米T-Mobile、スマートフォン「Sidekick」の全ユーザーデータ消失


 米携帯大手のT-Mobile USAは10日、同社が販売するMicrosoft系スマートフォン「Sidekick」のユーザーデータがほぼすべて消失し、回復の見込みがないと発表した。Sidekickは、米Microsoftが2008年2月に買収したDangerがサービスを提供。ユーザーデータを、ローカルではなくサーバーに保管していた。

 T-Mobile、Microsoft、Dangerが発表したコメントによると、データ消失の原因は「MicrosoftとDangerで発生したサーバーエラー」だという。それにより保管してあったユーザーの連絡先、ToDoリスト、カレンダー、写真などが消失した。一部のデータでも回復できないかどうか検討を進めているが、「その可能性は極めて低い」として、謝罪の意を表明している。

 Sidekickでは先週以来、サービス中断などの問題が発生していたことが判明しており、今後、追加情報を発表していくと説明している。

 なお、Sidekick端末の電池がまだ残っている場合、端末側に残っているデータは取り出せる可能性があるため、電池を外したり、電池切れを起こさないように注意を呼びかけている。

 Microsoftと同社子会社のDangerが適切にバックアップを取っていなかったことは、Sidekickユーザーだけでなく、多くのインターネット利用者にも衝撃を持って受け止められている。一部のベンチャー企業でデータ消失の事例は存在するが、Microsoftほどの大企業が運営するクラウドサービスでこのようなことが生じるのであれば、どのようなクラウドサービスでも同じようなことが起きる可能性があると考えられるからだ。

 さらに、この事故はMicrosoftが社運をかけたクラウドサービス「Microsoft Azure Platform」公開直前に発生した。今後、Microsoftのクラウドサービスの信頼性に疑問符が付くのは必至と言える。それだけでなく、他社のクラウドサービス利用に際しても、できるだけバックアップをとるなど、ユーザーは自衛策を取る必要があるかもしれない。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2009/10/13 12:33