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【使いこなし編】第209回

Synology「BeeStation」で「Googleドライブ」をバックアップ、実際の操作を紹介

 本連載では、Synologyのパーソナルクラウド「BeeStation」の活用を、第185回から実践している。本製品はNASの一種だが、インターネット経由で外部からも簡単にアクセスできるのが特徴で、「パーソナルクラウド」の呼び名は、その特徴にちなんでいる。

 BeeStationは、「Dropbox」「Googleドライブ」「OneDrive」といったクラウドストレージサービスと同期して使うこともできる。前回は、Googleドライブのバックアップ用として「一方向」の同期を設定したが、今回は、一方向の同期を設定したBeeStationでどのようなことができるか、実際の操作を紹介しよう。設定の方法は、前回の記事を参照してほしい。

クラウドのディスクサービスを最小限活用しつつ、BeeStationにバックアップをとっておく使い方を実際に試してみる

クラウドで削除したファイルもBeeStationに残る

 [一方向]の同期設定をすると、クラウド上でのファイル操作とBeeStation上でのファイルの状態は、下図のようになる。これらは、Googleドライブと[一方向]の同期を設定した環境で、実際に操作してみた結果だ(ほかのサービスでは異なる可能性もあるが、基本的に同じ動作になるはずだ)。同期は、BeeStationが動作していれば、クラウドサービスのファイルの状態を検知して自動で実行される。

クラウドサービスの操作でBeeStationのファイルがどのようになるかをまとめてみた。ポイントは削除してもそのまま残る動作だ

 ファイルは「home/Cloud services/」内にサービスごとのフォルダが作られて保存されている。Googleドライブの場合、Googleドキュメントやスプレッドシートのファイルは、Microsoft Office文書形式に変換されて保存される。

 当然だが、BeeStation側でファイルを操作した場合、[一方向]の設定なのでクラウドサービス側には何も反映されない。ここでの使い方としては、ファイルの操作は全てクラウドサービス側にて行っていくということを前提とした手法になることは頭に入れて見て欲しい。

 ネットワークドライブとしてマウントして使う、連載の第206回第207回で実践した設定を行った状態で、実際に利用する様子を見ていこうい。

BeeStationの「home」ドライブをmacOSでマウントしたところ。「home/Cloud services/」内にサービスごとのフォルダが作られている。ここではGoogleドライブを使っている
Googleドライブのフォルダ内に、新たにファイルをいくつか作ってみた。Googleドキュメントとスプレッドシートも含めている
しばらくして、BeeStationのドライブにアクセスしてみると、自動でダウンロードされている。拡張子が付けられOfficeファイルに変換されていることが分かる
Googleドライブ上で「リストA」を削除してみよう
続けて、Googleドライブで「原稿A」をGoogleドキュメントを使って追記編集してみる。赤い文字が新たに追加した部分。ウェブアプリを使ったクラウド上の操作になる
BeeStation側で「原稿A」を開くと、Googleドキュメントで追記部分が反映されている。削除したファイル「リストA」は削除されずにそのまま残っていることも分かる

 ファイルやフォルダの名前を変更した場合には、変更した名前で複製(元のフォルダやファイルはそのまま残る)される。既存フォルダの名前を変更した場合には、変更した名前で、内包したすべてのファイルを含めて新フォルダ名で複製されるので、注意しておこう。

 フォルダの内容がすべて複製されるということは、多くのファイルが保存されたフォルダの名前をうかつに変更すると、BeeStationに保存される容量がいきなり倍増することになる。必要に応じてBeeStation側で古い方のフォルダを削除すればいいのだが、無駄に容量を消費しないためにも、あまり頻繁に名前は変更しない方がいいだろう。

Googleドライブ上で「原稿A」と「写真A」の両方を「原稿B」と「写真B」にファイル名を変更してみる
新しいファイル名で複製される。左がGoogleドライブで右がBeeStationのドライブ

 クラウド側から削除したファイル(BeeStation側には残っている)を、どうしても編集したくなった場合には、BeeStationからクラウドにアップロードしてから、そのファイルを編集するようにする。

 Googleドキュメントやスプレッドシートは、Office文書ファイルをそのまま編集でき、必要に応じて元に変換することも可能だ。このあたりはOneDriveであれば、変換する必要もなく親和性は高いはずだ。

先ほど削除した「リストA」をGoogleドライブにドラッグ&ドロップで戻す。この状態はOfficeファイル
Officeファイルはそのまま開くことができる。必要であれば[ファイル]メニューから元のファイル形式に保存し直すことができる

双方向で同期したいファイル向けには「BeeFiles」などを併用

 普段のローカルのPCでさまざまなファイルを使って作業をして、それをクラウドと同期させる使い方では、これまで連載で紹介した「BeeStation for Desktop」での同期や「BeeFiles」を使うことをオススメする。

 これと併用して、クラウドサービスが提供するウェブアプリのドキュメント編集といった便利な機能を、こちらの手法で活用するのがいいだろう。クラウドサービスで不要になったファイルは、BeeStationにバックアップしていることになるので、クラウドからは削除して、容量を節約しよう。BeeStationのバックアップを使って削除する操作をうまく使いこなせば、クラウド側の使用容量を極力減らすこともできる。

 また、同期していればクラウドサービスの最新ファイルは自宅のBeeStationに保存されているため、万が一クラウドサービスがダウンしてアクセス不能になっても、自宅LAN内からのみではあるが、BeeStationにアクセスして作業を続行することが可能だ。個人的にこのGoogleドライブのバックアップには助けられることも多く、Gmailで受信した重要な添付ファイルはGoogleドライブに保存するようにしている。その後自動でBeeStationにバックアップされるため、自宅作業時の万が一の事態に備えることができている。うまく活用してみてほしい。

今回の教訓(ポイント)

BeeStationをクラウドストレージのバックアップに活用できる
同期設定で[一方向]で同期すると、クラウド上で削除してもBeeStationには残る

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。