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FTTHの純増ペースが鈍化、テレワーク特需が一段落~MM総研調べ

「NURO 光」が順調に契約数を伸ばしてシェア3.7%に

FTTH契約数の純増数推移(出典:MM総研)

 株式会社MM総研は、2022年度通期(2022年4月~2023年3月)のブロードバンド回線の契約件数の調査結果を発表した。FTTHは2023年3月末現在、契約数は累計3800万件で、2022年度中の純増数は109.8万件だった。

 FTTHの年間純増数は、2019年度が133.7万件、2020年度が194.5万件、2021年度が164.7万件だったため、2020年をピークに鈍化。コロナ禍におけるリモートワーク需要が一巡したと考えられる。

 MM総研では、2023年度のFTTH契約者の純増数を102.5万件と予測。2023年度にFTTHを取り巻く環境の変化として「各社が純増数確保を目指し、FTTH間の乗り換えが一層増加」「高速大容量の10Gbpsサービス」「宅内通信環境を最適化するメッシュWi-Fiの普及などによる高品質化」を挙げている。

FTTHの回線事業者別シェア、NTT東西が62.0%を占めるブランド別では「ドコモ光」、ISPはソフトバンクがトップ

 FTTHの回線事業者別シェアは、NTT東西(「フレッツ光」および「コラボ光」)が62.0%(2357.5万契約)を占めており、以下、KDDI(「auひかり」のほか、中部テレコミュニケーションの「コミュファ光」、沖縄セルラー電話の「auひかり ちゅら」を含む)、オプテージ、ソニーネットワークコミュニケーションズ(NURO 光)――などと続いている。

 このうち、順調に契約数を伸ばしたのはソニーネットワークコミュニケーションズだという。2023年に入って宮城県でエリアを拡大し、10Gbpsサービスの訴求に注力。シェアは前年同期比0.4ポイント増の3.7%となった。

 また、NTT東西が回線を提供する2357.5万契約のうち、1680.9万件は「光コラボ」で71.3%を占める。なお、FTTH市場全体における「光コラボ」のシェアは44.2%だ。

FTTH契約数・回線事業者シェア(2023年3月末、出典:MM総研)

 FTTHのサービスブランド別のシェアは、「ドコモ光」がトップ。以下、「フレッツ光」「SoftBank光」「auひかり」「eo光」――などと続いている。

 このうち「ドコモ光」を提供するNTTドコモは、2021年8月に提供を開始した5Gを用いたワイヤレスホームルーター「docomo home 5G」の影響もあり、FTTHの契約数は横ばいの状態だ。

 2位の「フレッツ光」は、「光コラボ」への転用が進み減少傾向。3位の「SoftBank光」は、モバイルとのセット販売により純増傾向だ。

FTTH契約数・サービスブランド別シェア(出典:MM総研)

 FTTHにおけるISPのシェアは、ソフトバンク、NTTレゾナント、NTTドコモ、ソニーネットワークコミュニケーションズ、ビッグローブ――などと続いている。なお、NTTレゾナントの契約者数には、NTTコミュニケーションズから譲り受けたコンシューマー向けの「OCN」が含まれている。

FTTH契約数・ISPシェア(出典:MM総研)

ワイヤレス固定回線が500万契約を超える。1年で12.3%増加

 FTTHのほか、ワイヤレス固定回線(宅内据え置き型のワイヤレスホームルーターなどを利用した高速インターネットサービス。モバイルルーターは含まない)、CATV、ADSLを含めた「固定ブロードバンド」におけるISPのシェアは、ソフトバンクがトップを維持。NTTレゾナント、J:COM、NTTドコモ、ソニーネットワークコミュニケーションズ――などと続いている。

 ソフトバンクは、モバイル契約、FTTHの「SoftBank光」、ワイヤレス固定回線の「SoftBank Air」をセットで訴求することで契約数を伸ばしている。

固定ブロードバンド契約数・ISPシェア(出典:MM総研)

 固定ブロードバンドの契約数は緩やかに増加が続き、2023年度中に5000万件を超える見込みだ。光化が進むCATVと、段階的にサービスが終了しているADSLは減少。その一方でワイヤレス固定回線の市場は、2023年3月末~2026年3月末まで、年間平均成長率2.3%と予測している。

 ワイヤレス固定回線は2023年3月末現在、500万件を超えており、前年同月比12.3%の増加。固定ブロードバンド全体の10.1%を占めている。また、2023年度以降、3年間は平均9.1%で引き続き成長すると予測している。

固定ブロードバンド契約数の推移・予測