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【使いこなし編】第203回

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」に、PCの好きなフォルダを同期させる

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなむ。

 写真と動画を管理するアプリ「BeePhotos」やファイル管理アプリ「BeeFiles」に続いて、第201回からはPC専用アプリ「BeeStation for Desktop」を使ってストレージをBeeStationと同期させてきた。今回もこのアプリを使って、前回までと違い、PC内の任意のフォルダをBeeStationと同期させる。

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」を活用中。BeeStationとPCの特定フォルダを同期させる使い方

任意のフォルダのバックアップ用途や、複数デバイス間のファイル交換に便利

 任意のフォルダを同期させる機能は、PCに保存したファイルをBeeStationにバックアップしたい場合や、スマートフォンなどほかのデバイスとファイルを交換したい場合に便利だ。また、BeeFilesのほかBeePhotosでも使えるので、PC内の同期を設定したフォルダに写真や動画を保存して、BeeStationに自動でバックアップされたものをBeePhotosで見る、といった使い方もできる。以下の手順ではmacOS環境で操作しているが、Windowsでも基本的に同じ操作だ。

 まずは、BeeStationと同期させるためのフォルダをローカルに作成しておく。もちろん、すでに使っているフォルダでも構わない。写真や動画を保存しているフォルダでもいい。

 WindowsでOneDriveを同期させて使っている場合には、「ドキュメント」フォルダ内がOneDriveと同期しているケースがあるので、注意しよう(OneDriveとBeeStationの両方と同期しようとすることで、不具合が起こる可能性がある)。あくまでもローカルドライブのフォルダにしておく。ネットワークドライブやリムーバブルドライブも指定できないので注意しよう。

 BeeStation for Desktopを起動した状態で、設定アイコンの[設定]を開き、[マイコンピューター]のタブを表示させる。ここで[フォルダを選択する]をクリックして、同期させたいフォルダを選択する。

 選択時に[BeeFiles]と[BeePhotos]の選択画面があるが、これは写真や動画を保存しているフォルダを選ぶケースに[BeePhotos]を選び、ほか雑多なファイルを保存する場合には[BeeFiles]を選ぶようにする。[BeePhotos]を選ぶと、BeePhotosアプリで使えるようになる。つまり、タイムラインやアルバムを使った写真整理ができるということだ。こちらも今後の回で実践してみる。

「書類(Documents)」内に新規フォルダ「BeeStation_backup」を作成してみた
BeeStation for Desktopで設定アイコンの[設定]を選択
[マイコンピューター]のタブを表示させる。[フォルダを選択する]をクリック
[BeeFiles]と[BeePhotos]の選択画面が表示される。ここでは[BeeFiles]を選んだ

 「BeeFiles」を選んだ場合、フォルダを双方向で同期させるか、PCからBeeStationへの一方向のみにする(バックアップ)かを選択する画面になる。好みの動作を選ぶとよい。単純にバックアップ目的なら一方向でも構わない。双方向で同期する設定にすると、PC側での変更だけでなくBeeStation側で変更があった場合にも同期される。

同期方法を選択する画面が表示される。ここでは双方向で[同期]する設定にしてみた
作成したフォルダを指定する。Macの書類は「/Users/(ユーザー名)/Documents」、Windowsのマイドキュメントは「C:¥Users¥(ユーザー名)¥Documents」になる
フォルダが同期される。[≡]のメニューから一時停止や終了ができる

 設定が終わると、「マイコンピューター」にフォルダの同期状況が表示されるようになる。フォルダにファイルを保存してみよう。前回まで使ったファイルオンデマンドではなく、普通のファイルとして扱われる。PC側でフォルダにファイルを入れれば、BeeStationに自動で転送され同期される。

 このフォルダには、スマホや別PCのBeeFilesからアクセスすることもできる。ここを確認することでBeeStationに保存されていることがわかる。もちろんこの画面でファイルを操作することも可能だ。

設定したフォルダにはBeeStationアイコンが付いて判別できる。ここにBeeStationと同期したいファイルを保存する
Windowsではこのようなフォルダ表示になる
設定したフォルダにファイルを保存してみる
ブラウザー版BeeFilesでは、[コンピューター]という項目に表示される

同期したファイルをスマホから開いてみる

 スマホのBeeFilesアプリからアクセスしてみよう。これまでは[ファイル]から「マイファイル」タブを使っていたが、[コンピュータ]タブを表示させるのがコツだ。PCで同期しているファイルをスマホから見ることができ、[+]からファイルをアップロードすることもできる。

スマホのBeeFilesアプリでは、下部の[ファイル]から[コンピュータ]タブを表示させ、登録したPCをタップする
フォルダをタップする
保存されたファイルが確認できる。PCと同じファイルだ。[+]からファイルをアップロードしてみる
[ファイル(写真)をアップロード]を選ぶ
アップロード時には同期設定したフォルダを指定する
スマホ側でアップロードされた

 双方向で「同期」に設定していれば、スマホ側からもアップロードすればPCにも同期される。これでパソコンとスマホで同じファイルを扱うことができるようになったことになる。

自動的にPCのフォルダにも同期された

 ここまでの画面をよく見ると、2台のPC(MacとWindows)が登録されていることがわかるはずだ。同期の設定は3台まで可能だ。ただし、それぞれで別のBeeStation内のフォルダと同期する必要がある。同じフォルダで複数のPCを使ってやりとりしたい場合には、1台はこのBeeStation for Desktopを使い、ほかはウェブブラウザー版BeeFilesを使うようにするといいだろう。

今回の教訓(ポイント)

PCの任意のフォルダをBeeStationと双方向で同期できる
同期したフォルダはスマホやウェブブラウザー版のBeeFilesからも操作できる

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。