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マンションISPのシェア、つなぐネットが8年連続首位。堅調に伸びる市場には業界再編の動きあり~MM総研調査

10GbpsやWi-Fi 7採用で高品質化ニーズに応える動きも

 株式会社MM総研は8月4日、2025年3月末時点の「全戸一括型マンションISPシェア調査」の結果を発表した。同調査で対象となっている全戸一括型マンションISPは、集合住宅の全戸にインターネット接続サービスを一括で導入・提供する事業者を対象とし、入居者が任意で加入するサービスは含まない。

 事業者別のシェアは、「UCOM光 レジデンス」「e-mansion」を提供する、つなぐネットコミュニケーションズが市場シェア17.9%で、8年連続の首位を維持した。2位は「FGBB」を提供するファイバーゲートの9.3%、3位は「CYBERHOME」を提供するファミリーネット・ジャパンの8.9%で、前年度から両社の順位が入れ替わった。

 2位のファイバーゲートは、2025年4月にソニーネットワークコミュニケーションズと集合住宅向け光回線サービスで事業提携を発表した。第1弾の施策として、全戸一括加入型サービスに加え、個別に任意加入型の高速通信サービスにアップグレードできるようにするサービスを発表している。

 2024年4月にテンフィートライトに南海電設が社宅・学生寮向けサービスを承継したほか、2025年1月のフリービットとソフトバンクとの資本業務提携やギガプライズに対するTOBの実施など、業界再編につながる大きな動きが相次いだ。

全戸一括型マンションISPシェア(出典:MM総研)

 事業者別の純増戸数ランキングは、つなぐネットコミュニケーションズは前年同月末比で8.6万戸増え、純増戸数ランキングでも1位を獲得した。2位はファイバーゲートで6.7万戸増、3位は「NURO 光 Connect」を提供するソニーネットワークコミュニケーションズコネクトで5.9万戸増だった。

全戸一括型マンションISPの純増戸数ランキング(出典:MM総研)

 サービス提供戸数は641.7万戸で、前年同月末比で55.2万戸増加し、成長率は9.4%だった。2024年度は堅調な伸びを見せつつも、前年度に続き既築物件での導入がやや鈍化した。

 2025年度以降は既築賃貸物件への導入が横ばいで推移する一方、新築物件の竣工が安定的に進み、全戸一括型インターネットサービスの採用率が継続的に高まっていくとみられる。純増戸数も2024年度は55.2万戸で前年度の61.5万戸から6.3万戸減少したが、今後も新築物件を中心に一定の規模の導入が維持されれば、緩やかに回復する見通しだとしている。

全戸一括型マンションISPによるサービス提供戸数の推移(出典:MM総研)

 全戸一括型マンションISP市場では、通信の高品質化のニーズが高まっているといい、マンションISP各社では新築の大型物件を中心に10Gbpsサービスの提案を強化する動きがある。しかし、賃貸物件が中心で、既築賃貸が約半数を占めている同市場では、価格に対する慎重な姿勢も根強いという。また、ネットワーク機器の高度化も進んでおり、Wi-Fi 7に対応したマンション向けWi-Fiアクセスポイントの採用が一部で始まりつつある、といった動向も紹介されている。