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マンション丸ごとインターネットが500万戸を突破。MM総研「全戸一括型マンションISPシェア調査」

全戸一括型マンションISPによるサービス提供戸数の推移(出典「MM総研」)

 株式会社MM総研は8月2日、「全戸一括型マンションISPシェア調査」の結果を発表した。2023年3月末時点のサービス提供戸数は500万戸で、前年同月末比で57.3万戸増加。2022年度(2022年4月~2023年3月)における成長率は12.9%だった。また、今後3年間の年間成長率は10.8%と予測している

 ここで調査対象となっている全戸一括型マンションISPは、集合住宅の全戸にインターネット接続を一括で提供しているサービス。各戸が任意で契約や選択ができるサービスは含まれない。

 2022年度は、分譲マンションの竣工数の減少や既存の賃貸マンションでの導入が進まなかったため、年間増加数は2021年度の61.0万戸を下回った。しかし、新築・賃貸マンションの竣工数の回復と、オーナーの全戸一括型インターネット採用率の継続的な上昇が成長を下支えした。

 事業者別のシェアは、つなぐネットコミュニケーションズが6年連続で首位の19.3%。「UCOM光 レジデンス」と「e-mansion」のブランド名で展開しており、96.4万戸(前年同月末比9.3万戸増)だ。各戸に最大2.5Gbps/5Gbps/10Gbpsでインターネット接続サービスを提供しているマンションもあるという。また、住戸ごとに優先ルートでインターネットに接続できる「Connectix(コネクティクス)」を利用すると、動画やゲームなどが快適に使える。

 シェア2位はファミリーネット・ジャパンで11.2%、55.8万戸(同2.6万戸増)。「CYBERHOME(サイバーホーム)」のブランド名で展開しており、DXソリューションの「アプリStation」、IoTサービス「rimoco+(リモコプラス)」は物件ごとにカスタマイズが可能で、チャットボットで共用施設の予約などができる。また、2023年度以降は、東急不動産の物件向けのインターネット接続サービスは標準で回線の冗長化がなされているという。

 3位は大和ハウスグループの「D.U-NET」で10.0%、50.0万戸(同4.1万戸増)。最大10Gbpsへの高速化も積極的に進めているという。また、大和ハウスグループ以外の物件からの受注も増えている。

 4位のファイバーゲートは、マンションの住民向けにWi-Fiでインターネット接続を提供する「FGBB」を展開し、45.5万戸(同8.2万戸増)。既存の小規模アパートのほかに、新築物件や投資用分譲マンションでの導入が進み契約数を伸ばしている。

全戸一括型マンションISPのシェア(2023年3月末のサービス提供戸数)(出典「MM総研」)

 2023年度は、分譲・賃貸マンションともに竣工数は回復。これにより、全戸一括型マンションISPの増加数は年間60万戸近くまで伸びると予測している。

 また、家庭内では、テレワーク、オンライン授業、動画配信サービスなどでトラフィックが増えている。各戸に光回線を導入することで最大1Gbpsさらには10Gbpsのインターネット回線の需要が高まっているため、各社が料金を含めて強化をしている。そのほかには、IoT機器、インターフォン、宅配ロッカー、DXが注目されているため、各社はこれらのサービスを提供することにより、収益を拡大していく見通しだ。

 また、市場規模の拡大により、すでに全戸一括型マンションISPを契約していても、ほかのISPに乗り換える競争が激化することも予想している。