ニュース

米Google、「Google Glass」で顔認識技術利用を当面禁止

 米Googleは1日、Google+のGoogle Glass公式アカウントにて、適切なポリシーが策定されるまではGoogle Glassで顔認識技術の使用を禁止すると発表した。同時に開発者向け利用規約にも関連した文言が追加されている。

 Google Glassは一部の選ばれた開発者向けに限って4月16日から1500ドルでテスト目的で販売されているが、販売が開始されたことで、米国議会を含む国内外においてプライバシー侵害に対する懸念の声が上がっている。眼鏡型のウェアラブルデバイスであることから着用していることが気づかれにくいこと、HD画質のカメラを搭載し、写真や動画を撮影していることが気づかれにくいことがその主な理由だ。

 Google Glassで顔認識技術が利用できれば、街ゆく人々を知られないうちに動画撮影し、Google+プロフィールと照合し、身元割り出しが理論的には可能になる。

 こうした懸念の声を受けて、Google Glass公式アカウントで1日、Googleは「我々は製品に関する様々な見解を子細に見聞きしてきたが、これまでに多くの人々がGlassにおける顔認識技術の可能性に関連して興味と懸念とを表明している。Googleが何年も述べてきたように、我々は強固なプライバシー保護が実施されない限り、顔認識機能を弊社製品に加えることはない。現時点では、いかなる顔認識Glasswareをも承認することはない」とコメントし、懸念の払拭を図っている。

 さらに、Google Glass開発者向けサイトのデベロッパーポリシーがアップデートされ、新条項として、「相互参照を行い、ユーザー以外の誰かを識別して即座に個人情報を表示するためにカメラまたはマイクを使用しないこと。これには顔認識や声紋などの使用も含まれる。この操作を行うアプリケーションは、現時点では承認されない」という項目が追加されている。

 ただし、GoogleがGoogle Glassで顔認識技術を使用しないと明言したわけではない。あくまでもプライバシー保護が確立されるまでという期限付きで、将来的には使用したい意向があることは明らかだ。そして、適切な状況の下では、顔認識技術に大きな可能性があることもまた明白だ。

 現時点でも、この推奨されていない技術を使用できないわけではない。実、際Google自身がGoogleI/O開発者会議にてGoogle Glassのルート取得(ジェイルブレイク)方法についてのセッションを開催したほどだ。この場合、Googleからの一切の補償は受けられないほか、Googleによる「制裁」を受ける可能性もある。それでも、ジェイルブレイク向けサードパーティーによるアプリマーケットプレイスが出現する可能性は否定できない。

 Google Glassは技術者の間などで高い評価を集めている一方、Google Glassの運転中の使用を禁止する米国内の州があるほか、カジノでの使用禁止が検討されるなど、発売されていない製品にもかかわらず、すでに反発の声が多い。こうした動きを受けて、Googleは慎重に事を進めたい考えだ。

(青木 大我 taiga@scientist.com)