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マカフィー、2024年のサイバーセキュリティ脅威動向予測を発表、AIを悪用した詐欺などを警告

 マカフィー株式会社は12月26日、2024年の「サイバーセキュリティ脅威動向予測」を公開した。2024年に注意すべき重要なセキュリティ動向をまとめたもので、サイバー詐欺師が急速に進歩するAI技術を悪用する中で、消費者が直面する可能性のある問題について説明している。

 米McAfeeのCTOであるスティーブ・グロブマン氏は、発表にあたり「脅威の状況について人々が知識を得ることが、かつてないほど重要になっている」とコメント。AIにより、詐欺と正規のメッセージやウェブサイトとの見分けがより難しくなる中、脅威について知識を持つことが重要であるとした。

 脅威動向予測の内容は、次の7項目。

2024年選挙を妨害するディープフェイク

 米国大統領選挙、インドの総選挙、EU(欧州連合)の議会選挙など、2024年の選挙でAIが生成したディープフェイクによる詐欺が増加する。有権者は情報の真偽を見極めることが求められ、ディープフェイクによる偽の証拠を裏付けとして用いた主張が、政治家の評判に悪影響を与える可能性がある。

ソーシャルメディア上にAI詐欺が横行

 AIを利用した詐欺がソーシャルメディアで拡大する。個人から金銭や情報をだまし取る類の詐欺だけでなく、AIで生成した偽の写真や映像、音声を用いて、世論形成に影響を与える可能性がある。有名人やインフルエンサーの名前を悪用して信頼させようとする行為や、詐欺の温床になりやすいECプラットフォームには十分な注意が必要だ。

子どもたちの間でのネットいじめが増加

 子どもや若者がAIによりリアルな偽コンテンツを簡単に作成できるようになり、ネットいじめの再増加をもたらす。(言葉による)噂を広めるだけでなく、既存の画像を加工したものなどの偽画像によるいじめが増加することは、子どもやその家族に重大かつ永続的な危害を及ぼし、プライバシーやアイデンティティ、健全性を害すると懸念される。

偽の寄付サイト

 サイバー詐欺師が偽の寄付サイトを立ち上げたり、善意の寄付者をだまして正当な活動を支援しているかのように見せかける偽のページを作成したりする。2024年には、特に関心を得やすい紛争や人道危機に関連する詐欺が予想される。

新種のマルウェアや、声と映像のクローン詐欺がAIにより加速

 AIはコーディングも得意であることから、AIを用いたサイバー犯罪者により、高度なマルウェアや悪質なウェブサイトのほか、説得力のあるフィッシングメールやスミッシングメッセージの作成や拡散も、より迅速かつ容易になると予想される。詐欺用コンテンツの生成はディープフェイクによる写真や動画、音声にもおよび、詐欺行為への参入障壁が低くなることで、あらゆるプラットフォーム、特にモバイル端末での脅威が高まる。

2024年パリ五輪に向け詐欺が急増

 サイバー詐欺師は人々にとって重要な瞬間を、個人情報や支払い情報を漏えいさせる機会として狙う。そのため、2024年に実施されるパリ五輪を利用して、チケットの購入、旅行の予約、話題のコンテンツへのアクセス、景品への応募などをしようとする人をターゲットに、さまざまな手口の詐欺が仕掛けられる。