自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第80回

PS5を接続するWi-Fi 6ルーターを設定しよう

 連載の使いこなし編では、自宅Wi-Fiの電波状況を良くする方法を解説しているが、やはり自宅で過ごす時間が増え、ゲームはもとより自宅でできるエンタメ系が人気のようだ。前回からしばらくの間は、ソニー「プレイステーション 5(PS5)」を自宅Wi-Fiへつなげて活用していこう。

 PS5が発売されたのは2020年11月になるが、いまだに品薄状態が続いていて抽選販売が主だ。とはいえ以前よりは入手しやすくなってきているようで、ようやく購入権を当てて、わが家にもやってきた。

PS5をネットに接続する前にWi-Fiルーターの設定をしておこう

 前回、PS5に最適な最新規格「Wi-Fi 6」に対応し、価格も手ごろでスマホを接続するにもちょうどいい2402Mbpsまたは1201Mbpsが最大通信速度のWi-Fiルーターをお勧めした。

バッファローのWi-Fi 6対応ルーター「WSR-3200AX4S」

 そこで80MHz幅の4ストリームで最大2402Mbpsの通信が可能なバッファローの「WSR-3200AX4S」を選んだので、今回は、その設定方法をチェックしてみよう。ポイントはWi-Fiルーターにセキュリティ規格である「WPA3-Personal」をシッカリ設定しておくことだ。

背面。スイッチでルーターとアクセスポイントを切り替えることができる
台座の裏面に初回アクセス用ログイン情報、初期SSIDと暗号化キーが記されている

 Wi-Fiルーターには通常、初回セットアップ時にルーターへアクセスするための初期SSIDと暗号化キー、さらに管理画面へのアクセス用ログイン情報が書かれたカードなどが添付されているので、まずはこれを使って設定画面にアクセスする。

 PS5にはウェブブラウザーが用意されていないので、設定にはスマホやPCを使おう。バッファロー製品をルーターモードで使う場合、出荷時に設定されているIPアドレスは「192.168.11.1」だ。ここでは省略するインターネット回線への接続するための設定方法は以下の記事などを参考にして欲しい。

 出荷時の設定では、互換性を考慮してか「WPA3-Personal」がオフになっている。管理画面のID・パスワードもそうだが、そのままでは使わず、必ず自分用に設定し直そう。SSIDや暗号化キーの方法自体は変わらず、WPA2からWPA3になっても設定する項目を「WPA2-PSK」から「WPA3-Personal」に置き換えるだけなので、以下の記事を参考に設定してみて欲しい。

 WSR-3200AX4Sは、WPA2からWPA3への過渡期でもあり、互換性を考慮してか異なる暗号化設定のSSIDを複数設定できるようになっている、例えば、2番目の「SSID 2」でのみWPA3-Personalを設定することもが可能だ。問題がなければ「SSID 2」のみを有効とし、「SSID 1」はオフにしてしまうのがいいだろう。

iPadのウェブブラウザーから設定画面へアクセスした画面。[無線LAN]をタップ
5GHz帯の「SSID 2」のみ[*1]にチェックを入れ、自分で分かりやすいSSIDへ書き換える

[*1]……2.4GHz帯を使いたい場合には2.4GHzの「SSID 2」にもチェックを入れて同様に設定する。SSIDは「G」や「24」など周波数帯が区別できるようにしておくと便利。ただ、この機種でWi-Fi 6が使えるのは5GHzのみ

 PS5や、新しめのスマホやPCであれば、「WPA3-Personal」の暗号化方式に対応しているが、WPA2しか使えないWi-Fi子機の接続を考慮した「WPA2/WPA3-Personal」というモードも備えている。他メーカーのWi-Fiルーターにもみられるものだが、せっかくWPA3対応のWi-Fiルーターにしたのだから、極力これのみを使って、より安全なWi-Fi接続を確保して欲しい。

 ただ、例えばアマゾン Fire TV Stick(第3世代)では「WPA3-Personal」では接続できず、「WPA2/WPA3-Personal」に設定して使う必要があった。いずれアップデートで対応するかもしれないが、STBやレコーダー、IoT機器などでは対応が遅くなったり、最悪対応がされないこともある。どうしても手元にWPA2しか対応できないWi-Fi子機がある場合にのみ選ぶようにしたい。

「暗号化モード」で暗号化方式を選ぶ。なるべく「WPA3-Personal AES」で、安全性は落ちるが互換性を考慮するなら「WPA2/WPA3-Personal AES」を選ぶ。暗号化キーはなるべく複雑な文字列にしておこう
第3世代のAmazon「Fire TV Stick」では、ルーターを「WPA2/WPA3-Personal」に設定した上で「WPA2-PSK」を選ばないと接続できなかった。WPA3には今後の対応を期待しておこう

 注意点として、1番目の「SSID 1」で選択できる「WPA/WPA2 Personal TKIP/AES」は選択してはいけない。このモードで使われる「TKIP」という暗号化方法は、すでに突破する手法が確立してしまっていて危険なためで、「WPA/WPA2-mixed mode」などと表示される製品もある。

 ちなみに、iOS 14以降のWi-Fi子機で、このモードに設定されたWi-Fiルーターに接続すると、「安全性の低いセキュリティ」と表示されてしまう。「暗号化なし」がダメなのは当然としても、「WPA2-PSK」の「AES」を最低ラインとしておくよう心掛けよう。

「SSID 1」で選択可能な「WPA/WPA2 Personal TKIP/AES」は選択してはダメ。そもそも「SSID 1」は使わないようにしよう

 なお、Wi-Fi子機をルーターにつなぐときに、ボタンプッシュを使う「WPS(バッファローではAOSS)」という方法もあるが、「WPA3-Personal」をサポートしていないので、安全なWi-Fi接続にするためにも、必ず手動で設定画面にアクセスして暗号化の設定をすべきだ。なお、使わないWPS(またはAOSS)の機能は、オフに設定しておくといいだろう。

「詳細設定」>「無線設定」>「WPS」で「WPS機能」の「使用する」のチェックを外しておく。こうすると、本体のWPS(AOSS)ボタンが使えなくなり、いたずらを防止できる
最後に、「詳細設定」>「管理」>「システム設定」で「管理パスワード」は必ず変更しておこう[*2]

[*2]……管理画面のパスワードは、初回接続時に強制的に変更を促される場合もある。そうした製品ではすでに変更済みなので何もしなくてOKだ

 次回は、この設定したWi-FiルーターにPS5を接続してみたい。

【今回の教訓(ポイント)】

安全性を高めるなら暗号化方式は「WPA3-Personal」を選ぼう
当面の互換性を考えて「WPA2/WPA3-Personal」にしてもいい

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村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。