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【使いこなし編】第206回

Synologyの「BeeStation」をLAN内でネットワークドライブとして使う(Windowsの設定)

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

LAN内でネットワークドライブとしてアクセスできるよう設定してみる

 ここ数回はPC専用アプリ「BeeStation for Desktop」で、PCのフォルダやファイルをBeeStationと同期させる方法を実践してきたが、前回からは、BeeStationの最大の特徴である「インターネット経由で外部からアクセス」の機能をあえて使わず、LAN内のみでファイルアクセスに活用する、普通のNASのような使い方を実践している。

 前回はまずウェブブラウザーの「BeeFiles」でBeeStationにアクセスしてみた。これでも緊急時などに問題なくファイルの操作は可能になるが、今回はさらにNASらしく、Windowsの「エクスプローラー」などから、ファイルに直接アクセスできるようにしてみよう。

 ちなみに、前回から実践しているローカルアクセスの設定や、今回実践するネットワークドライブの割り当てを行っても、それ以前に実施していた「BeeStation for Desktop」などを使ったSynologyアカウントでのインターネット外部からのアクセスは併用できる。

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」を活用中。LAN内で使えるネットワークドライブを使ってみる

「SMB Service」をオンにする

 設定は前回と同じように、Synologyのセットアップポータルから行う。ログインして[…]のメニューから[システムの設定]を選択して設定画面を表示させ、[詳細設定]を選んで[ローカルアクセス]タブを表示させる。ここで、[ローカルアカウント]をオンになっていることを確認(前回オンに変更している)したら、下にスクロールしていき[SMB Service]をオンにする。

セットアップポータルで、[…]のメニューから[システムの設定]を選択する
[詳細設定]を選び、[ローカルアクセス]タブを表示。[ローカルアカウント]をオンになっていることを確認。オンになっていない場合、前回手順を参考に先にオンにしておく
下にスクロールして[SMB Service]をオンにする
BeePhotosはアプリを使うように警告が出る。[了解]にチェックを入れ[続行]で進める
オンにすると、このような表示に切り替わる。この情報を使ってアクセスする

 [SMB Service]をオンにすると、BeeStationに設定されているIPアドレスでの接続情報が表示される。SMB(Server Message Block)というのは、Windowsで使われているLANで使われる通信プロトコルの名称。これを使うことで、自宅LAN内でBeeStationをネットワークドライブとして共有できるようになる。

 具体的にどういうことかというと、Windowsであればエクスプローラーの「ネットワーク」からファイルにアクセスできるようになる。これは、LAN内でほかのNASなどの共有ドライブにアクセスするケースでも、まったく同じ手順なので覚えておくといい。

BeeStationにローカルアカウントでアクセスする

 Windowsのエクスプローラーで[ネットワーク]を選択してみよう。初回アクセス時、ファイル共有の有効化がされていなければ、警告をクリックして有効にすると、[BeeStation]が表示されるはずだ。

 この設定時に、「すべてのパブリックネットワークにネットワークの探索とファイル共有を有効にしますか?」という画面が表示されたら、[いいえ、接続しているネットワークをプライベートネットワークにします]を選ぶ。

 現在のWindows 11では、ネットワークプロファイルの初期値が[パブリックネットワーク]になっている。これをこのまま[はい、すべてのパブリックネットワークにネットワークの探索とファイル共有を有効にします」を選んでネットワーク探索をできるようにしてしまうのは、セキュリティ上問題がある。必ず「プライベートネットワーク」に切り替えて使うようにしよう。プライベートネットワークでは、最初からネットワーク探索がオンになっているので、そちらに切り替えると、LAN内でファイルサーバーに接続できるようになる。

エクスプローラーの[ネットワーク]を選択する。初回アクセス時、ファイル共有の有効化がされていなければ、警告をクリックして有効にする
[すべてのパブリックネットワークに〜]の画面が表示されたら、[いいえ〜]を選ぶ
ネットワークに[BeeStation]が表示されるので、ダブルクリックする
[ネットワーク資格情報の入力]という画面が表示されるので、前回BeeStationに設定したローカルアカウントの情報を記入し、[資格情報を記憶する]にチェックを入れて[OK]でアクセスする。この画面は初回のみだ
フォルダが表示される[home]を右クリックして、[ネットワークドライブの割り当て]を選ぶ
設定値は自動で入力されるので、初期値のまま[サインイン時に再接続する]にチェックが入っていることを確認し[完了]をクリック
[PC]内にドライブとしてマウントされる。[home]→[Files]とフォルダーを選択していくと、これまでBeeFilesで使っていたファイルにアクセスできる(このフォルダーを、以降[home¥Files]フォルダーと呼ぶ)

 外出先でネットワーク接続を使う場合に備えて、LAN内で探索をするために切り替えた「プライベートネットワーク」を「パブリックネットワーク」に戻しておこう。ネットワークドライブとして接続していれば、LAN探索がオフでも使い続けられる。

Windowsの設定を表示し、[ネットワークとインターネット]を開く。接続の[プロパティ]が「プライベートネットワーク」になっていることを確認してクリック
「パブリックネットワーク」に戻しておく。これで外出先でも安心できる
「パブリックネットワーク」でも、ネットワークドライブにはアクセスできることを確認しておく

レスポンスのよさがメリット、使うフォルダには注意しよう

 今回のドライブをマウントする手法はとても使いやすいのだが、家庭内のLAN内にいるときのみで使える方法であることは忘れないようにしておこう。外出先ではこのドライブは切断され使えなくなる。ただ[home¥Files]フォルダー内は、外部からもBeeFilesを使ってアクセスできるので、このフォルダ内でのみ使っていれば、実質的に外出時もアクセスできることになる。

 つまり、家庭内LANでは今回割り当てたネットワークドライブで[home¥Files]フォルダーを使用すると、Synologyのサーバーを経由する通常のアクセスよりもレスポンス良く使うことができるという、副次的なメリットがある。外出時は、BeeStation for Desktopを使うようにすれば、同じフォルダーにアクセス可能だ。

 また、ネットワークドライブとして使っているということは、同期する場合と違って、ローカルのストレージにはファイルがない(内蔵のストレージは消費しない一方で、ネットワークドライブにアクセスできないとファイルを取り出せない)状態だということを、頭に入れておくようにしたい。

 SMBはWindowsの技術だが、macOSやLinuxでも標準で利用できる。次回は、Macでの利用を含め、もう少し実践的な使い方を見ていこう。

今回の教訓(ポイント)

BeeStationは自宅LAN内でネットワークドライブとして共有できる
Windowsのネットワークドライブの使い方を覚えておこう

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。