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地方移住者が「定住」するには何が必要? 仕事・収入に不満、4人に1人が「地域との交流ほとんどなし」とのデータも

ICTエンジニアの宮崎県移住・就職で気になることを語るイベント、8月26日に都内で開催

 宮崎県への移住に関心があるICTエンジニアや、同県のICT企業への就職を考えている人などを対象とした交流イベント「ひなた照らすICTプロジェクト vol.4 トーク&交流会」が8月26日、東京都内で開催される。参加費は無料となっており、先着順で参加申し込みを受け付けている。定員は16人。会場は「MEETING SPACE AP渋谷道玄坂」(東京都渋谷道玄坂2-6-17 渋東シネタワー11F)で、開催時間は15時~17時。

 2022年度の宮崎県への移住者(ICTエンジニアに限らない)は、994世帯(前年度比12.4%増)・1806人(同11.7%増)だった。また、2021年度に行ったアンケート調査では、同県の自然環境や住環境の面などで移住者の8割近くが満足しているとした一方で、仕事や収入、交通の便、医療・福祉環境、買い物・娯楽施設などの面での不満が多く挙げられたという。

 今回の交流イベントでは、宮崎県にIターンしたのち、ICT企業を設立した合同会社ノマドリCEOの大塚真言氏が「先輩エンジニアトーク」を、宮崎ひなた暮らしUIJターンセンター東京支部の勝又千加子氏が「移住推進トーク」をそれぞれ行うほか、参加者も交えた「グループトーク」も実施。「宮崎県ってどんなところ」「移住に関して気になっていること」「宮崎のどういった点に魅力を感じるか」などをテーマに語り合う予定だ。

2022年度は、994世帯・1806人が宮崎県へ移住。4割が関東から

 宮崎県および市町村が移住施策により把握した移住世帯数について、県の中山間・地域政策課が取りまとめたデータによると、2022年度の移住者は994世帯・1806人で、2020年度の755世帯・1326人、2021年度の884世帯・1617人から増加傾向が続いている。

 市町村別では、宮崎市が368世帯、都城市が232世帯、日南市が58世帯、延岡市が50世帯、西都市が32世帯、えびの市が29世帯、川南町が26世帯、日向市が23世帯、小林市が19世帯、都農町が19世帯など。

 一方、移住前に居住していた地域の内訳は、関東が40.6%(404世帯)を占めて最多。以下、九州・四国が26.6%(264世帯)、近畿が14.6%(145世帯)、中部が7.3%(73世帯)、中国・四国が5.9%(59世帯)、北海道が2.1%(21世帯)、東北が0.9%(9世帯)、海外が0.3%(3世帯)。

2022年度の移住実績 市町村別内訳(単位:世帯数)
市町村名2020年度2021年度2022年度市町村名2020年度2021年度2022年度
宮崎市246307368新富町22910
都城市179210232西米良村214
延岡市444350木城町267
日南市394458川南町263126
小林市201519都農町161519
日向市232523門川町545
串間市151010諸塚村3411
西都市92132椎葉村739
えびの市244229美郷町71210
三股町559高千穂町26133
高原町12169日之影町158
国富町266五ヶ瀬町177
綾町386不明61214
高鍋町101010 合計 755 884 994

定住には「就職・転職の支援」や「交流」が必要

 中山間・地域政策課では、定住状況や移住満足度、地域との交流など、移住後の状況についての調査結果も取りまとめている。2021年10~11月、宮崎県の移住者を対象にアンケート調査を実施し、155人から回答を得たものだ。

 これによると、現在の居住地として「当初移住した市町村に居住している」が90.0%(135件)、「今は当初移住した市町村にはいない」が9.3%(14件)だった。「今は当初移住した市町村にはいない」と回答した人に転出理由(複数回答可)を聞いたところ、「自身の都合」(9件)、「仕事や収入が合わない」(6件)、「他の地域に魅力を感じた」(3件)が上位に挙げられた。

 移住満足度については、「非常に満足している」が32.0%(48件)、「満足している」が46.7%(70件)で、合わせて78.7%が満足している状況。一方で「不満である」が16.0%(24件)、「非常に不満である」が4.7%(7件)だった。

 「非常に満足している」「満足している」と回答した人において、その理由(複数回答可)として多くが挙げられたのは、「自然や気候が気に入っている」(93件)、「住まい環境(家賃など)に満足している」(61件)、「仕事の内容や働き方に満足している」(44件)など。

 一方、「不満である」「非常に不満である」と回答した人において、その理由(複数回答可)として多く挙げられたのは、「仕事の内容・収入に不満がある」(20件)、「交通の便に不満がある」(15件)、「医療・福祉環境が不十分である」(10件)、「買い物・娯楽施設が不足している」(10件)などだった。

 地域との交流やつながりについては、「非常にある」が19.3%(29件)、「ある」が34.7%(52件)、「少しある」が20.7%(31件)。「ほとんどない」とした人も24.0%(36件)あった。

 定住に必要な支援(複数回答可)としては、「就職・転職の支援」(90件)が最も多く挙げられたが、「移住後の相談窓口やサポーターの設置」(56件)、移住者同士や地域との交流会の実施(合わせて68件)も多いとしている。

就職・転職の支援90件
公共交通機関の充実61件
移住後の相談窓日やサポーターの設置56件
医療・福祉環境の整備41件
移住者同士の交流会38件
地域との交流会の実施30件
教育・子育て環境の整備34件
その他7件