自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第52回

REC-ONからPCの「PC TV Plus」へ録画番組データを転送する準備をしよう

 使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行から自宅で過ごす時間が増え、僚誌AV Watchの7月14日付記事『有料の動画配信サービス利用率はAmazonが突出。外出自粛で動画視聴大幅増』にもある通り、ネットで自由に映画や番組を楽しめるVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスが人気を集めている。

 そこで、在宅時間の増加から人気のAmazon「Fire TV Stick」を解説している。パッケージには取説が入っていないので、知らないとちょっとハマる部分もある。前半の解説で、Fire TV Stickを5GHz帯の自宅Wi-Fiに接続できている。これからセットアップする人は、そちらから読みはじめてもらいたい。

今回はREC-ONのバックアップについて。Windows PCと「PC TV Plus」をネットワーク経由で活用してみる

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REC-ONの録画データをネットワーク経由でバックアップ

 Fire TV Stickとアイ・オー・データ機器の「REC-ON」シリーズを組み合わせた使い方を試してしているところだが、今回はREC-ONの録画データのバックアップ方法を考えてみたい。

 REC-ONに限った話ではなく、レコーダーでHDDに録画したデータは、HDDが故障した場合は当然、レコーダーが故障しただけでも再生ができなくなる。

 第49回『「Fire TV Stick」へ無料で録画番組をスマホからをキャストしよう』で少し触れた通り、「SeeQVault(シーキューボルト)」に対応したレコーダーとHDDがあれば、ほかのレコーダーでもHDDに録画した番組を再生できるし、レコーダーにBDドライブが搭載されていれば、そちらにダビングすることでバックアップもできる

 だが、あいにくREC-ONはSeeQVaultに対応していないし、BDドライブも非搭載だ。八方ふさがりのように感じるが、1つだけ手段がある、ネットワーク機能い対応した別のレコーダーや、DLNAとDTCP-IPに対応するNASへ、ネットワーク経由で録画番組のデータを転送する方法だ。

PCへ録画データを転送・再生できる「PC TV Plus」BDディスクやSeeQVault対応HDDへのダビングもOK

 今回は、Fire TV Stickからはちょっと離れてしまうが、Windows PCさえあれば使えて汎用性の高い「PC TV Plus」というのソフトで、ネットワーク経由のダビングを試してみよう。制限の多い録画データの使いこなしに悩んでいる人も多いだろう。[*1]転送先のレコーダーやNASのネットワーク配信機能を使えば、第50回で解説したように、「DIXIM Play Fire TV版」を使ってFire TV Stickで録画データを再生できる。

[*1]……残念ながらDIXIM Play Fire TV版では「PC TV Plus」に保存した番組の再生はできなかった。他環境のDIXIM Playでは再生できているので、アップデートでの対応を期待しよう。また、PC TV Plusで配信機能を使うには「PC TV Plus アドバンスパック」の有料ライセンスが必要だ

 画面を見てもらえれば分かるが、今回は全てインストール後14日間はフル機能が使える体験版でテストを行っている。価格は税別3000円だ。利用したい機能が使えるかチェックして、継続利用する場合にはネットのソニーストア経由でライセンスキーを購入しよう。

ソニー「PC TV Plus」のメイン画面。設定するとREC-ONの録画番組が表示される

 PC TV Plusを使うと、REC-ONからWindows PCに番組を転送して再生ができる。PCにドライブが接続されていればBDメディアに書き出せるし、PCに対応HDDをUSBなどで接続すれば、REC-ONが対応していなくとも録画データを間接的にSeeQVault対応HDDへ転送できる。

 PC TV Plusの設定後には、REC-ONの録画先として、PC TV Plus(のWindows PC用ドライブ)が選択できるようになる。ただし、録画中はPC TV Plusが利用できないという制限がある。ほかに、REC-ON内の番組をネットワーク経由で再生できるようになるが、これは第49回の最後で少し紹介した無料アプリ「テレリモ」と「テレプレ」でも可能だ。

