Twitterに予定通知、Evernoteとも連携のiPhoneアプリ「TwitCal」


 インフォテリアは8日、iPhoneおよびiPod touch用のカレンダーアプリケーション「TwitCal(ツイットカル)」を、App Storeを通じて提供を開始した。Twitterに対応し、Evernoteとの連携も予定する。価格は350円で、iPhone OS 3.0以降で利用できる。

Twitter予定通知に加え、他ユーザーのカレンダーフォローが可能


Twitcal製品概要

 「TwitCal」は、カレンダーに登録した予定をTwitterに投稿したり、TwitCalを利用する他のユーザーとカレンダーの共有が可能。カレンダーは、プライベートやビジネスなど用途に分けて複数の設定が可能で、カレンダーごとに色分けも設定できる。

 カレンダー表示は、1日単位や週単位、2週単位、月単位、リスト単位に加えて、iPhoneを横持ちにした場合には、1カ月のカレンダーと1日の予定を同時に確認できる「ハイブリッド」表示に対応する。また、画面を指で払うフリック操作で月や日の移動が可能なほか、本体を振るシェイク操作で当日のスケジュール表示に戻れる機能も用意した。

 スケジュール登録時には、任意の時間をタップして編集画面への移動が可能。このほか、本体に保存した画像をスケジュールに添付することができる。この場合、カレンダー上ではサムネイルが表示されるようになる。


カレンダーを2週単位で表示したところ横持ち表示の際には「ハイブリッド」表示が可能スケジュール情報画面

 Twitterとの連携では、TwitCal上から任意のスケジュールを選択して、メッセージとともに投稿すると、TwitCalのサーバーを経由して、Twitterに予定を掲載したWebページへのリンク(bit.lyによる短縮URL)が投稿される。他ユーザーはリンクをクリックすることで、ユーザーが投稿したスケジュールの詳細が確認できる。なお、同機能の利用に当たっては、事前にTwitterのアカウントをTwitCalに登録する必要がある。

 投稿スケジュールを確認したユーザーがTwitCalを利用している場合には、自分のTwitCalにスケジュールのインポートが可能。また、カレンダー自体をフォローする機能も用意して、フォローしたカレンダーを通じてスケジュール情報の同期・共有ができるようになる。この際、フォローを受けたユーザーは公開したいカレンダーを選択できるほか、フォロー自体の拒否も可能だ。

 カレンダーのフォローに関しては、Twitterを介した方法に加えて、相手が利用するメールアドレスを入力して依頼をすることもできる。TwitCal上では、メインのメールアドレスに加えて、複数のメールアドレスが設定できることから、インフォテリアではスケジュール共有の依頼の取りこぼしを回避できるとしている。加えて、TwitCalを利用していない友人などに対して、「iCal」で利用するics形式で出力したスケジュールのメール送信が可能だ。


サーバーを介して、Twitter投稿や他ユーザーとの同期も可能Twitterに予定をつぶやける投稿メッセージのリンクからアクセスできるスケジュールの詳細ページ

Evernote連携機能も実装予定。Googleカレンダーなどとの同期も


GoogleカレンダーやiCalなど、他社の製品やサービスとも連携を進める

 他のカレンダーサービスとの連携面では、専用ウィジェットを利用したGoogleカレンダーやiCalとのスケジュール同期に対応。ウィジェットの対応OSは、現時点でMac OS X 10.5以降に限られるが、今後はWindows OSにも対応させるほか、将来的にはウィジェットを利用せずに同期する機能実装も検討する。加えて、Outlookやサイボウズとの連携も検討する考えだ。

 また今後は、テキストや画像などをオンライン上に保存して、PCやスマートフォンをはじめとした複数機器でシームレスに共有できるオンラインサービス「Evernote」との連携機能を、4月から6月頃をめどに追加する予定。この連携機能では、Evernote上に保存したメモや画像の中から、日付や時間、場所、内容の情報を、PCにインストールしたウィジェットが自動で抽出して、TwitCalに登録する。この際、事前に指定したキーワードにマッチしたデータのみを抽出することも可能だという。

