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【使いこなし編】第201回

Synology「BeeStation」と、PCのストレージを同期させる

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなむ。

 写真と動画を管理するアプリ「BeePhotos」やファイル管理アプリ「BeeFiles」をスマホやPCから使う方法を実践してきたが、今回はPC専用のアプリで、ストレージの内容をBeeStationと同期させる活用方法を見てみよう。BeeFilesは手動でアップロードしてBeeStationにファイルを送るが、今回の同期の場合、選択のフォルダの内容を自動で全てアップロードし、ファイルが更新されれば、その都度更新もされる。

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」を活用中。BeeStationとPCをアプリで同期する

ウェブブラウザー版BeeFilesからインストールする

 同期用のアプリは「BeeStation for Desktop」といい、WindowsとmacOSに対応している。アプリのダウンロードは、ウェブブラウザー版のBeeFilesで[カテゴリ]から[コンピューター]を表示させると、ダウンロードリンクが表示される。直接リンクするならこちらのページだ。

 インストールしたら、Synologyアカウントでアプリにサインインし、その後、BeeStation for Desktop用のフォルダを指定する。BeeStation for Desktopは、PC内に「BeeStation」フォルダを作成し、その中にBeeStationにあるファイル(本稿ではこれを「BeeFilesファイル」と呼ぶことにする)が格納される。BeeFilesファイルは、最初はファイルやフォルダの名前があるだけだが、ファイルを開くときに実体がダウンロードされるようになっている。

 初期値はWindowsでは「C:Users(ユーザー名)BeeStation」、macOSでは「/Users/(ユーザー名)/Library/CloudStorage/BeeStation-BeeStation」となっている。特にこだわりがなければ、そのままでいいだろう。

ブラウザー版BeeFilesで[コンピューター]を表示させると、ダウンロードリンクがある
「BeeStation for Desktop」をインストールしたら起動してサインインする
Synologyアカウントでサインインする。ここではGoogleアカウントを使っている
BeeFilesファイルを扱うフォルダを指定する。初期値のままでOK

 BeeStation for Desktopを起動すると、Windowsではシステムトレイに、macOSではメニューバーに常駐するようになる。ここから表示させ、フォルダのアイコンをクリックしてみよう。「BeeStation」フォルダが開く。

Windowsではシステムトレイに表示されるので、開いてフォルダのアイコンをクリック
「BeeStation」フォルダが開く
macOSではメニューバーから開いて、フォルダのアイコンをクリック
「BeeStation」フォルダが開く

ファイルの小さな雲マークに注目

 「BeeStation」フォルダは、クラウドストレージのOneDriveなどと近い感覚で利用できる。フォルダ内にファイルを保存したりコピーしたりすることで、BeeStationと同期される。

 フォルダ内のファイルには、小さな雲のマークが付いていることに気づくだろう。OneDriveなどでも見たことがあるかもしれないが、これは「実体がクラウドにある」(PCの中にない)ことを表すもので、ファイルを開くとダウンロードが始まる。実体をダウンロードすると、Windowsではチェックマークが入り、macOSではマークが消えた状態となる。

 ファイルを一度開いてダウンロードしておけば[※]、後はネットが切れたオフライン状態でも、このファイルを使うことができ、編集もできる。編集後にオンラインになれば、自動で更新される。

[※]……フォルダやファイルをWindowsは右クリックして、[その他のオプションを確認]ー[BeeStation](macOSは右クリックのみ)ー[常にこのコンピューターをオンにしておいてください]を選択すると、開かなくてもダウンロードされる。この操作でローカルに保存した場合には、以下で説明する「容量を解放する」操作をしない限りローカルから削除されない。対して、ファイルを開いてダウンロードされた場合は、PCのストレージの容量の都合で削除されることがある

 ローカルにダウンロードしたファイルが不要になった場合には、「容量を解放する」という操作をするとダウンロード前の状態(雲のマークが表示された状態)に戻すことが可能だ。ストレージの空き容量が厳しくなってきたら、この操作を実行するとよい。Windowsでは、右クリックして、[その他のオプションを確認]ー[BeeStation]ー[容量を解放する]を選択する。macOSの場合は、右クリックして[容量を解放する]だ。

 なお、PC側でファイルを削除すると、BeeStation上のファイルも削除されてしまう。必要なファイルの場合は、別のフォルダにバックアップするなどしておいてほしい。

Windowsでファイルを開くとチェックマークに変わる。これでローカルにファイルが保存されている
macOSでは、クラウドアイコンが消えるとローカルにファイルが保存されている
ローカルから消したい場合には「容量を解放する」を実行する

 この同期機能は、作業中のファイルをまとめて、常に最新の状態をバックアップしておきたいときに便利な使い方となる。一方で、BeeStationとPCの両方に同じファイルが存在する使い方なので、不要なファイルをバックアップ先に追い出してPCのストレージを節約するような用途とは異なるので、注意してほしい。

 ただし、「容量を開放する」を適宜使うことで、4TBの容量を持つBeeStationに保存したファイルを、もっとストレージ容量が小さいPCでも自在に使えるのがメリットでもある。BeeFilesとは違い、アップドード/ダウンロードの操作が要らないので、手軽だ。

今回の教訓(ポイント)

BeeStationにはPC用の同期アプリ「BeeStation for Desktop」がある
必要なファイルだけダウンロードして利用でき、編集後は自動で同期してくれる

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。