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【使いこなし編】第207回

「BeeStation」をLAN内で使うネットワークドライブとして割り当てる(Mac編)

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 前回は、自宅LAN内に限られる使い方となるが、BeeStationで[SMB Service]をオンに設定することにより、Windowsからネットワークドライブ(普通のNAS)として利用する方法を実践してみた。今回は、続けてMacで同じ使い方をしてみよう。

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」を活用中。LAN内で使えるネットワークドライブをMacから使ってみる

MacからBeeStationのIPアドレスにアクセスする

 BeeStationで、前回に行った[SMB Service]をオンに設定しておこう。今回は、この設定が済んでいる前提で始める。BeeStationの設定画面を表示させて[詳細設定]を選び、[ローカルアクセス]タブで[ローカルアカウント]と[SMB Service]の双方がオンになっていることを確認しておく。

BeeStationの設定画面で[詳細設定]の[ローカルアクセス]タブで[ローカルアカウント]をチェック
下にスクロールして[SMB Service]もオンになっていることを確認する。ここにアクセス用のURLが表示されている

 macOSからネットワークサーバーにアクセスするには、Finderメニューの[移動]から[サーバーへ接続]を選択する。表示される画面で「smb://(BeeStationのIPアドレス)」のURLを入力してから、[home]を選んでマウントする。入力するURLは「192.168.x.x」などのIPアドレスを数値で入力するようにしよう。サーバー名でもアクセスは可能なのだが、失敗することもある。数値なら確実に接続できる。IPアドレスはBeeStationの設定画面で確認できる。

 マウントしたドライブの「home」で、「Files」フォルダを表示すると、BeeFilesで使用中のファイルが保存されていることが分かる。

Finderメニューの[移動]から[サーバーへ接続]を選択
「smb://(BeeStationのIPアドレス)」のURLを入力して[接続]をクリックする。さらに確認画面が表示される(画面省略)ので[接続]をクリック
[登録ユーザー]を選び、[名前]と[パスワード]にBeeStationの設定で[ローカルアカウント]として設定したアカウント情報を入力し[接続]をクリック
[home]を選択して[OK]をクリック
「home」がディスクとしてマウントされる。「Files」フォルダ内にBeeFilesで使用中のファイルが保存されているのがわかる

 自宅のLANでは、この「Files」フォルダで作業していれば、「BeeStation for Desktop」とも併用して利用できるし、macOSとWindowsのそれぞれのPCからアクセスしても問題ない。

インターネットからアクセスできないフォルダを作る

 ここで、もうひと工夫して活用してみよう。今アクセスしている「Files」フォルダは、BeeFilesで使っているので、Synologyアカウントでインターネット上からもアクセスできる。万一Synologyアカウントが他人の手に渡ったり、ハッキングされたりしてしまうと[※]、インターネット側からのアクセスを許してしまう。「Files」フォルダ以外を使えば、自宅LANからしかアクセスできない場所にファイルを置くことになり、万が一のインターネットからの不正アクセスを対策できる。実質的に自宅LAN内からしか使わないファイルなら、そのようにしても問題はない。

 「Files」フォルダではない「home」の直下(ルート)にフォルダを新規作成して、ここを作業フォルダにしてみよう。名前は何でも構わない。ここでは「Private_Files」を作成してみた。なお、すでにある「Cloud services」「Computers」「Photos」「USB backup」のフォルダは、BeeStationの機能で使うフォルダなので、直接は触れないようにしておこう。

[※]……今回の実践ではSynologyアカウントをGoogleアカウントと連携しているので、Googleアカウントがハッキングされてしまうと、BeeStation内のデータが非常に危険な状態になる。Googleアカウントは、パスキーを使うなどして厳重に守っておいてほしい

「home」直下にオリジナルのフォルダを新規作成して使用する
作成したフォルダはBeeStation for DesktopやBeeFilesから表示されない
このフォルダは自宅Wi-Fiに接続していないときには、接続できないので注意する

 当然だが、このフォルダは自宅LANに接続していないと使用できないので注意しておく。逆に考えれば、インターネット側からアクセスされる心配がないので、かなり安全な状態で保存しておけるということになる。自宅内のPCからのみ使う、外部に漏れると問題があるファイルを保存しておく目的で使うと良いだろう。

 ただし、全てのNASに共通して言えることだが、相手が自宅Wi-Fiに接続し、かつアカウント情報が分かると利用できてしまう。ファイルを共有する必要がない知人などに自宅のWi-Fiへの接続を許可する場合には、いたずら防止のためにも、ゲスト用のSSIDを使ってネットワークを分けたり、一時的にBeeStationの電源をオフにしておくなど対策が必要になる点は注意しておこう。

 なお、単に自宅のWi-Fiに接続しただけではBeeStationにアクセスできない。アクセスには、同じLANに接続した状態で、BeeStationのIPアドレス(これはLAN内をサーチすると判別できる)と、BeeStationに設定したローカルアカウントの情報が必要になる。

今回の教訓(ポイント)

BeeStationは自宅LAN内でネットワークドライブとして、Macでも使用できる
インターネット側からアクセスできないフォルダを作りLAN内だけで使うと安全

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。