 このほか、TwitCalのAPIも無償で公開する方針。これにより、例えば外部の天気情報サービスから天気情報を取得して、TwitCal上で天気予報を確認できるようにするなどの活用が可能になるとしている。

 アプリケーションの対応言語は、日本語に加え、英語、中国語、フランス語、スペイン語、韓国語の合計6カ国語。対応言語に関しても、順次追加する予定という。


Evernoteとの連携機能も提供を予定Evernoteに保存した画像から自動投稿されたスケジュールを表示したところ

 インフォテリアの執行役員で、グローバル事業推進室長を務める藤縄智春氏は、TwitCalに関して「スマートフォンにおけるカレンダーアプリのデファクトスタンダードを目指したい」とコメント。今後はAndroidなど他のスマートフォンへの対応を進めるほか、ユーザーの要望を踏まえながら継続して機能強化を進める考えという。

 アプリケーションのダウンロード目標数は、今後3カ月間で10万本。販売比率は日本が65%、海外が35%を見込んでいる。藤縄氏は「非常に難しい数値と考えられるかもしれないが、プロモーション次第では達成できるのではないか」とした。

 350円という価格設定に関しては、一般的なiPhoneユーザーが有料アプリを購入する割合が5割、1カ月間で使用する金額は平均1000円程度という調査データを示すとともに、「先行モニターから得られたフィードバックをもとに価格を設定した」と述べた。なお、キャンペーン的な意味合いで期間限定でTwitCalを利用できる無償版を公開する可能性もあるとした。


APIも無償で公開。発表会では天気予報情報の取得例を紹介したインフォテリアの藤縄氏

ネットサービス事業や海外展開を強化。多言語対応を標準に


インフォテリアの平野社長

 TwitCalの提供開始に合わせて、インフォテリアの平野洋一郎代表取締役社長CEOは、同社か掲げる「NEO戦略」を説明。「NEO」は、「Net service」「Enterprise」「Overseas」の頭文字を取ったもので、現在同社売上の9割を占めるエンタープライズ分野に加えて、ネットサービス事業の立ち上げや世界市場への展開によって、さらなる成長を目指す考えだ。

 ネットサービス事業に関してはクラウドとスマートフォンを挙げ、特にスマートフォン市場の継続的な成長による個人および企業市場でのビジネス機会が期待できるとした。平野社長は「スマートフォンは電話ではなく、常時通信機能を持った携帯コンピューターである」とした上で、「これまで培ってきたコンピューター分野でのノウハウが生かせる」と述べた。

 海外展開では、多数のインターネットユーザーを抱える中国や米国を中心とした市場に加え、iPhoneのApp Storeに代表される、世界共通のソフトウェア販売網がある「スマートフォン」をネットサービス事業と同じくキーポイントに挙げた。今回、TwitCalのアプリケーションをiPhone/iPod touch向けに最初に公開した点に関しても「世界的に見ても大きなマーケットがあり、流通網も整備されている」点が理由だとした。

 TwitCalでは6カ国語をサポートしているが、平野社長は今後投入するネットサービス製品のすべてで日本語と英語、中国語版を標準提供する方針を示した。また、開発体制も日本人のほか、欧米や中国人スタッフも加える考えで、「単なる翻訳版ではない、世界に通用するソフトウェアを目指す」。なお、スマートフォン以外の携帯電話へサービスを提供する考えはないとした。

 このほか、Evernoteのように他社との開発パートナーシップも積極的に進める考え。平野社長は「会社設立時から世界に通用するソフトウェア提供を目指し、10年かけて国内のポジションを固めることができた」と述べた上で、「今後の10年の大きな飛躍として海外展開を目指していきたい」と抱負を語った。


エンタープライズ分野に、ネットサービス事業や海外展開を加えた「NEO戦略」を掲げる多言語対応などの製品開発方針

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(村松 健至)

2010/3/8 15:49