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IPA、「生成AI」に関する記載を、デジタルスキル標準(DSS)とITパスポート試験のシラバスに追加

ITパスポート試験では、生成AIに関する設問を2024年4月試験分から出題予定

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は8月7日、デジタルスキル標準(DSS)とITパスポート試験のシラバスに、生成AIに関する記載を追加したことを発表した。ITパスポート試験においては、2024年4月試験から生成AIに関する設問を追加する予定としている。

 近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの登場が社会全体で大きなインパクトを与えており、生成AIを効果的かつ安全に活用することが期待されている一方で、情報の審議を判断することが難しくなるなど、スキル・リテラシーの重要性が増しているとIPAは指摘。こうした状況を踏まえ、今回のリテラシー標準とITパスポート試験のシラバスの改訂に至ったとしている。

全ビジネスパーソンが身に着けるべき生成AIに関するスキルなどを追加

 デジタルスキル標準は、DX推進に関する個人の学習、企業のDX人材の確保・育成の指針として定められているもの。全てのビジネスパーソンが身に付けるべき能力・スキルの標準「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2種類から構成されている。

 今回は、DSS-Lを改訂。全てのビジネスパーソンが生成AI利用において求められるスキル、リテラシー習得の必要性を強調して示したほか、説明や例示を追加している。

 また、DSS-Lにおける4つの軸の1つであり、個人や企業においてDX推進に関する意識や姿勢などの指針を定義した「マインド・スタンス」に、既存の7つのスキル項目と分けて「生成AI利用において求められるマインド・スタンス」のページを追加した。具体的には以下の内容を追加している。

・生成AIを「問いを立てる」「仮説を立てる・検証する」などのビジネスパーソンとしてのスキルと掛け合わせることで、生産性向上やビジネス変革へ適切に利用しようとしている
・生成AI利用において、期待しない結果が出力されることや、著作権等の権利侵害/情報漏洩、倫理的な問題等に注意することが必要であることを理解している
・生成AIの登場と普及による、生活やビジネスへの影響や、近い将来の身近な変化にアンテナを張りながら、変化をいとわず学び続けている

「生成AI利用において求められるマインド・スタンス」2023年8月改訂補記内容

デジタルスキル標準の改訂内容

ITパスポート試験のシラバス改訂は、8月下旬以降にサンプル問題を公表

 ITパスポート試験のシラバスは、試験の出題範囲を詳細化し、知識の幅と深さを体系的に整理・明確化した公開資料で、技術動向などを踏まえて内容の変更などを随時行っている。

 今回の改訂では、生成AIの仕組み、活用例、留意事項などに関する項目や用語例を追加したほか、近年の動向などを踏まえた用語例などの整理を行った。

 なお、IPAは生成AIに関するサンプル問題を8月下旬以降に公表する予定としている。