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【使いこなし編】第197回

Synology「BeeStation」を家族用NASにする~共有の方法と注意点

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を第185回から実践している。これまでの買いでは主に写真管理アプリ「BeePhotos」を使い、前回は、PCのウェブブラウザーからの写真のアップロードや整理をおこなったが、今回は、家族などとBeeStationを共有するため、ユーザーを追加してみる。

 BeeStationでは、8人までユーザーを登録し、家族や仲間どうしでの共用NASとして利用できる。同じ家で暮らす家族なら自宅のLAN経由で自由に利用できるし、インターネット経由でも利用できるので、まさに、容量4TBのクラウドストレージを共有して使う感じとなる。

Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」を活用中。8人までのユーザーが同時に利用できる

操作できるのは自分が保存したファイルだけ

 まず、追加したユーザーができることと、それに伴う注意点を押さえておこう。最初のユーザーはBeeStationの管理者になり、追加したユーザーは一般のユーザーという扱いになるが、両者がアプリ上で可能なことは同じで、そして、第194回で実践したようなファイルの共有や公開も、自分がBeeStaionに追加(アップロード)したファイルであれば⾏える。

 ただし、ユーザーが操作できるのは、自分が保存したファイルに限られる。同じBeeStationに保存されたファイルであっても、ほかのユーザーのファイルを見ることはできないので注意しよう。共有はあくまでもリンクを作成し、それを介して行う。管理者であっても各ユーザーのファイルを見ることはできず、それぞれが完全に独立して使うようになる。

 一般的なNASでは、ユーザー全員が同じフォルダやファイルをNAS内で操作できる(ユーザーごとに権限の制限も自在にできる)が、BeeStationは、保存する容量は共有するものの、ファイルの操作は完全に別々だ。ユーザーごとの上限容量や利用帯域制限などを制限する機能もない。

 使用感としては、クラウドサービスを一緒に使う(特別な共有機能はない)感覚に近いだろう。共有・公開に関する機能は、きちんとした理解のないまま共有リンクを公開して万が一アクセスが集中したりすると、トラブルになるかもしれない。あらかじめ説明したうえで、むやみに共有リンクを公開しないようにするとか、公開する場合は管理者にも知らせるとかいったルールを設けておくといいだろう。管理者には、ほかのユーザーの共有リンク作成を制限することはできないし、ほかのユーザーが作った共有リンクを把握できる機能もない。

ユーザーの追加はセットアップポータルから

 ユーザーの追加(招待)はアプリからはできず、設定にも利用するセットアップポータルから行う。ログインしたら[システムの設定]を表示させ、[ユーザー]タブの[ユーザーを招待]で、招待用のリンクを作成する。

新規ユーザーを招待するためのリンクを作成するため、セットアップポータルにログインし、[システムの設定]を表示させる
続けて[ユーザー]タブを表示し、[ユーザーを招待]を選択
ユーザーの説明を記入して、リンクをコピーする。[招待リンクを電子メールで送信]をクリックするとメールアプリが起動し、続けてメールで招待リンクを送れる。もちろんSNSなどで送っても構わない

招待を受けたユーザーはSynologyアカウントを作成する

 招待リンクを受け取った側では、画面の説明どおりに操作を進めることでユーザー登録が完了し、BeeStationを利用できるようになる。リンクの有効期限が7日間と設定されている。

 ユーザーは、BeeStationのNAS本体システムのユーザーではなく、Synologyアカウントの1ユーザーとしてログインして利用する仕組みだ。つまり、登録するユーザー分だけ別々のSynologyアカウントが必要になる。新規ユーザー登録リンクからSynologyアカウントを作成し、ログインに進むので、各自に新規アカウントを作ってもらうようにしよう。最初のユーザーと同じく、セキュリティ面を考慮して、多要素認証に対応させたGoogleもしくはAppleアカウントを使ったログインをおすすめする(第186回参照)。

 招待したユーザーが登録を完了すると、招待したユーザーのセットアップポータルの[ユーザー]タブに、そのユーザーが表⽰されるようになる。ここでユーザーを削除することもできる。管理者ができるほかのユーザーにない機能は、このユーザー作成と削除、そしてユーザーが使用しているディスク容量を把握することだけだ。

リンクをメッセージアプリやメールで受信する。このリンクから登録を進める
[今すぐ参加]をタップ
ポータルサイトが表示される
Synologyアカウントでのログインになる。ここではGoogleアカウントを使った
ログイン手順は省略するが、GoogleアカウントでログインするとSynologyアカウントが作られる
ログインすると[○○(招待元のユーザー名)と共有]というBeeStationが表示されたら登録完了
招待したユーザーが登録を完了すると、招待したユーザーのセットアップポータルの[ユーザー]タブに、そのユーザーが表示される

招待されたユーザーもBeeStationの機能を自由に使える

 ここから先の登録後は、もう新規ユーザーが自由にBeeStationを利用できるようになる。BeePhotosをダウンロードして使ってみよう。実際の使い方は、第188回で実践したスマホの写真のアップロードや、第190回で行ったスマホの写真の自動バックアップなども、すべて同じように利用できるので、それぞれの手順解説を参考に、やってみてほしい。

招待を受けたユーザーもスマホに「BeePhotos」アプリをインストールしよう
まずはサインインする
管理者と同じように、フル機能のBeePhotosを活用できる
写真やアルバムの共有リンクも作成可能だ

 新しく追加されたユーザーが、これまで実践したように「BeePhotos」アプリで写真の自動バックアップを設定して使い始めると、そのスマホに保存していた写真と動画が一気にバックアップのため転送される。そのため、一気に複数人の大規模なバックアップが起こらないよう、ユーザー登録は1人あたり1人としてタイミングをずらすなどしていくといいだろう。

 また、バックアップはモバイル回線でももちろん可能だが、できれば、BeeStationが設置されている家のWi-Fiに接続して行うようにしてほしい。その方が圧倒的に早く完了できるはずだ。

セットアップポータルの[システムの設定]ー[ストレージ]タブを表示させると、ユーザーごとの使用容量を確認できる

今回の教訓(ポイント)

BeeStationには8人まで家族などをユーザーとして登録して活用できる
追加ユーザーもBeePhotosアプリなど、制限なく利用可能

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。