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【使いこなし編】第211回

Googleフォトからパーソナルクラウドに移行! Synology「BeeStation」に写真や動画を取り込む

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 前回は、デジタルカメラで撮影した写真や動画をBeeStationに転送する方法として、BeeStation背面のUSBポートにカードリーダーを直接接続して転送させてみた。今回は、Googleの写真・動画管理サービス「Googleフォト」から写真や動画をダウンロードして、BeeStationに取り込んでみよう。

 Googleフォトはクラウドサービスで、無料だと15GBが使える容量の上限となるが、4TBのBeePhotosなら文字通り桁が違う容量が使える。ほかに「iCloud写真」からも、BeeStationへのデータ移行が可能だ。

 なお、今回はPCでの手順を紹介するが、スマートフォンでも、ダウンロードする容量分のストレージとの空きと、ファイル操作アプリおよびZIP解凍アプリが用意できれば、作業は可能だ。

 ただし、数GB以上におよぶデータのダウンロードは、モバイル回線でなく必ずWi-Fiで行おう。また、容量があまりにも大きいとダウンロードに数時間、または数日単位でかかる可能性もある。そのような場合、スマートフォンでの作業は現実的ではないだろう。

今回はクラウドフォトサービスの写真や動画を、PCをを介してBeeStationに転送してみる

Googleフォトからすべてのデータをダウンロードする

 今回は、Googleフォトから、アカウントに保存されている全ての写真と動画をダウンロードする方法を見てみる。もしも、気に入った一部の写真だけをダウンロードしたい場合は、ダウンロードしたい写真を集めたアルバムを作成し、アルバム全体をダウンロードするようにするといい。どちらの場合でも、ZIP形式の圧縮としてダウンロードされる。

 Googleアカウントにログインした状態で「Google データ エクスポート」にアクセスして、[Googleフォト]のデータのダウンロードを申請する。ダウンロードの準備が済むとアカウントのメールアドレス宛てにダウンロードできるリンクの通知が送られてくるので、これを待とう。なお、このリンクには有効期限があるので注意が必要だ。

「https://takeout.google.com/|Google データ エクスポート」に直接アクセスしても構わないが、アカウント管理画面からもアクセスできる。ログインした状態で[Googleアカウントを管理]を選択する
[データとプライバシー]メニューで[データのダウンロード、削除]を選ぶ
[選択をすべて解除]で、いったん全選択された状態を解除する
[Googleフォト]にのみチェックを入れる。この状態でGoogleフォトの全データが保存されるが、「すべてのフォトアルバムが含まれます」からアルバムを選ぶことも可能。下にスクロールして[次のステップ]で進める
[ダウンロード リンクをメールで送信]と[1回エクスポート]が選ばれていることを確認し、画面を下にスクロールしていく
ファイル形式は[.zip]のまま、分割サイズは[1~50GB]の間で任意に選ぶ(サイズが大きい方がダウンロードするファイルの数は少なくて済むが、サイズが小さい方が、通信トラブルがあったときのダメージは小さくおさえやすい。特に理由がなければ2GB程度でいいだろう)。そして[エクスポートを作成]をクリックする
ダウンロードリンクがアカウントのメールアドレス宛てに届くので、クリックしてダウンロードする。サイズによるが、大きいと数日かかることもあるのでユックリ待とう

 Googleフォトからダウンロードしたデータは、写真や動画のファイルと、同名のJSONファイル(拡張子「.json」が付いたファイル。撮影日時など、ファイルの属性データをまとめた内容)が含まれている。BeePhotosへのアップロード時にはJSONファイルは不要なので、写真や動画のファイルだけを選択してアップロードする。撮影日時などは、写真ファイル内に保存されているEXIF情報を参照して日時順で登録されるので、問題ない。

BeeStationにデータをアップロードする

 ダウンロードが完了したら、今度はBeeStationへのアップロードだ。今回は、PCのウェブブラウザー版「BeePhotos」からアップロードする。

 実は、「BeeStation for Desktop」には「写真転送」という機能がベータ機能として搭載されているのだが、まだ動作が不安定な状態のようで、筆者の環境ではアップロードが完了しないことがあった。この機能がうまく動作すれば、クラウドからダウンロードした圧縮ファイルをそのまま指定してアップロードできる。うまく動けば非常にカンタンになるので、一度試してみてもいいだろう。

BeeStation for Desktopには「写真転送」という機能がベータ機能として搭載されている
ダウンロードしたZIPファイルをそのままアップロードできる機能だ。筆者の環境では安定動作しなかったが、安定化が待たれる

 BeePhotosでのアップロードは、前回同様に[写真のアップロード]から[マイコンピュータからアップロード]を選択して行えばいい。アップロード時には、解凍すると同一フォルダ内にある不要なJSONファイルは選択されないので、対応する写真や動画フォーマットのファイルを全選択する。

ZIPファイルを解凍すると、「Takeout」フォルダにこのように配置される。ここではアルバムを1つ書き出している
ウェブブラウザー版BeePhotosで[写真のアップロード]から[マイコンピュータからアップロード]を選択する
ファイルを連続選択する。JSONファイルは非対応なので選択されない。JPEGやHEICの写真が選択できる
BeePhotosに登録される。バックグラウンドアクティビティ通知から、登録した写真をアルバムに登録することも可能
登録された写真を表示させると、EXIF情報が引き継がれていることが分かる。日時は編集可能

 今回Googleフォトを例にしたが、どのサービスでもバックアップ用にダウンロードする機能があるので、似たような手法でダウンロード→アップロードすれば、データを移行できる。クラウドからBeeStationに移した写真や動画は、クラウドからは削除して容量を節約したり、有料サービスであれば解約してしまうこともできるだろう。

今回の教訓(ポイント)

@@em|各種クラウドサービスからBeeStationに写真や動画を移すことができる@@
クラウドサービスの契約を節約してうまく使おう

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。