Plus」へ録画番組データを転送してみよう
- 第54回:Androidスマホの画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第55回:Windows 10の画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第56回:iPhoneやMacの画面をFire TV Stickにミラーリング
- 第57回:Fire TV StickでもYouTubeのキャストを楽しもう
- 第58回:Fire TV StickとEchoデバイスをリンクさせる準備
- 第59回:Fire TV StickとEchoデバイスをリンクし、発話で動画を再生しよう
- 第60回:Fire TV Stickの音をテレビとEchoデバイスから同時に出力
- 第61回:Fire TV Stickの音質をEcho Studioでグレードアップ
- 第62回:Echo Studioでホームシアターを再設定する
- 第63回:Echo Studioのホームシアターをステレオ化する
- 第64回:Echo StudioとFire TV Stickとスマホで音楽を楽しもう
- 第65回:Fire TV Stickをつないだテレビをスマートリモコンで音声コントロール
- 第66回:Fire TV Stickをつないだテレビのリモコンをスマートリモコンへ登録
- 第67回:Fire TV Stickを音声で操作! 「Nature Remo」アプリとAlexaを連携
- 第68回:Fire TV Stickをつないだテレビの外部入力を音声で切り替え
- 第69回:Fire TV Stickをつないだテレビをスマートリモコンで帰宅時に自動起動
- 第70回:Fire TV Stickでスクリーンセーバーに表示する写真をAmazon Photosへ保存
- 第71回:GoogleフォトからAmazon Photosに写真を一気に移動する
- 第72回:Fire TV StickのスクリーンセーバーにAmazon Photosの写真を表示
- 第73回:Fire TV Stickでアプリが起動しやすく! メニューとリモコンがリニューアル!
- 第74回:Fire TV StickにPrimeビデオの子ども用プロフィールを紐付け
- 第75回:Fire TV Stickでゲームを楽しむ! リモコンだけでプレー可能なゲームも
- 第76回:Fire TV Stickのリモコンでも遊べるオススメゲーム
- 第77回:続 Fire TV Stickのリモコンでも遊べるオススメゲーム
4K動画をHDR再生をするための設定とは?
4Kコンテンツをキレイに表示するには、HDRに関する設定を行う必要がある。HDから4Kになったことで、画面解像度が1920×1080→3840×2160ピクセルへときめ細かくなったが、HDRでは、主に明暗の幅(ダイナミックレンジ)が広くなっている。
HDRの技術により、同時に扱える色数を増やし、色域を指定したりすることで、画面の明るい部分と暗い部分を両方潰れずに表示できるようになる。HDRにすると、画面のメリハリが失われたようにも見えるので、遠目から見たときの分かりやすさを重視したドラマやドキュメンタリーなどでは、逆に見にくいと感じることもある。このため、好みの応じてHDRの設定をしてもらって構わない。
テレビでは、“HDR”という名称だけでなく、「ワイドカラー」「拡張フォーマット」「Ultra HD Premium」「Ultra HD Deep Color」「HDR10/HDR10+」「Dolby Vision」など、メーカーの機能や認証機関、規格によって関連した呼び名が付いている。たいていの4Kテレビでは、これらの機能を備えるとうたわれているはずだ。程度の差はあるが、いずれもHDRを楽しめるものなので、こうした機能に対応するHDMI端子にFire TV Stick 4Kを接続しておくのが前提となる。
Fire TV Stick 4KとFire TV Cubeは「HDR10+」「Dolby Vision」の出力に対応しているが、初期値ではこの色深度がHDRではない一般的な8ビットに抑えられている。表示するテレビに合わせて、[設定]から[ディスプレイとサウンド]内の[ディスプレイ]にある[色深度]を[最大12ビット]もしくは[最大10ビット]のどちらかを選択しよう[*1]。
[*1]……RGB各色を8ビットで表現すると24ビット(1677万色)と呼ばれ、各色10ビットで30ビット(約11億色)、各色12ビットで36ビット(約687億色)を表現できる。8ビットの1677万色は「トゥルーカラー」とも呼ばれ、これでも十分過ぎるように見えるが、白~黒までのグレースケールで見ると、実は256階調のダイナミックレンジしかない。なお、RGB各色10ビット以上は「ディープカラー」と呼ばれる
4Kテレビ側がどこまで対応しているかで設定は変わるが、最高で12ビットまで上げることができる。「HDR10/HDR10+」なら10ビット、「Dolby Vision」なら10ビットと12ビットの出力になる。試しに12ビットまで上げてみて、表示がおかしければ10ビットに戻せばいいだろう。
ビット数を増やす設定になるので、扱うデータ量も当然増える。この設定は通信量にも影響し、より多くのデータが必要になるため、あくまでも光回線でWi-Fiの通信状況がいい環境向けだ。
さらに、[ディスプレイ]の[ダイナミックレンジの設定]を[自動調整]から[常にHDR]にすると、HDRではないコンテンツ(SDRという)もHDRに変換され、常時HDRの表示になる。
ニュースやバラエティ、ドラマなどを多く見る人は、SDRコンテンツのダイナミックレンジを変換しない[自動調整]の方が見やすいかもしれないので、これは好みの設定で構わない。バラエティの映像がちょっとリアル過ぎると感じるなら[自動調整]に、ドラマで白飛びや暗所の潰れが気になるなら[常にHDR]にするといい。
このほか、YCbCrのカラースペースに対応したテレビでは、[カラーフォーマット]で[YCbCr]を選択しておこう。これによる画質への影響は少ないので、良く分からなければ[自動]のままでも構わない。
もう1つ、映画をよく鑑賞する人向けの設定を紹介しよう。同じく[ディスプレイ]にある[オリジナルのフレームレートに合わせる]の項目は、選択ボタンを押すと[オン]に切り替えられる。
これは、一般に60p(1秒間に60フレームをプログレッシブ走査で表示する)で再生されるコンテンツを、オリジナルのフレームレートに合わせて再生させる機能だ。
主に映画やアニメで使われる24pのコンテンツを60pで出力している場合、なめらかに表示されるように、本来は存在しないフレームを自動的に補完している。60pに慣れてしまうと24pではカクつきを感じたりするが、逆にシーンによっては24pにはないヌメヌメした動きに違和感を感じる人もいる。例えば、人物がユックリと静かな動くシーンなどで、そうした違いがよく分かるかもしれない。
