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【使いこなし編】第216回
起動できなくなったPCを、Synology「BeeStation」のバックアップから復元する
2024年11月7日 06:00
本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。
前回は、Windows 11でBeeStationに保存したバックアップからの復元を、サードパーティーソフトとなるAcronis「True Image」を使って行った。前回行ったのは起動中のシステムを復元する手法だったが、True ImageではWindowsが起動できなくなってしまったPCも復元できる。今回はこれを実践してみよう。
USBメモリまたは光学ドライブを使って復元を開始
PCの起動用に、USBメモリもしくは光学ドライブが必要になる。ここではUSBメモリを使って行ってみるが、使用中のWindows用には[ツール]セクションの「ブータブルメディアビルダー」から作成する。USBメモリには、WindowsPEと呼ばれる最小限の起動用WindowsシステムとTrue Imageが書き込まれる。必要な容量は2GB以下なので、適当なUSBメモリを用意して、中身は空の状態にしておいてほしい。作業中にUSBメモリを消去する操作はないので注意しよう。
復元するPCはバックアップをとったPCと同一であることが原則だ。True Imageを使って異なるPCでもできないことはないが、結局Windowsは新規にアクティベーションが必要になるので、あまり便利ではない。
故障してPCを買い換えるケースを考えると、異なるPCではすでにインストールされているWindowsを起動し、新規で使い始めた方がいいだろう。その後、True Imageも移行し、バックアップからファイル単位で必要なデータを復元すればいい。
ちなみに、異なるPCで起動させる場合には、[ツール]セクション「Acronis Universal Restore」を選んで進めることになるが、ここでは扱わないこととする。
起動トラブルが起きた時に備えて、作成したブータブルメディアは保管しておく。一度正常に起動ができるか確認しておくといいだろう。
Windowsがまったく起動しない状態になったら、ブータブルメディアをUSBポートに接続した状態にして、PCに電源をオンにした直後に表示されるメーカーロゴ画面で特定のファンクションキーなどを押し、起動ドライブの優先順位を変更する画面を表示させる[※1]。たいてい[F12]か[Del]キーあたりが割り当てられているが、メーカーにより異なるので、取説もしくは画面表示で確認してほしい。
[※1]…… Windowsが正常起動できている環境では、起動スプラッシュ画面を確認することが難しい。その場合にブータブルメディアの起動を確認してみたい場合には、Windowsの設定から[システム]ー[回復]の[PCの起動をカスタマイズする]で[今すぐ再起動]をクリックし、再起動後の画面でUSBドライブを選択するといい
画面が表示されたら起動優先順を変更する。もしくはBIOSを表示させても、設定内に起動ドライブの優先順位を変更することができる。
起動したTrue Imageの画面で復元を行う
作成したブータブルメディアで起動すると、ターミナルウィンドウが表示され、True Imageのツールが自動で起動する。後は手数は多いが、[復元する]からウィザードに従っていくだけだ。ネットワーク上のBeeStationをマウントする際に、「NAS」として自動で認識しないため、ホスト名を指定して接続する操作が必要になる。
この時に日本語キーボードとして認識されていないので、バックスラッシュを入力するときにはし工夫が必要になる[※2]。BeeStationに設定したローカルアカウントで認証する場面は、第214回でバックアップを作成した際の認証とまったく同じ手順になる。
[※2]……109日本語配列キーボードが認識されず101英語配列キーボードになっているので、「\(バックスラッシュ。実際には半角で入力する)」の入力は、[](右ブラケット)]キーを使う。[Enter]キーのすぐ左に配置されているはずだ。入力した「beestasion」は、BeeStasionの設定の[システム]で「ホスト名」に設定している文字列になる
後は復元したWindowsが起動することを確認すれば無事に完了となる。この手法を覚えてしまえば、万一ウイルスやアップデート不具合などでWindowsの起動が妨げられた場合でも、短時間で復旧できる。「C:」システムディスクの換装でも利用することができる。
この復元では、対象のストレージは完全に上書きされてしまうため、重要なデータが保存されていないことを確認してから実行してほしい。Windowsが起動しない状態で、ドキュメントなどをサルベージしたい場合には、今回使っているTrue Imageのツールでフォルダやファイル単位でのバックアップが可能だ。
いずれにしても、トラブルが発生する前にブータブルメディア作成とBeeStationへのバックアップを保存をしておくことが肝要となる。
今回の教訓(ポイント)
Windowsではトラブルに備え、True Imageで起動用ブータブルメディアを作っておこう
ブータブルメディアからBeeStationのバックアップで復元できる