東大・平木教授、「世界一を目指すことはスパコンの宿命」


東京大学の平木教授

 東京大学大学院情報理工学系研究科の平木敬教授は、27日開催した小型PCを使ったWebアクセスによる6.5Gbpsのデータ転送実験に関する発表会で、政府の行政刷新会議による「事業仕分け」で「来年度予算計上の見送りに限りなく近い縮減」の評価を受けた「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」について自身の考え方を述べた。

 平木教授は、事業仕分けの中で、科学技術政策や予算のあり方、日本におけるスーパーコンピューティング研究開発のあり方など、「さまざまなレベルの問題点が混合して論じされている」と指摘した。このため、世界における日本のポジションに加え、技術的な課題の現状把握や位置づけが必須であるとした。

 その上で、「スーパーコンピューティングは科学技術の基幹技術で、世界一を目指すことはスーパーコンピューティングの宿命」と自身の意見を示した。加えて、1年に約2倍の性能向上がある点や、過去にIBMやCray社が競争に敗北して、再び世界一になるまで20~30年の時間を要した点をあげて「1年の事業停止によるダメージの回復には、10年以上必要になる」とした。一方で、「建設物などプロジェクトで省ける無駄な部分は省くべき」との見解も示した。

 なお、「事業仕分け」に関しては、「専門家不在の劇場型仕分けで、論理的ではない議論が行なわれた。もっときっちりと議論すべき」と訴えた。


スーパーコンピューティングの特質平木教授の意見概要

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(村松 健至)

2009/11/27 19:35