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BIGLOBEが「温泉ワーケーション」事業、企業と温泉地のマッチングサイト「ONSEN WORK」オープン

ビッグローブ株式会社代表取締役社長の有泉健氏

 ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)が「企業向けワーケーションの取り組みについて」と題した記者会見を3月17日に開催。同日にグランドオープンした、BIGLOBEが運営する温泉宿と企業をワーケーションでつなぐサイト「ONSEN WORK」についての説明や、ワーケーションの期待や課題を語るトークセッションが行われた。

 記者会見の第1部は、まずBIGLOBE代表取締役社長の有泉健氏が登壇。有泉氏は「ワーケーションで三方よし」をキャッチフレーズに、企業向けワーケーションにチャレンジしていくと宣言した。

「ワーケーションで三方よし」をキャッチフレーズ

 有泉氏はチャレンジのきっかけは3点あるとし、「1点目は、ハイブリッドな働き方の登場。BIGLOBEでは出社前提の勤務態勢を見直しており、通常のオフィスと在宅、それからサテライトオフィスとハイブリッドな働き方を導入している。2点目は、BIGLOBEは通信サービスで、リモートワーク/テレワークに必要な光回線、モバイル通信、Wi-Fiといったサービスを提供していること」と、いわゆるISPとしてのバックボーンをアピール。

ワーケーションへ取り組む背景の3点

 さらに有泉氏は「3点目として、温泉大賞。BIGLOBEは『BIGLOBE旅行』という旅行サービスを提供しており、その中で12年の長きにわたって、『みんなで選ぶ温泉大賞』という企画を続けてきた」と、日本各地の温泉地の長い付き合いがあると説明。しかしコロナ禍により、温泉地もダメージを受けていることから、「温泉大賞のネクストノーマルを作っていこうということになった」としている。

すでに温泉地とのつながりは10年以上となるBIGLOBE

 有泉氏はBIGLOBEを例に挙げ、同社はすでに在宅中心の作業で、出社は週に1日か月に数回という社員が90%以上と、テレワークが浸透している企業となっているが、その上で非対面ワークスタイルのリスクとして、「コミュニケーション不足」や「管理工数増加」「異動・新入社員の不安増加」といった問題点も出てきているとのこと。そのため社員の中にこれまでにはなかったペイン/ストレスが溜まるようになってきているという。

BIGLOBEは90%以上社員が月に数回出社するスタイルに
テレワークや在宅勤務により、新たな問題点もあらわになってきている

 そこで有泉氏は「このストレス緩和には、ハイブリッドな働き方のオプションであるワーケーションが有効なのではないか。さらに温泉地にとってワーケーションというのは、平日の連泊という新たなニーズを創出しつつあるのではないかという考えにたどり着いた」と話す。つまり企業としては「ハイブリッドな働き方と健康経営(福利厚生)」、社員には「ストレス快方、非日常での発想転換」、そして温泉宿には「企業から平日連泊の送客」が可能となる。これが「ワーケーションで三方よし」というわけだ。

ワーケーションをハイブリッド型の働き方のオプションに

 BIGLOBEは「ワーケーションで三方よし」の効果を測るべく、すでに同社の社員によるワーケーション実証実験を開始。湯河原温泉や別府温泉といった全国各地の温泉地にてワーケーションを行ったところ、医学的視点でも自律神経バランスの改善効果が見られている。加えて社員のメンタリティへの効果もあり、ワーケーションによってモチベーションやロイヤリティも良い方向へと変化するのではないかと、調査をしているとのこと。

BIGLOBE自ら社員による実証実験を日本各地の温泉地で実施
医学的視点でも、温泉地でのワーケーションに効果があることが分かった

 BIGLOBEでの実証実験調査結果に対して、株式会社日本能率協会コンサルティングの江渡康裕氏(CX・EXデザインセンター シニア・コンサルタント)が動画にて登壇。「参加した人の9割ぐらいが満足しているというのがいちばん大きい。同じリフレッシュでも温泉に入っているときだけのリフレッシュではなく、それが通常の仕事に戻っても続くといったあたりが、ユニークな発見だと思う」と解説していた。

株式会社日本能率協会コンサルティングの江渡康裕氏(CX・EXデザインセンター シニア・コンサルタント)。参加者の9割が満足という数値をポイントしていた

 有泉氏はBIGLOBEのこれからの取り組みとして「1点目はワーケーションの効果・効能をより一般化してつまびらかにしていく。そのためにはBIGLOBEだけでなく、ほかの法人企業の協力をお願いしていく」とのこと。さらに「2点目は、受け入れ側となる温泉地へ、リモートワーク/テレワークに適した通信環境の整備を提供していく」とし、これらを実現するためにオープンしたのがONSEN WORKというわけだ。

温泉地でワーケーション浸透へ2つアプローチ

 ONSEN WORKは、法人企業と温泉宿をマッチングさせるサービス。さらにこのサービスを活用して、BIGLOBEは「TRY ONESEN WORKATIONプログラム」をスタートさせ、宿泊費やヘルスチェック費用をBIGLOBE側が負担することで、実証実験に参加する企業を募集。また、宿や温泉地へも通信設備など、リモートワーク環境の整備を手助けしていく。

「ONSEN WORK」を3月17日オープン
実証実験に協力してくれる法人企業や温泉地・温泉宿を募集

 今回のTRY ONESEN WORKATIONプログラムは、静岡県の伊東温泉と提携して進められており、発表会には伊東市の小野達也市長も登壇。小野市長は「コロナ禍により伊東温泉は来客数が3割減、宿泊客数は4割減となっている。観光業を主幹産業とする伊東市が来客数を増やすための1つして、注目したのがワーケーション」と、ワーケーションを新たな宿泊マーケットとしてとらえていると話していた。

伊東市は、コロナ禍で宿泊客数は統計開始以来最小数値になっている
豊富な観光資源でワーケーションをより豊かな体験に
伊東市の小野達也市長

 有泉氏は最後に、伊東市をはじめとして今後は全国各地で同様の取り組みを進めていくことを発表。「温泉大賞のネクストノーマルとして、ワーケーションを知ってもらい、実現に向けて取り組んでいきたい」と、ONESEN WORKを力強くアピールしていた。