自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第44回

Amazon「Fire TV Stick」で4Kコンテンツを楽しめる設定編

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。ここまでの解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続して動画を視聴できているはずだ。そして、Fire TV Stickでの動画再生のトラブルシューティングに活用できるテクニックに続き、前回は、Fire TV Stick 4Kで4Kコンテンツを再生してみた。今回は引き続いて4K関連の設定を見ていこう。

Fire TV Stick 4Kで、4Kコンテンツを再生するための設定を続けて行っていこう

4K動画をHDR再生をするための設定とは?

 4Kコンテンツをキレイに表示するには、HDRに関する設定を行う必要がある。HDから4Kになったことで、画面解像度が1920×1080→3840×2160ピクセルへときめ細かくなったが、HDRでは、主に明暗の幅(ダイナミックレンジ)が広くなっている。

 HDRの技術により、同時に扱える色数を増やし、色域を指定したりすることで、画面の明るい部分と暗い部分を両方潰れずに表示できるようになる。HDRにすると、画面のメリハリが失われたようにも見えるので、遠目から見たときの分かりやすさを重視したドラマやドキュメンタリーなどでは、逆に見にくいと感じることもある。このため、好みの応じてHDRの設定をしてもらって構わない。

 テレビでは、“HDR”という名称だけでなく、「ワイドカラー」「拡張フォーマット」「Ultra HD Premium」「Ultra HD Deep Color」「HDR10/HDR10+」「Dolby Vision」など、メーカーの機能や認証機関、規格によって関連した呼び名が付いている。たいていの4Kテレビでは、これらの機能を備えるとうたわれているはずだ。程度の差はあるが、いずれもHDRを楽しめるものなので、こうした機能に対応するHDMI端子にFire TV Stick 4Kを接続しておくのが前提となる。

 Fire TV Stick 4KとFire TV Cubeは「HDR10+」「Dolby Vision」の出力に対応しているが、初期値ではこの色深度がHDRではない一般的な8ビットに抑えられている。表示するテレビに合わせて、[設定]から[ディスプレイとサウンド]内の[ディスプレイ]にある[色深度]を[最大12ビット]もしくは[最大10ビット]のどちらかを選択しよう[*1]

HDR関連の設定は、全て[設定]の[ディスプレイとサウンド]内[ディスプレイ]から行う
[ディスプレイ]で[色深度]を選択する

[*1]……RGB各色を8ビットで表現すると24ビット(1677万色)と呼ばれ、各色10ビットで30ビット(約11億色)、各色12ビットで36ビット(約687億色)を表現できる。8ビットの1677万色は「トゥルーカラー」とも呼ばれ、これでも十分過ぎるように見えるが、白~黒までのグレースケールで見ると、実は256階調のダイナミックレンジしかない。なお、RGB各色10ビット以上は「ディープカラー」と呼ばれる

 4Kテレビ側がどこまで対応しているかで設定は変わるが、最高で12ビットまで上げることができる。「HDR10/HDR10+」なら10ビット、「Dolby Vision」なら10ビットと12ビットの出力になる。試しに12ビットまで上げてみて、表示がおかしければ10ビットに戻せばいいだろう。

[最大12ビット]もしくは[最大10ビット]を選択する
画面に関する設定のため、一定時間経つと自動でキャンセルされる。画面が表示されていればキャンセル前に[確定]を選択する。今回の設定は、以後みな同様だ

 ビット数を増やす設定になるので、扱うデータ量も当然増える。この設定は通信量にも影響し、より多くのデータが必要になるため、あくまでも光回線でWi-Fiの通信状況がいい環境向けだ。

 さらに、[ディスプレイ]の[ダイナミックレンジの設定]を[自動調整]から[常にHDR]にすると、HDRではないコンテンツ(SDRという)もHDRに変換され、常時HDRの表示になる。

 ニュースやバラエティ、ドラマなどを多く見る人は、SDRコンテンツのダイナミックレンジを変換しない[自動調整]の方が見やすいかもしれないので、これは好みの設定で構わない。バラエティの映像がちょっとリアル過ぎると感じるなら[自動調整]に、ドラマで白飛びや暗所の潰れが気になるなら[常にHDR]にするといい。

[ダイナミックレンジの設定]で[自動調整]と[常にHDR]を好みで選択しよう

 このほか、YCbCrのカラースペースに対応したテレビでは、[カラーフォーマット]で[YCbCr]を選択しておこう。これによる画質への影響は少ないので、良く分からなければ[自動]のままでも構わない。

[カラーフォーマット]では、可能であれば[YCbCr]を選択

 もう1つ、映画をよく鑑賞する人向けの設定を紹介しよう。同じく[ディスプレイ]にある[オリジナルのフレームレートに合わせる]の項目は、選択ボタンを押すと[オン]に切り替えられる。

 これは、一般に60p(1秒間に60フレームをプログレッシブ走査で表示する)で再生されるコンテンツを、オリジナルのフレームレートに合わせて再生させる機能だ。

 主に映画やアニメで使われる24pのコンテンツを60pで出力している場合、なめらかに表示されるように、本来は存在しないフレームを自動的に補完している。60pに慣れてしまうと24pではカクつきを感じたりするが、逆にシーンによっては24pにはないヌメヌメした動きに違和感を感じる人もいる。例えば、人物がユックリと静かな動くシーンなどで、そうした違いがよく分かるかもしれない。

[オリジナルのフレームレートに合わせる]の項目を[オン]にすると、24pの映画がそのままのフレームレートで再生される

 ちなみに、映画館やUltra HDのBlu-ray Discパッケージの再生で映像を鑑賞する環境が多い24pの設定も、一度は体験してみて欲しい。この設定も、もちろん好みで決めてもらって構わない。

回線を安定させるには「イーサネットアダプタ」を使おう

 4KコンテンツをHDRで再生するには、コンスタントに30Mbps程度で通信ができれば問題ないはずだ。だが、Wi-Fi接続では常時通信が安定した環境を作りにくい。一番手っ取り早いのは、Wi-Fiで接続するFire TV Stick 4KとWi-Fiルーターを極力近づけることだ。

 それができない場合に、どうしても再生が安定しなければ、オプションの「イーサネットアダプタ」を接続して有線LAN環境で使うことを考えてもいいだろう。

オプションの「イーサネットアダプタ」
microUSBでFire TV Stickにつなぎ、LANケーブルと電源を接続して利用する。ちょっと不格好だ

 テレビのそばで有線LANのケーブルを引き回せることが条件にはなるが、4KコンテンツをHDRで確実に安定して再生できる。有線LANケーブルは、家庭内であればいくら長く引き回してもほとんど速度には影響しない。

Fire TV Stickに接続すると、Wi-Fiから有線LANに自動的に切り替わる。特に設定は要らない。[設定]の[ネットワーク]を表示させたところ
念のため再生ボタンを押して回線状態を確認してみると良好な状態だ

 速度の面では、このイーサネットアダプタ自体がギガビットではなく100BASE-TXで、100Mbpsが速度の上限となる。一時的な速度だけで見れば、IEEE 802.11acの5GHz帯でWi-Fi接続した方が高速な可能性もある。このため、あくまでも通信を安定させることが目的だと考えよう。

有線LANとはいえ上限は100Mbpsなので、回線速度はこの程度。下手をすると11acのWi-Fiより遅いが、通信が常時安定することがメリットだ

今回の教訓(ポイント)

Fire TV Stick 4Kで4Kコンテンツを再生するときはHDR関連もあわせて設定する
Wi-Fiで再生が安定しなければ「イーサネットアダプタ」で有線LAN接続する

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。