ちなみに、映画館やUltra HDのBlu-ray Discパッケージの再生で映像を鑑賞する環境が多い24pの設定も、一度は体験してみて欲しい。この設定も、もちろん好みで決めてもらって構わない。
回線を安定させるには「イーサネットアダプタ」を使おう
4KコンテンツをHDRで再生するには、コンスタントに30Mbps程度で通信ができれば問題ないはずだ。だが、Wi-Fi接続では常時通信が安定した環境を作りにくい。一番手っ取り早いのは、Wi-Fiで接続するFire TV Stick 4KとWi-Fiルーターを極力近づけることだ。
それができない場合に、どうしても再生が安定しなければ、オプションの「イーサネットアダプタ」を接続して有線LAN環境で使うことを考えてもいいだろう。
テレビのそばで有線LANのケーブルを引き回せることが条件にはなるが、4KコンテンツをHDRで確実に安定して再生できる。有線LANケーブルは、家庭内であればいくら長く引き回してもほとんど速度には影響しない。
速度の面では、このイーサネットアダプタ自体がギガビットではなく100BASE-TXで、100Mbpsが速度の上限となる。一時的な速度だけで見れば、IEEE 802.11acの5GHz帯でWi-Fi接続した方が高速な可能性もある。このため、あくまでも通信を安定させることが目的だと考えよう。
今回の教訓(ポイント)
Fire TV Stick 4Kで4Kコンテンツを再生するときはHDR関連もあわせて設定する
Wi-Fiで再生が安定しなければ「イーサネットアダプタ」で有線LAN接続する
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
- 第23回:テレワーク用のネット回線、速攻で用意するならモバイル回線!その方法は?
- 第24回:スマホの回線をPCのネット接続に使う「Wi-Fiテザリング」
- 第25回:テレワークのネット回線、急いで用意する方法は?
- 第26回:テレワーク用回線にモバイル回線向けWi-Fiルーターを設定しよう
- 第27回:WiMAX 2+回線は「ハイスピード」モードで使うのが基本
- 第28回:モバイルWi-Fiルーターをウェブブラウザーで設定
- 第29回:「Nintendo Switch」をWi-Fiへ接続しよう
- 第30回:モバイルWi-Fiではデータ通信量をモニターしておこう
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- 第32回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W接続編)
- 第33回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W回線確認編)
- 第34回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W回線補足編)
- 第35回:モバイルWi-Fiルーターで「Rakuten UN-LIMIT」を使う(+F FS030W追加接続設定編)
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ! 使いこなし編」連載記事一覧
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- 第2回:Wi-Fi電波の飛びを少しでも改善しよう
- 第3回:Wi-Fiルーターのアンテナで電波の飛びを改善しよう
- 第4回:Wi-Fiルーターとスマホで電波の反射効果を実験してみる
- 第5回:電波の出力は強けりゃイイってもんじゃない。
- 第6回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル状況確認編)
- 第7回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(チャンネル設定編)
- 第8回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(Amazon Echoの5GHz帯接続編)
- 第9回:Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(iPhone編)
- 第10回 Wi-Fiルーターのチャンネル設定をチェック(モバイルWi-Fiルーターでの注意点)
- 第11回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fi電波強度の測定)
- 第12回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(間取り図の作成)
- 第13回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(ヒートマップの作成)
- 第14回:Wi-Fiの電波の強さを正確に把握しよう(Wi-Fiルーターの位置調整)
- 第15回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の用意)
- 第16回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機のセットアップ)
- 第17回:Wi-Fi中継機でエリアを拡張しよう(Wi-Fi中継機の位置調整)
- 第18回:メッシュWi-Fiを活用しよう(中継機との違いと選び方)
- 第19回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiをネット回線に接続)
- 第20回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-FiのSSIDを設定)
- 第21回:メッシュWi-Fiを活用しよう(メッシュWi-Fiにサテライトを追加)
- 第22回:メッシュWi-Fiを活用しよう(電波エリアはどのくらい広がった?)
「自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!」連載記事一覧
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- 第45回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(1)
- 第46回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(2)
- 第47回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ(3)
- 第48回:家庭へのWi-Fiルーターの導入まとめ (4)