 なお、PC TV Plusでなくても、ネットワーク機能に対応したレコーダーならネットワークダビングは可能なので、今回の内容は参考になるはずだ。

アップロードとダウンロード、どちらの機能があるかチェック

 ネットワークダビングには、アップロードとダウンロードの2つの方法がある。レコーダーやNASなどの機器が必ずしも両方備えているワケではないので、どちらの機能を持っているのかは、あらかじめチェックしておこう。

 ちなみにREC-ON(HVTR-BCTX3)では、アップロードのみの対応となる。混同しやすいが、ネットワーク配信サーバー機能とは全く関係がない点も注意したい。PC TV Plusは両方に対応しているが、REC-ONがアップロードのみの対応なので、最初の設定を終えた後の操作は、PC TV Plusではなく全てREC-ON側で行うようにする。このあたりは少しややこしい。

 ネットワークダビングやBDメディアへの書き出しを行うと、デジタル放送の著作権保護機能でダビング可能回数が1つ減ることも覚えておこう。地上波や無料のBS放送を録画した番組は、通常10回までの「ダビング10」という設定で、正確に言うとコピー9回と移動1回となり、残り回数も確認できる[*2]

 有料放送などは1回の「コピーワンス」で、ダビングではなくムーブ(移動)しかできず、ムーブ後は転送元から削除される。ネットワークでの転送は失敗する可能性もゼロではないので、テストには、重要ではないダビング10の番組を用いて欲しい。

[*2]……地上波放送でも、録画先をPC TV PlusにしてREC-ONでネットワーク録画をするとコピーワンスとなる。CATVでの録画でもコピーワンスとなることがある。転送前に残り回数をチェックしておこう。

転送先の「PC TV Plus」へ「REC-ON」を登録次にREC-ONの録画先ネットワークHDDとしてPC TV Plusを設定

 まず、転送先となるPC TV Plus側で設定を進めよう。

PC TV PlusにREC-ONを登録。初回起動時に登録可能だ。利用できることの解説なども表示される
未登録ならここから登録。「登録済み」と表示されていればOK[*3]

[*3]……「I-O DATA iVDR-SMedia Server」との表示は、第49回で触れたネットワーク機能対応の日立製テレビにUSB接続しているリムーバブルメディア

後から追加する場合には、右上のカバンアイコンからメニューを表示させ、[新しい機器の追加]を選ぶ
左上の「すべての機器」と書かれたメニュー[*4]から登録したREC-ONを選ぶと、REC-ON内の録画番組が一覧表示されるので、再生可能かを確認しよう

[*4]……この画面上の「TV」タブを選ぶと、放送中の番組が視聴できる

 REC-ONを機器として追加できたら、PC TV Plusでサーバー機能を利用する設定を行う。

左上のメニューから[アプリの設定]を選び、[番組と受信の配信]にある[サーバー機能を利用する(アップロード受信機能のみ)][*5]と、[アプリの受信モード]の[モード1]を選ぶ

[*5]……配信機能を利用するには「PC TV Plusアドバンスパック」が必要。また、[モード2]では転送に失敗するので注意しよう

 次に、REC-ON側で録画先のネットワークHDDとしてPC TV Plusを登録する。

リモコンで「ホーム」を押してホーム画面を表示させ、「HDD設定」を選ぶ
「ネットワーク録画設定」を選ぶ
「ネットワークHDD1(未登録)」を選ぶ
録画先として設定するネットワークHDDとして「PC TV Plus」を選ぶ
「ネットワークHDDを録画先として登録する」を選ぶ
ネットワークHDD1にPC TV Plusが登録できた

 これでネットワークで転送する準備は整った。長くなるので、この先の作業は次回に送ろう。

今回の教訓(ポイント)

「PC TV Plus」をインストールしたWindows PCへREC-ONの録画データを転送できる
ネットワーク機能対応のレコーダーであれば汎用的に使える

が便利

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。