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2021年上期の「FTTH」契約数は100万件超えの純増、テレワーク需要が継続

FTTH契約数の半期ごとの純増数。2021年度下期はMM総研による予測

 株式会社MM総研は、2021年度上期(2021年4月~9月)における「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査」の結果を公表した。9月末時点でのFTTH(光回線サービス)契約数は3601.4万件で、2021年3月末から100.1万件増加した。

 昨年から引き続きテレワーク需要が市場を牽引するのに加え、ADSL終了に伴う光回線未利用者の取り込みや、光回線からモバイルへシフトするユーザーの食い止めが進んだことも100万件超の純増維持につながったと同社では分析している。

回線事業者シェアでソニーネットワークコミュニケーションズが100万件を突破

 FTTHの回線事業者のシェア(2021年9月末現在、以下同)は、NTT東日本、NTT西日本、KDDI、オプテージ、ソニーネットワークコミュニケーションズの順。

FTTHの回線事業者シェア

 NTT東西が提供する「フレッツ光」「コラボ光」は合計2303.4万件で、2020年度上期の純増数は47.0万件。FTTH全体におけるシェアは64.9%だ。このうちコラボ光は1590.5万件で、NTT東西のFTTHに占める割合は69.1%。FTTH全体の44.2%を占めている。

 このコラボ光を利用してFTTHサービスを提供している事業者の契約数シェアは、NTTドコモがトップ。次いでソフトバンクが多く、この2社が引き続き70%超を占めている。

 NTT東西に次いで純増数を伸ばしたのはソニーネットワークコミュニケーションズだった。特に最大2Gbpsの「NURO 光」が人気で、「NURO Biz」や「NURO 光 Connect」などの合計が100万件を突破した。

ISPのシェアではソフトバンクが首位NTTコミュニケーションズに迫る

 FTTHのISPのシェアは、NTTコミュニケーションズ(OCN)、ソフトバンク、NTTぷらら、ビッグローブ、ソニーネットワークコミュニケーションズの順。NTTコミュニケーションズが首位を維持しているが、2021年度上期はソフトバンクが件数を伸ばし、NTTコミュニケーションズとの差はほとんどなくなったとしている。

FTTHのISPのシェア

固定ブロードバンドISPのシェアではソフトバンクが首位キープ

 FTTHのほか、ADSL、CATV、ワイヤレス(無線を利用した宅内据え置き型の高速インターネットサービス)を合わせた固定ブロードバンドのISPのシェアは、ソフトバンク、NTTコミュニケーションズ、J:COM、NTTぷらら、ビッグローブ、ソニーネットワークコミュニケーションズの順だ。ソフトバンクは、スマートフォンとセットで訴求する「SoftBank光」が堅調に契約数を伸ばして首位を維持。2位以下のシェアも前年と大きな差はない。

固定ブロードバンドのISPのシェア

固定ブロードバンド契約数は2022年度に5000万件突破、FTTH純増数は2021年度通期で192万件と予想

 固定ブロードバンド市場は今後、2023年以降にサービス終了予定のADSLや、光化が進むCATVが減少。一方で、FTTHとワイヤレスが増加することにより、2021年3月から2024年3月までの年平均成長率は4%で継続的に拡大するとMM総研は予測。2022年度には5000万件を超える見込みとしている。

 FTTH市場については、2021年度通期の純増数は192万件となり、2020年度(194.5万件)と同規模と予測。2022年3月末の契約数は3693万件になるとしている。CATVの光化や集合住宅全戸一括導入が進むことで、年平均成長率4.6%で増加すると見込む。

 ワイヤレス市場も拡大するとしており、2021年上期から5G対応製品の提供が始まるとともに、NTTドコモが8月から発売を開始し、中期的に携帯キャリアを中心とした獲得競争が激化する見込みとしている。

 ワイヤレスは開通工事がいらない手軽さがメリットで、今後5G対応エリアが拡大していくことから、従来のFTTH固定ブロードバンド回線を一部代替するサービスとして普及が進むという。2022年には固定ブロードバンド契約数の1割以上を占める見込みで、年平均成長率は16.5%と予測している。

固定ブロードバンド契約数の推移と予測