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PFN・さくらインターネット・NICTの3者、国産生成AIのエコシステム構築に向け基本合意を締結
2025年9月22日 07:30
株式会社Preferred Networks(PFN)、さくらインターネット株式会社、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は9月18日、日本社会と調和する国産生成AIのエコシステム構築に向け、 基本合意を締結した。
生成AIが将来的な国家や社会の競争力の源泉とみなされつつある一方で、悪意を持った利用や、悪意がなくとも意図せずにヘイトスピーチなどの不適切な出力がなされる可能性、AIエージェントの暴走などの懸念やリスクが顕在化しつつあるとあり、こうした課題への対応と、日本の文化や制度が十分に考慮されている生成AIへの期待も高まってきているという。
3者は、これらの懸念点に対して、日本の文化や社会などに留意した、高品質かつ大量の学習データを用いた国産LLMの開発と、そのサービス化を実施するとともに、国産生成AIに関する学習データの収集、クリーニング、構築から生成AIの学習、チューニング、サービス提供・実活用まで含めたエコシステムを構築することを目指す。
3者の具体的な活動としては、次の内容が挙げられている。
PFNは、2026年春に向け、同社がフルスクラッチ開発した国産LLM「PLaMo 2.0」の後継となるLLM群をNICTと共同開発する。PFNが構築した日本語データを多く含む合成学習データやウェブデータに加え、NICTが収集・構築したウェブページやインストラクションデータなどを学習に用いることにより、日本語性能に優れ、日本の文化、習慣、法制度等への理解を高めた生成AIの開発を進める。
さくらインターネットは、フルマネージドの生成AI向け実行基盤「さくらの生成AIプラットフォーム」において、選択可能な基盤モデルとしてNICTとPFNが共同開発するLLMを提供する。これにより、ユーザーは完全に国内で完結した生成AIの活用が可能となる。日本企業や官公庁が安心して利用できる「信頼できるAIプラットフォーム」の提供を目指し、日本語特有の表現や背景事情を反映したデータの作成・活用をさせることで、日本に根差した信頼性の高い生成AIの実現を推進するとしている。
NICTは、2008年から独自に収集している700億ページを超える日本語ウェブページのデータを活用するとともに、PFNと共同開発するLLMやNICTが独自に開発したLLM、さらにはこれまでに開発した動作原理の異なるAIなどを組み合わせ、信頼性・創造性・多様性に富んだAI複合体を開発する。加えて、AI複合体を用いて、モデルの弱点を改善するための学習データを自動生成できる能動的評価基盤を開発していく。