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NTTと東芝、IOWN APNとクラウド型PLCにより、300km離れた拠点から生産設備の高速な遠隔制御に成功
2025年11月12日 07:00
NTT株式会社と株式会社東芝は11月10日、IOWN APN(All-Photonics Network)とクラウド型PLC(Programmable Logic Controller)を用いて、約300km離れた拠点から生産設備の高速な遠隔制御に成功したことを発表した。製造業界初としており、製造業が直面する人材不足や技術継承の課題に対し、工場DXに大きく貢献できるものとしている。
製造業では、少子高齢化による働き手不足や技術者のスキル継承が課題となっている。東芝は、クラウド型PLC「Meister Controller Cloud PLCパッケージ typeN1」の提供を通し、ローカルの制御・運用システム(OT)のクラウド移行に取り組んできた。クラウド型PLCとは、通常は工場内に設置される制御装置の機能をクラウド上に移行したもので、これにより遠隔制御や保守が可能となる。
従来、東芝では制御における応答性能が比較的緩やかな製造ライン向けに同システムを提供していた。今後、同システムの適用を拡大するには、低遅延かつゆらぎの少ないネットワークが必要で、これが課題となっていた。今回の実証は、この課題を解決するため、NTTが有するIOWN APNの技術を用いてクラウド型PLCの制御周期を高速化するもの。
実験では、NTT武蔵野開発研究センタ内に、生産設備とクラウド型PLC間となる300kmの模擬環境を構築し、制御周期20ms以内で遠隔制御することに成功。これにより、高速な制御を必要とする自動車産業の生産ライン設備要件に満たしていることを確認できたとしている。
また、NTTドコモソリューションズの画像認識AIソリューション「Deeptector」と、NTTが手がける、メモリ上のデータを直接ネットワークへ転送できる「RDMAアクセラレーション技術」を活用した製品の外観検査を行った。その結果、業界標準要件である1設備につき4fps(250ms)という短時間でのAI外観検査が、ローカル環境と同等の水準で実現可能であることを確認できた。これにより、複数工場における品質管理の標準化にも貢献するとしている。
両社は、今回実証したAPNを活用したクラウド型PLCサービスの実装に向けて、サービスの内容や体制の具体化を進め、2027年度以降の実用化を目指す。

