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【使いこなし編】第214回
Windows PCのシステムやデータをSynology「BeeStation」にバックアップする
2024年10月17日 06:00
本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。
前回は、macOSのシステムを含めてバックアップできるツール「Time Machine」を使って、BeeStationにバックアップを作成してみた。今回はWindowsのバックアップをしてみよう。
Time Machineと同じようなツールがWindows 11にも標準搭載されていればいいのだが、残念ながら似た役割を果たす「Windows バックアップ」はOneDriveの利用が前提になっている。
ほかの外部ドライブに保存可能な「バックアップと復元(Windows 7)」もあるのだが、「Windows 7」とあるように、かなり前に開発が止まっていて、アクティブに開発されておらず今後削除される可能性がある機能として、「Windowsクライアントの非推奨の機能」の一覧に挙げられている。
この一覧の説明では「ディスク全体のバックアップ ソリューションについては、別のソフトウェア発行元のサードパーティ製品を探してください」と書かれており、別の方法として、OneDriveを利用した方法が示されている。ほかに「ファイル履歴」というバックアップツールもあるが、すべてのデータをバックアップできるわけではなく、デスクトップとライブラリ、アドレス帳、お気に入りといった特定のフォルダーのみが対象になる。
つまり、OneDrive以外へシステム全体をバックアップしたい場合には、サードパーティ提供のツールを探す必要がある。
「Acronis True Image」を使う
今回選択したのは、Acronisの「Acronis True Image」という、バックアップとマルウェア対策が統合されたソフトだ[※]。
[※]……筆者は2000年代に発売された「Acronis True Image Home 8.0」あたりから使っているが、安定して環境のフルバックアップができるため長年重宝してきた。Acronisの本社はスイスにある。一時期「Acronis Cyber Protect Home Office」と改称されていたが、2024年からまたAcronis True Imageに改称された
今回は、30日間使える試用版を使って実践している。使ってみて、気に入ったらサブスクリプションを契約するといいだろう。サブスクリプションには、使える機能やクラウドストレージの容量によって「Essentials」「Advanced」「Premium」の3段階のプランがあるが、BeeStationにバックアップするので、クラウドストレージの容量は不要で、最も安い「Essentials」(年間5580円/1台)で十分だ。
なお、Amazon.co.jpでパッケージ版永続ライセンスを購入することもできる(サブスクリプションでは適宜機能が更新されていくが、永続版は現在の最新版の機能を月額不要で使える)。好みで選択してほしい。
バックアップ先にクラウドでなくBeeStationを選択する
バックアップツールは、どの製品を選んでもおおよそ似たような操作になる。バックアップ元のシステムやフォルダーなどと、バックアップ先のドライブおよびフォルダーを選択して、実行するだけだ。あとは必要に応じてバックアップを自動実行する頻度を設定しておく。
True Imageを含め、最近のバックアップツールの傾向として、バックアップ先として極力自社が提供するクラウドバックアップサービスを使わせようと、誘導する画面が頻繁に表示される作りになっている。BeeStationで使う場合、これはキャンセルして、LAN内のNASのフォルダを選択するようにすればいい。
また、Windowsではネットワーク上のフォルダ指定時のパス表記に「¥」(円マーク。実際は半角記号)が使われることが多いのだが、海外製ソフトでは表示が「\」(バックスラッシュ。実際は半角記号)になるケースがある。ここでは日本語キーボードで「¥」を入力すれば表示は「\」になる。True Imageではブラウズして指定可能なことと、バスは「/」(スラッシュ。こちらも実際は半角記号)表示になっているので、この問題は起きない。
こういったポイントさえおさえておけば、BeeStationをWindows PCのバックアップ先に使うのも問題ない。BeeStationの「home」フォルダー内にバックアップ先フォルダを作っておけば、より分かりやすいだろう。
作成したバックアップの[オプション]では、頻度のほかにもかなり細かな指定ができるのだが、基本的に初期値のままで問題ない。使っていくうちに変えたい設定が出てきたら、そのときに変更するようにすればいいだろう。
バックアップの仕組みの細かな解説は省くが、初期値では「増分」バックアップになっている。これが最も容量の消費が少なく、高速にバックアップできるので、なるべく細かな頻度で増分バックアップする設定をおすすめする。
このバックアップがあれば、突然PCのストレージが故障しても、ディスクの交換後にBeeStationからバックアップした状態に復元できる。ただし、別のPCを購入した(PCを買い替えた)ケースでは、Windowsライセンスの関係で、旧システムをそのまま書き戻して使うことはできないので注意しよう。この場合には、新システムをセットアップして起動させた上で、必要なファイルを復元して使うことになる。
【今回の教訓(ポイント)】
Windowsでは市販バックアップツールでBeeStationにバックアップできる
Windows 11標準の「Windows バックアップ」はBeeStationに非対応